関東

【ハイキング】晩秋の赤城山

赤城山外輪山を縦走
猫岩から大沼、地蔵岳山  域:赤城山(群馬県)・黒檜山、駒ケ岳、篭山、長七郎山

登山形態:無雪期一般登山

参 加 者:高橋 仁(単独)

日  程:2022年11月27日(日)

行動記録:熊谷市6:40=赤城山、駒ヶ岳登山口P8:30→黒檜山登山口9:00→黒檜山(展望地)10:00/10:30→駒ヶ岳(昼食)11:10/11:40→篭山➝鳥居峠12:15➝長七郎山13:00/13:20➝小沼水門➝駐車場13:45➝覚満渕➝駒ヶ岳登山口P14:40=熊谷

天  候:晴れ、強風

脊柱管狭窄症が悪化して、日常生活にも影響が出るようになった。現状の体力、体調がどの程度のレベルなのか確認したいと思い、単独で赤城山を歩いてみた。

駒ヶ岳登山口に駐車して大沼、赤城神社を左に見ながら黒檜山登山口まで歩く。雪はまったく無く、湖面は結氷も無いが、強風で波立っている。

山頂には携帯の山頂プレートが

登りはじめは足が重く、息も上がりがちで先が思いやられる。ペースを抑えながら慎重に登る。猫岩、富士山展望地からは大沼、赤城神社、地藏岳がきれいだ。富士山は雲で見えない。何人かの個人、グループに抜かれたり、抜いたりしながら稜線に出て、黒檜山頂から展望地に向かう。谷川連峰方面は雲で見えないが、真っ白に雪化粧をした男体、日光白根、浅間、草津白根がひときわ美しい。

左に奥白根、右に男体、中央に皇海山

遠く八ヶ岳、北アルプスまで眺望できて、しばし見とれるが、風が強くカメラも手振れしてしまうほど。手が冷えてきたので先を急ぐ。気が付けば、雲が取れて、地蔵岳の左に富士山が現われている。日曜の百名山とあって、山頂から黒檜大神石碑のあたりは賑わっている。単独や二人連れがほとんで、団体はいない。

利平茶屋と篭山の分岐を示すプレート

稜線を下ってオオタルミ辺りに来ると、風の通り道で寒い。ブナ林の斜面を登り返して駒ケ岳山頂に到着。東尾根に少し入った展望地で昼食にする。桐生から広がる関東平野、筑波山の双耳峰、前日光の山塊、袈裟丸から皇海、白根などを眺めてコーヒーとパンを食べたら、下山開始。下降点を素通りして篭山に向かう。誰も通らないが踏み跡は明瞭で、利平茶屋への尾根の分岐には「篭山」と書いたプレートが枝に着けてあるので迷うことは無い。篭山山頂の手前で踏み跡は山頂経由と右に巻いた道に分かれる。今回は山頂経由で左の道を抜けて鳥居峠に降りる。

左手前に荒山、奥に榛名山、その奥に浅間山      

最初の計画はここまでだったが、時間があるので長七郎山にも登ることに。木段と緩やかな道を、左に小地蔵岳を見て登れば、長七郎山頂に。荒山と榛名と浅間山が重なって並び、その右は電波塔基地の地蔵岳が目の前だ。静かな山頂を後にして小沼の水門に下る。

小沼の向こうに地蔵岳の電波塔基地

 きれいな湖面を見ながら東岸を歩いて駐車場に。地蔵岳もついでにと思ったが、長七郎の下りでは、つま先(薬指)が痛み出したので、ここまでとする。道路を下ってビジターセンターから覚満渕を抜けて駐車場に到着。

覚満渕から鳥居峠を望む

終わってみれば、マップのコースタイムの80%くらいと、まあまあの歩きができたようだが、急登では、腿に少し違和感があるし、ゴロ石や岩の段差では、バランスを崩さないように丁寧に歩く必要がありそうだ。(仁)

【ハイキング】大高取山(県連ハイキング)

大高取山 

低山をゆっくりゆったり歩く

山域山名:越生町 大高取山

期日:2022年11月12日 

参加者:L橋本 木村 他の会の参加者19名

行動記録:越生駅集合8:10-発8:20-弘法山9:15/25-越生梅林を経て大高取山登山口10:10-大高取山11:25/11:55-桂木観音12:25/35-ゆうパークおごせ13:10-越生駅14:10

 上:大高取山山頂にて 下:越生の街を望む

<天気曇>埼玉労山ハイキングに熊トレからは2名が参加した。越生駅に集合し、打合せをして出発した。まずは市街地を歩く。駅のすぐ近くに「ハイキングの町越生」の看板が掲げられ、広場でハイキングの宣伝をしていて、チラシと飴をいただく。裏通りを通り、北方向の弘法山を目指す。街の随所に真新しい石碑と案内板があり、「ここに昔〇〇があった」等歴史的な解説をしている。越生は古い歴史のある町だという。小学校横を歩き、五大尊というお堂の入口を抜け、越辺川(おっぺがわ)の歩道橋を渡り、小道を歩く。民家があり、キクなどが綺麗に咲いている。大通りに出てすぐ弘法山の石柱を目印に進む。舗装の坂を登り始めるとやや汗をかき、服装調節休憩。さらに200mほど登山道を登り、一つ目の弘法山に到着する。神社があり、越生の街を望むことができる。「弘法山」の目新しい木製の表示板が建っている。

 休憩後、山を下り、越生の梅林を目指す。天気は曇りながら穏やかで、付近の民家には植木や草花があり、綺麗にしている。これから登る大高取山が左前方に見える。梅林に入ると古い梅の木もあり、3月の梅まつりのころは賑やからしい。

 越辺川の橋を渡り、神社の前を通過、細い道を進んで、小さな大高取山入口の道標を目印に曲がり、登山道に入っていく。森の中の本格的な山道を登る。10分ほどで峠に着き休憩する。

 この後、山頂までは尾根の登りだ。杉、檜の人口林であるが、自生らしい太いモミの木があり、堂々と天に幹を伸ばしている。岩も砂利もほとんど無く、登り易い。ゆっくりと登り、ほぼ予定の時刻に山頂到着。山頂には先着のグループの方がおり、賑やかだ。東方向は木が低く越生の街が見える。風もなく天気もよくなってきて明るい。30分ほどゆっくりし昼食をとる。

 記念写真を撮ってから、桂木観音を目指す。やはり緩やかな下り坂で所々雑木林も混じり、下草も生えている。フユイチゴが赤い実をつけている。「ゴーン」と鐘の音が聞こえ、桂木観音が近づく。桂木観音の裏手から明るい境内にでる。そこで小休憩。

 車道を300mほど下る。福みかんの無人販売などが出ている。柚子園では実が金色に光っている。その付近から登山道に入り、尾根筋の道を下る。雑木林で下草、灌木も増える。地味だがコウヤボウキが花をつけている。ノギクも咲いている。里山にも地味だが味わいのある花は多い。ドングリも落ちている。里が見える尾根でも休憩する。

 後は、ゆうパークで車道に出て、越生の郊外の裏道を歩き、駅前に着いた。高度はないが水平距離は程々あり、山と里、街の景色を楽しむことができた。

 上:峠で休憩 下:大高取山への杉林を登る

 

 

 

 

 

【その他】きのこ木の実山行

赤城山 きのこ木の実山行

=大沼、小沼周辺の紅葉を愛で、きのこや木の実を楽しむ=

 

 

     サルナシ収穫             マスタケの大株

山域山名:群馬県赤城山

目的:きのこ、木の実等を観察、採集し、山や植物、自然を理解し親しむ

期日:2022年10月12日

参加者: L橋本 黒澤 栗原 新井勇

行動記録:熊谷7:30=上武道路=赤城キャンプ場9:45-大沼北側周遊道-覚満渕東端11:20-大沼南側周遊道-大沼キャンプ場12:45/13:30=小沼駐車場14:00-小沼一周-15:00=熊谷17:20

<天気曇>毎年秩父周辺の里山で実施してきた「きのこ木の実山行」は今年、群馬県赤城山の大沼、小沼周辺に計画した。

 上武道路が前橋市まで開通し、高速道路を利用しなくても赤城山へのアクセスがよくなった。だが、平日のため前橋市に入ると通勤ラッシュにかかったが、渋滞を避けながら走り、赤城山キャンプ場に予定よりも早く着いた。曇りだが風は無く、大沼の湖面は静かだ。ワカサギ釣りのボートが10艘以上静かに釣り糸を垂れている。秋めいた周辺の森、山が湖面に写っている。大沼は火口原にできた湖で標高が1350mあり、周辺には里山より高い標高の草木が生えている。また、赤城山は全山火山なので、酸性の土壌を好む植物も多い。

 準備後、ルートを確認し、樹木、草、きのこ、ドングリ等を見ながら歩き始める。今回は、「歩く」よりも「観る」「触る」などを中心にする。湖の近くに遊歩道があり、落ち着いて歩ける。

落葉が道に積もっている。ヤツデのような葉は大木のハリギリだ。葉の裏が銀色のグミもある。大木のミズナラが何本もあるが湖畔なので明るい。落葉から森の香がする。キノコもいくつか出ている。余り大きくないツツジの類の木は赤く紅葉している。丸い来年の花芽を付け、5枚の葉を付けているのでヤシオツツジだろう。他にミツバツツジもある。モミジの仲間の木が結構な大木で紅葉している。ヤマモミジ、ウリハダカエデ、イタヤカエデ、ミネカエデ、ハウチワカエデなどだ。鋸歯の形だけでは判別しきれない。朽ち木にキノコが生えていたり、どんぐりが落ちていたりするので見たり拾ったりする。木の実を拾うというのは、食べられないと分かっていても、充実感がある。ミズナラの立った朽ち木に白い塊がついている。棒で落とし、帰宅して図鑑で同定するとサンゴハリタケだった。赤城神社で小休憩する。観光客がちらほらいる。湖岸には鯉が群れている。やや草原があり、赤い実が目立つ。マムシグサの類だ。大洞の集落付近車道を通り、覚満渕に向かう。駒ケ岳登山口があり、付近に観光バスが数台停まっている。高校生のハイキングだ。関東ふれあいの道の看板があり、コースを案内している。他、赤い実のツルウメモドキやツリバナ、ズミなどもある。湖岸には、アザミ、ワラビ、アズマウツギもある。

  

      大沼北岸歩道を歩く           リンドウの花が鮮やか

 覚満渕入口周辺は平坦でダケカンバ、ミズナラなどが茂っている。林床には野菊の類、リンドウなどが咲いている。歩道を進むとミズナラの小さな洞にドングリが並べて入れてある。誰

(どの動物)が入れたのか気になった。渕の水面が望める周辺は丈の余り高くない草原でススキも穂を出している。レンゲツツジがちらほら。また、マユミの木が何本もあり、赤い実をたくさんつけている。一周して帰ろうと歩いていくと木道修理中でやや遠回し、渕の南側に行き美しい草モミジを愛でる。北側の山も色づき始めている。渕は深く無く水底も見えるが魚や水生昆虫などは見えない。

 車道を歩き、大沼の南側を通過する。ミズナラのドングリが沢山落ちている。「ミズナラの路」の案内板から、湖岸に進む。確かにミズナラの大木があり下は笹原だ。ミズナラの朽ち木にオレンジ色のキノコが生えている。「すごい」と笹をかき分け近づき観察する。端を少しいただく。図鑑で調べるとマスタケで若い時は食可とあるが、少し古いようだ。「マスタケ」でなく「マツタケ」ならと残念だ。湖岸をとことこ歩いて、元のキャンプ場に着く。道草をたくさん食い、4時間かかった。これが目的なのでこれでよかった。

 

 

上左:小沼湖岸 上右:自生マユミの実 下左:関東ふれあいの道がある 下右:サンゴハリタケ

 昼食後、10分ほど車で移動し、小沼駐車場から小沼一周に向かう。看板には爆裂火山湖とある。一般のハイキングの方も多い。大沼よりも小さいが周辺の森も色づき秋の静かな湖だ。ナナカマドの実が鮮やかだ。灌木のメギなどもある。湖の東岸は岩が多い路だ。次第に木が濃くなるが、ヤシオツツジの類で本数も多い。開花の時期にぜひ来てみたいと思った。湖の南に川が流れだすが水門が設置されていた。道の付近は落葉樹が生えているが林床にはキノコは生えていない。40分ほどで回ってしまった。

 駐車場からすぐの道端にサルナシの大株があり、実がたくさんなっていた。採果鋏もないので皆で蔓を引き寄せ実を収穫した。採りながら味見をすると、酸味と甘みの混じった味、濃厚な味だった。熟して強い香りのある実で口の中が満たされた。今回、食べられる木の実は少なくこれが唯一となった。最後に、お土産ができ満足のきのこ木の実山行となった。

(橋本記)

【クリーンハイク】鐘撞堂山

鐘撞堂山クリーンハイク

山域山名:鐘撞堂山(329.9m)

期日:2022年10月15日(土曜日)曇り

参加者:CL山口文江 SL 高橋仁、白根幸一、大嶋博、橋本義彦、 黒沢孝、木村哲也、須藤俊彦

行動記録

 寄居駅北口9:30-大正池10:00/10:15-鐘撞堂山11:00/11:15-羅漢山12:05/12:40-少林寺13.25/13:40-波久礼駅14:10

 

寄居駅北口に集合し、町を抜け、コスモスの咲く広い道をゴミを拾いながらのんびり歩き、大正池に着く。トイレ、東屋も設置されており、休憩する。歩き出して5分程すると鐘撞堂山直進の立て看板が右手にある。看板手前に地図にはないが右に登る道があり、高橋さん推薦に従いこの道を選択する。木々の間の道は直登気味であるが、歩行には全く問題がない。ただ風が抜けず蒸し暑い。周辺にはイノシシが食べ物探しをした跡が続き、山を下りるまでずっと続く事になる。この道はマイナーな為か余りゴミは落ちていない。やがて道は鐘撞堂山直下にでた。ゴミ清掃に感謝の声を聴きながら展望台に登る。曇りがち天候故遠望はきかないが、寄居の町ははっきり見える。山名の由来を実感するには北側の木々が邪魔している。しばらく休んだ後、円良田湖方面に下山開始。舗装された道を左に取るとほどなく少林寺への登山口がある。階段状の道を歩く途中にアナグマの巣と思われる穴がありやがて羅漢山頂に着く。ここには釈迦如来等数体の石像が草むらの中にたたずむ。東屋で昼食をとり、5分程西に歩き山頂にある神社にお参りする。神社名を記した多くの石碑があり、中には昭和17年建立の神格化した東郷、乃木の碑もあった。羅漢山に戻り天保年間に少林寺に寄進された五百羅漢の石仏が色々な表情をして並んでいる道を下る。亡くなった親しい人の面影を見出すことが出来るといわれているが痛んでいるのも多い。石仏が途切れると曹洞宗少林寺境内に着く。お参りしたのち、外にでて、ゴミの選別、計量を行った。結果ビン類2.0Kg、カン類1.1Kg,燃えるゴミ1.0Kgであった。ビン,カン類の多くは投げ捨てられており一部は回収できなかった。該ゴミ袋は自宅まで持ち帰り日常ゴミ回収ルートにのせ処理した。その後波久礼駅まで歩き、寄居駅で4人が下車、夫々の帰途についた。なおSUICAが使えるのを初めて知った。                                    (須藤俊記)

 

 

【その他】県境リレー登山(志賀坂峠ー土坂峠)

県境リレー登山 志賀坂峠⇒土坂峠

 埼玉県・群馬県 県境の長い尾根を歩く(県連の企画)

山域山名:埼玉・群馬県境尾根(志賀坂峠-土坂峠間) 父不見山等

期日:2022年10月2日

参加者: L橋本 黒澤 木村

父不見山(ててみえずやま)

 

行動記録: 

 土坂峠トンネル北口(黒澤車1台デポ、黒澤同乗)6:20=志賀坂峠トンネル北口6:50-1090mピーク7:50-二子山西岳ローソク岩分岐8:20-西岳岩稜下降点9:15-三ツ石山987m10:20-三岐山982m11:20/11:40-矢久峠12:20-坂丸峠13:05-父不見山14:15/14:25-杉ノ峠14:50大久保山15:15-土坂峠トンネル北口16:40=志賀坂峠に移動し橋本車回収17:15

 <天気晴れ>久々の登山日和となった。今回の県境リレー登山の志賀坂峠-土坂峠尾根は標高1000m前後で、13のピークがあり、そのピーク間には鞍部がある。その標高差は100m前後以下なので、それほどきつくはないと予想した。累積標高差は約800mで標高1000m位の山に登るほどのきつさだろう。ただ、志賀坂峠から坂丸峠間は登山地図には赤線の登山道でない。しかも県境は岩稜の二子山西岳を横切っている。この間が一番の難所だろうと考えた。今回のグループは岩に習熟していないので、西岳の岩壁を避けて歩くルートを考えた。

コースは志賀坂峠から登り、県境尾根を東に歩き土坂峠に下る。1台の車は土坂峠にデポし、志賀坂峠に乗り合わせて行き、そこから登ることにした。神流川の谷は深く、南側の尾根は急な山脈だ。志賀坂峠で支度をして、尾根まで20分ほど暗い杉林を登ると、尾根に出た。そこは雑木林で明るくなった。尾根を東に進むと送電線鉄塔になり、国道299号の谷が望め、谷が秩父盆地まで長くつながり、武甲山も見える。東に石灰岩岩稜の二子山が見え、そこにつながる尾根が見える。方向を北に、杉の暗い急登を登る。今回の一番の標高差だ。1090mの尾根まで登り一休みする。「登山禁止のお知らせ」の看板が落ちている。昔は二子山から叶山まで登山ができたのだと分かる。現在、叶山は石灰岩採掘で平らな白い平面が見える。方向を東北東に変え、二子山を目指す。雑木林になると明るくなり、やや黄色くなった木々もあり、秋を感じる。また、土坂峠まで、雑木林といえば、必ずといっていいほど山栗のイガが落ちていた。栗は山の動物たちの食料となっているようでほとんどない。遠いと思っていた二子山が近づく。坂本に下る分岐に続き、ローソク岩の分岐に至る。ここからは東の谷の樹木が伐採され景色がよく見える。県境リレー登山旗を手に、記念撮影をする。逆光で旗だけが明るい写真になってしまった。

西岳の西北の岩稜を回り込んで、その反対側の県境尾根に行くには、標高1050mの地点で水平に西北に進み、上と下の間の斜面を回り込んで反対側に抜け、三岐山の尾根を進むよう計画する。急登の杉林を水平に進む。至るところに鹿の踏み跡があり、それを利用する。300mほど進んで右を見ると高さ100mほどの石灰岩の白い大岩壁が立ちはだかる。上を見るが、岩壁は続いているように見える。地図を確認し、岩壁の上を見るが切れ目らしき場所は見えない。下の岩壁ではないかと思うが、岩壁の切れ目を探しているよりも一旦下って岩壁を回り込む方が安全と考え下り始める。泥の急登、灌木もなく転ばないようバランスを取り、ジグザグに下る。岩壁の端が見える場所までくると車道のガードレールのような物が見える。道は地図にはない。さらに近づくとやはり車道であり、ここに下りる。今、私たちは地図のどの地点にいるのか。この後、県境尾根にどう戻るか、3人で確認する。二子山の股峠に続く林道なら、県境を横切るはずだと、車道を進む。何回か左右にカーブが曲がり、最後は左側に曲がり、下っている。そこは987m三ツ石山の南西の谷だと分かる。このピークに続く斜面を登ることにした。急登で灌木なく、つかまる岩もない。転倒しないよう、斜面に蹴りを入れ、足場をしっかりして斜めに登っていく。そして、尾根の端に空が白く見え、斜度のなだらかな尾根に着き、一安心する。尾根を歩いて数分、987mの三ツ石山に着き、今回の山行の核心部、難所を通過できたことが分かり安堵した。後で反省するに、ローソク岩分岐を目印にしたが、実際は、その分岐はかなり手前に付け替えられていた。地形から回り込みの場所を正確に判断すべきだった。

上:道標が道の歴史を語る 中:ローソク岩分岐 下:奥秩父の幾重にも重なる山脈

さらに土坂峠を目指して進む。2つのピークを越える。尾根はなだらかで、コナラや、落葉松などの樹林だと明るく、杉、檜林では暗い。人工林も割合手入れはされているようだ。尾根でも林の中なので木が少ない所では、その間から秩父の山々や、神流川沿いの集落を望むことができた。矢久峠までは、踏み跡はほとんどない。

野生動物には頻繁に会う。鹿は群れで、時々ピーという甲高く鳴く。糞、足跡が多い。獣道もできている。猪は数頭で逃げていく。尾根の至る所で土が掘り返され、窪みがあり、寝た跡がある。

その後も尾根を歩き続ける。ピークには幾つか尾根が出ている。毎回、進むべき尾根を確認する。11時を過ぎて、標高982mピークに至る。ここでやや長い休憩をとる。登山地図には三岐山とある。神流川沿いの下の集落が望める。矢久峠手前では一般登山道は無いが、古道らしきえぐられた道があり、その昔、ここを道で使っていたと思われるが、何のためかは不明である。矢久峠で、車道を横切る。騒々しいバイク集団と遭遇する。そして、坂丸峠に至る。石の祠があり、昔の峠道らしい。坂丸峠で群馬県万場、埼玉県森戸の分岐となり、我々は父不見山方面に進む。ここからの道はしっかりしている。

この付近は杉の伐採作業中で、急に明るくなった。全体を通し、下草は少ない、ほとんどないが、大きな木が倒れて明るくなっている場所にはヒトリシズカ、シラヒゲソウなども生えている。笹、アセビ、サルナシ、マタタビ、アケビ、クズ、ツツジなどは無く林の下はがらんとしている。下草、灌木のほとんどない林で鹿やイノシシの食害ということか。

標高を上げて父不見山に到着。オートで記念写真を撮るが、前景に栗のイガばかりが写り、取り直す。

杉ノ峠まで下り、さらに土坂峠目指し、大久保山に登っていく。予想に反し、大久保山は岩山で最後の100mほどは左右切れてスリルのある道だった。この付近は灌木が生えていた。土坂峠目指し最後の部分を歩く。

峠直前には最後の難関があった。地図にはないが、急登で岩が剥きだしの斜面で、回り込んでやっと本来の尾根に戻ることができた。また土坂トンネル直前で1名の脚ツリがあり、服薬休憩となった。トンネルの上で、車道に下る道に入ったが車道に向かわない。地形図を見て下ると地図上にない車道になり、この道を下ると、デポしておいた車の駐車場に出ることができた。

ルートが無い場所や、岩場、急登等で苦労したが、無事に、ほぼ予定どおり土坂峠に着くことができた。7時発、16時30分着、9時間の埼玉県-群馬県境の長いコースを歩き切り充実した山行となった。

上:西岳岩稜を回り込む 中:カラマツ林も紅葉はまだ 下:広々した尾根が続く

 

【ハイキング】皿伏山と尾瀬沼全周

皿伏山と草もみじの尾瀬を巡る

山  域:群馬県 皿伏山305m、尾瀬沼
目  的:大清水から皿伏山往復して、尾瀬沼を周回する
山行形態:日帰り
期  日:2022年9月30日(金)

参      加:高橋仁(単独行)   

展望の無い皿伏山頂

行  程: (歩 7時間10分)
熊谷3:40=R17バイパス=沼田=大清水駐車場6:00/6:30=バス=一ノ瀬6:15/6:40➝三平峠7:32→三平下7:46➝南岸分岐8:08➝大清水平8:22/8:41→皿伏山9:27/9:35➝セン沢田代10:06➝皿伏山10:38➝大清水平11:10➝南岸分岐11:23→沼尻11:55/12:17➝長英新道12:46➝大江湿原13:55➝平野家墓所13:02➝長蔵小屋13:12/13:48➝三平下14:08➝三平峠14:20→一ノ瀬15:00=バス=大清水15:15=沼田=本庄=熊谷17:50

静かな佇まいの大清水平

郡馬県百名山で最後になった皿伏山と、尾瀬沼を全周巡ってきた。一ノ瀬から、滝の音が大きな沢道を登り始める。三平峠から尾瀬沼に下る。天気は上々で、碧い尾瀬沼がきれいだ。時計回りに湖畔を歩くと、樹林越しの尾瀬沼から朝霧が立ち上っている。なかなかの景色が見られた。

朝霧が立ち昇る尾瀬沼
南岸分岐から急坂を少し登れば、大清水平に出る。草紅葉の広がるこの湿原は、人の入らない「穴場」だ。草紅葉の向こうには燧ケ岳が存在感を主張するように構えている。倒木とぬかるみの多い道を、緩やかに登って行くうちに皿伏山に着いた。眺望も無いこの山がなぜ群馬の百名山に選定されたのか?(後でその訳が分かったが)

大清水平から燧ケ岳
先の白尾山まで行こうかと思ったが、尾瀬沼を周回したいなとも思い直して、途中のセン沢田代で引き返した。セン沢田代は樹林に囲まれ申し訳程度に草紅葉が見える程度。
南岸分岐まで戻って、沼尻に向かうと、平日とは言え尾瀬は尾瀬、結構行き交う人が増えてきた。沼には紅葉した羊草が広がり、よく見ると二羽のカモが羊草を食んでいる。

ヒツジ草を食べるカモ沼尻平から燧ケ岳山頂部団体ハイカーが賑やか
沼尻平からは燧ケ岳が草紅葉の上に大きく聳えて、山頂の俎嵓、柴安嵓、ミノブチ岳などのコブの様な岩峰が良くわかる。団体に占拠された休憩所の片隅で、昼食を取って、大江湿原、長蔵小屋へ向かう。大江湿原は今日のコース中最大の草紅葉が広がっている。木道を歩く多くのハイカーが蟻の行列の様に見える。寄り道をして平野家の墓所に立ち寄った。尾瀬沼と長蔵小屋を見わたす小高地には平野長蔵さんはじめ家族の墓が建っている。

大江湿原の丘にある平野家の墓所

尾瀬沼越しに見える皿伏山の山容は、その名の通りお皿を伏せたようにゆったりと広がり、なかなか存在感を漂わせているではないか。ほとんど登る人のいない山は、静かに歩き、じっくり眺めて改めていい山なのだ。

湖畔から皿伏山を遠望するビジターセンターで展示資料を見ていたら時間が迫り、大急ぎで一ノ瀬まで下り3時のバスに飛び乗った。(仁)

【その他】陣見山登山道整備(県連の活動)

陣見山登山道整備

私たちの使う登山道を安全に、歩きやすく・・・

山域山名:秩父 陣見山尾根 

期日:2022年9月7日 

参加者:L橋本 柴田

行動記録 秩父鉄道波久礼駅8:00-陣見山登山口から陣見山に至る2km区間倒木撤去作業8:15から10:00-陣見山登山口10:30

<天気曇り>天気予報では昼頃から雨の予報なので、それまでの活動と考え、行動を開始する。参加者2名なので、チェンソーを使わないで、手鋸での人力の作業を計画した。その分、道具の重量は少ない。直径40cm位の太い倒木があるので切れるか少し心配もある。作業道具として、手鋸(園芸作業用)、剪定鋏、ロープ、バールを準備し、手分けして持ち、登山口から入る。

 道の両側に篠が茂り、道を覆っている場所もあり、剪定鋏で切りながら進む。また、灌木もあり、道に出ているので鋸で切る。斜面を登って行くと、直径約40cmの倒木が登山道を遮っている。越せない、潜れないので登山道から外れて歩き、新しい踏み跡ができている。倒木と、その倒れ方、斜度などを見て、作業手順を考える。1か所を鋸で切り、ロープで引いて道から移動させる手順で撤去することにした。丸太の上側から鋸で切り始める。丸太の周りは腐ってぼそぼそで芯の部分が20cmほど固い。切っていくが腐っている部分が濡れていて、鋸が動きにくい。それでも、2人で交代して少しずつ切り進む。出てきたおが屑を嗅ぐと松のにおいがする。15分位切って揺らいできた。バールで叩くとずれた。ロープを使い2人で引くと折れた部分も外れ、そのまま引いて道の下に移動させた。残った部分もさらにロープで引いて、道の下に移動させた。道が歩けるようになり、すっきりした。

 

 

上左:太い倒木が道を塞ぐ 上右:撤去して道が歩けるようになった

下左:手鋸で頑張る 下右:撤去してすっきりしました 

さらに、陣見山方面に進み、倒木を撤去する。古くなって芯になっている倒木、最近折れて道をふさいでいる倒木などがある。事故にも注意しながら労少なく、安全な方法で、登山道から倒木を撤去し、歩きやすくした。美里町の表示のある標柱まで進み、休憩後、下山した。風無く、湿気あり、気温高く相当に汗をかいた。

 登山中は、立ち止まって倒木を片付けることはできないが、登山道整備のための登山なのでしっかり作業ができた。また、登山をする者と、整備をする者の両者の気持ちを味わうことができた。倒木のないすっきりした道を通るとき、傍らに倒木が片付けられていたら、その作業をした方は、登山者の安全な、楽しい登山を願って作業をしていたと想像することができた。太い倒木も撤去でき、登山道整備の充実感と達成感を味わうことができた。  

 

 

上左:撤去前 上右:撤去後 下左:撤去前 下右:撤去後  

 

 

 

 

 

 

【ハイキング】尾瀬ヶ原 春の花山行 2022/6/5

山  域:尾瀬ヶ原(群馬県片品村)

山行形態:無雪期ハイキング
目  的:尾瀬の春の花を楽しむ 
日  程:2022年6月5日(日)
参加者:新井浩、駒崎
行動記録:江南(4:00)⇒戸倉P(6:10/30)⇒鳩待峠(7:00)→山の鼻(8:10)→ヨッピ橋(9:35)→赤田代(10:35)→うろうろ→赤田代(12:30)→見晴(13:05)→山の鼻(15:00)→鳩待峠(16:10/25)⇒戸倉P(16:50)
<天候:曇り/晴れ>
戸倉の第1駐車場は朝6時で半分くらいの埋まり具合。天気予報が思わしくないため、今日の出足は鈍いようだ。鳩待峠までの乗車券1000円を買いすぐにバスに乗車。30分掛からずに鳩待峠に着く。峠の広場は最盛期とは思えないほどの人の少なさ。山の鼻に向かう木道沿いにお待ちかねのミズバショウが出てきた。ほぼ満開状態だ。

 

木道で立ち止まっても迷惑にならないくらい人が少ないのでゆっくり写真を撮ることが出来る。山の鼻も閑散としている。気温は8時で12℃。かなり涼しく、立ち止まると寒い位だ。尾瀬ヶ原を進む。湿原はまだ春には程遠い茶色のままだ。時折ショウジョウバカマのピンク色が目立つ。牛首分岐からヨッピ橋方面に向かう。目の前にはほぼ雪が消えた燧ヶ岳がでっかい。時折ミズバショウとリュウキンカが群れて咲いている。ヒメシャクナゲはまだ硬い蕾だ。

 

ヨッピ橋を越えて東電小屋では、イワツバメがたくさん飛び交い、地面をつついている。ミネザクラは満開。三条の滝方面に向かい、お目当ての花を探す。ちょっと探すと咲いてる~。その花はトガクシショウマ。ちょっと小ぶりだが薄いピンクの花が咲いている。あちこち探すと咲いているが、ピークを過ぎて、花びらの先が茶色になっているものが多い。11年ぶりの再会でした。

 

温泉小屋の前で赤田代を目の前にして昼休憩。さわやかな晴れとなり、気温もちょうどいい。ほとんど人影が見えず、静かな尾瀬ヶ原だ。見晴方面に向かう。ここが一番のミズバショウの映えるいいところと思う。日が当たってタテヤマリンドウも開いている。見晴から竜宮へ向かい、富士見峠方面へ少し入る。ここも静かなミズバショウの群生がある穴場スポット。後ろに至仏山が映える。

 

この後はスタスタと歩き山の鼻に到着。15時で気温は20℃。バスの時間を調べ、17時過ぎまであることを確認して、のんびり鳩待峠まで戻る。乗車券1000円を買い、すぐに乗り込み、戸倉に17時前には帰り着いた。24.3km、歩数42000歩。今日も良く歩いた。
(新井浩 記)

【ハイキング】シャクナゲ尾根→白泰山避難小屋 2022/5/28

山  域:白泰山(埼玉県)

日  程:2022年5月28(土)
行動記録:江南4:30=こまどり荘P740m6:50/7:10→タツマノ尾根→シャクナゲ尾根→白泰山避難小屋(のぞき岩)12:45/13:30→こまどり荘P17:45
参 加 者:駒崎、新井浩

今朝は寒い位の気温だ。途中道の駅大滝で休憩し、中津の集落を越してこまどり荘の駐車場へ車を停める。すぐに身支度をして出発。中津川林道を歩いて進み、中津川に掛かるたつまの吊り橋を渡る。展望の森として整備されているが、階段が多く辟易する。それも急登だから始末が悪い。軽いハイキングのつもりで来た人は引き返すのではないか。通行止めのロープを潜りタツマノ尾根に乗る。

 

ここからは踏み跡が有ったりなかったりでGPSを見ながら広い尾根を登る。アセビが多い。山ツツジはもう散っており、少し残っているものが見られた。1350m付近で一度平らな尾根に乗る。時折進行方向右手に山並みが見える。白泰山から続く尾根と思われる。気温は低く、風が少しあり、少し汗ばむくらいで登るにはちょうどいい。

 

1546m峰を巻きトラバースした後に1485m付近でシャクナゲ尾根に乗る。この尾根は細く、歩く方向には神経を使わずに進める。時折ミツバツツジが咲き残っている。ツツジの木がとても多く感じる。相変わらずアセビの木は多い。アップダウンを繰り返し、1600m手前でやっとシャクナゲが咲いているのが見えた。今まで1本もなかったので、名前負けと思っていた。シャクナゲの花は終盤で下にかなり落ちている。しばらく登ると、満開状態のシャクナゲの森に入る。が、シャクナゲの藪地獄が待っていた。花は満開でちょうどいいタイミングだが、シャクナゲの間を登るのはなかなか厄介だ。シャクナゲの藪地獄は1700m付近まで続いていた。

 

その後、針葉樹の苔むした林となり、明るい広葉樹のピークに立つ。この先少し下ったところに白泰山避難小屋が建っていた。少し先の、のぞき岩と呼ばれる眺めのいい岩の上で休憩する。展望は良く、雁坂嶺、破風山、木賊山、甲武信岳、三宝山の稜線が良くわかる。誰も来ないと思っていたら単独の人が来た。栃本から上がって四里観音避難小屋へ向かうとのこと。

 

涼しく風がさわやかだが、のんびりもしていられない。白泰山避難小屋の中を覗いてから来た道を戻る。シャクナゲ尾根の細い尾根はいいが、それ以外はGPSで登ってきたトラックとにらめっこでルートを探しながら下る。登ってきた踏み跡はわからないものだ。涼しいのが気持ちよく、下界は暑いのだろうと思いながら約10時間の楽しい山行を無事終えました。

(新井浩 記)

 

【その他】県境リレー登山

雲取山県境リレー登山 

=新緑の雲取山から仙元峠までの県境を歩く=

日の出の時間に雲取山に着く

山域山名等:雲取山、酉谷山、長沢山等長沢背稜(都県境尾根)

期日:2022年5月28日、29日 

参加者:橋本 木村 雲取山-仙元峠グループ( L橋本 SL上野  鹿喰 真 木村)

雲取山-鴨沢グループ(SL岩岡 瀬下)

行動記録

5月28日 県境尾根コースと鴨沢コース共通

西部秩父駅集合8:15/三峰神社行バス発8:30=三峰神社着9:50/10:05-霧藻ケ峰休憩所11:55/12:20-白岩山14:40-雲取山荘16:10-雲取山荘泊

5月29日

雲取山-仙元峠コース

雲取山荘4:00-雲取山4:30/40-雲取山荘5:00/5:30-芋ノ木ドッケ1946m6:25-長沢山7:50-水松山8:30-酉谷山・酉谷峠10:00/10:15-七跳山分岐11:10-大栗山・三ツドッケ経由一杯水避難小屋12:45-仙元峠13:45-仙元尾根を通り、浦山大日堂15:40

鴨沢コース

雲取山荘4:00-雲取山4:30/5:00-奥多摩小屋5:40-堂所7:00-鴨沢9:00

<天気晴れ>8時過ぎに、参加者7名が西武秩父駅に集合し、急行三峰神社行バスに乗り移動する。登山者や観光客が多く50名ほどになり、バス2台が運行された。前日の雨があがり、晴天、2日間の晴れ予報に気分が高まる。バスの車窓から、秩父の谷、山が新緑で輝いている様子が見える。大滝の谷に入りと尾根・谷が険しくなる。二瀬ダム堰堤上を過ぎ、三峰神社へバスは高度を上げる。西側の和名倉山が大きな姿を現す。標高1060mのバス停に到着、身支度、顔合わせをして出発する。今回の山行は埼玉労山理事会の担当で理事6名、元理事1名計7名のグループである。バスから降りた登山者も雲取山を目指し歩き始める。歩き始めは杉・檜の人口林の中で傾斜は緩い。人工林を抜け落葉樹林に入ると新緑が眩しい。1時間ほどで炭焼平に着き一休みする。案内板があり、近くに石積みの炭焼き窯がある。30分ほどで霧藻ケ峰の地蔵峠に着く。ここからは南側の太陽寺に下りる道が分岐する。少し進むと岩に秩父宮のレリーフが設置されている。その先に霧藻ケ峰の休憩所があり、長めの休憩をとる。休憩所では飲み物等を販売している。幾分岩場も出てきて紫のミツバツツジが咲いている。また、姿は見えないが、大きな声で「テッペンカケタカ・・」とホトトギスが鳴き、「ジュリジュリ」と小鳥がさえずり、「ポポーポポー」とツツドリが鳴く。

エネルギーを補給し歩き出す。植生は原生林となり、太いアセビ、ミズナラなどが増える。倒木、落ち葉も増えてくる。平坦なお清平を過ぎ、白岩山の急登にかかる。標高は1500mを越え、常緑針葉樹となり、登山道は岩が多くなる。岩の上には苔が生え、ヒノキの幼木が生えていて盆栽のようだ。その辺りで鹿に会う。尾根なので明るく、ツガの幼木の新芽が本当に鮮やかだ。また、黒い大岩があり、高山の雰囲気になってきた。秩父の山々は標高2500m以下であり、森林限界以下なので、ほとんどの山頂も木々に被われている。そのため、南北アルプスのようなお花畑はなく地味な山々だ。標高を上げ、木々の間から和名倉山が見える。奥秩父らしい、常緑針葉樹の森を歩き、14:40白岩山標高1921mに着く。やや下って芋ノ木ドッケを通過する。案内板があり「芋ノ木」とはコシアブラを指しドッケとは突起がなまったものとある。急傾斜を横切る登山道となり、西向きで、下草の生えている場所に、スミレ、黄色のスミレ、ミヤマカタバミなどが生えて地味ながらも色を添えている。空を見上げると青空にやっと萌芽したシラカバが光る。地面にはオオスギゴケやマンネングサの仲間の苔類が生える。大ダワから男坂を登る。テントが幾つも張られている尾根になり、少し歩いて、雲取山荘に到着した。7人全員へたばることもなく歩ききれた。天気がよく、登山シーズンに入り、テントの登山者、小屋泊りの登山者とかなりな人数が入っていた。

上:急な尾根を登る 下:西には両神山などの山々

5月29日

<天気晴れ>天気の変化が多い5月で2日間とも晴天に恵まれた。昨夜は山小屋の窓から東に夜景が見えた。日原の谷の向こうなので青梅市街であろう。3時半位から明るみ、その中で出発の準備をして、ザックは外に置き、ヘッドランプを付け出発する。針葉樹林の道を登る。他の登山者も山頂に向かう。20分歩いて、ヘッドランプを取り登る。頂上手前で東に赤い太陽が昇った。山頂に着き日の出、周囲の景色を眺める。西に稜線が伸び、その北に和名倉山がどっしりとしている。南西に残雪を抱く富士山が見える。立派な山頂石碑の前で県境リレー登山の旗を掲げ記念撮影する。

一旦、雲取山荘に戻り、弁当の朝食を食べる。

 いよいよ出発だ。約11時間の長丁場の稜線歩きとなる。男坂を下り、大ダワを通り、芋の木ドッケへの分岐の道標を確認し右の道を登る。急登であるが左右が切れ落ちていないので安心して登る。息が荒くなり、汗もでる。出発して1時間ほどで針葉樹林の中の標高1946mの芋の木ドッケに着き休む。直ぐの分岐で東方向の長沢山・酉谷山方面に進む。以前このルートを登ったKさんが「今回の一番の急登はここだった」と言い、少しほっとする。緩い下り道で、ダケカンバや小さい落葉松の明るい森になり、コバイケイソウが群生している。ダケカンバは若芽がやっと少しでたくらいで空が明るい。少し登りがあり、長沢山に着く。ここにも雲取山と同じ山頂の石碑が設置されている。この都県境の稜線は長沢背稜というがこの山に因んでいるのだろう。長沢山の付近にはシャクナゲが群生して、蕾、開花と色鮮やかだ。水松山(あららぎ)の南側を東に進む。ちょっとした鞍部になり、北側が望める。下は大血川の谷だ。ここは整地され臨時のヘリポートHのマークがある。道は、稜線の南斜面を等高線に沿うようについており、歩くのには楽で、ずんずんと進める。そして、酉谷山(とりだにやま)の登りとなる。この付近も明るい広葉樹林で落葉が積もっているが、歩きやすい。酉谷山は秩父盆地の南なので平野部が近づき、盆地の東側や宝登山を望むこともできる。稜線の道には珍しくやや北斜面の道の付近には、びっしりとシダが群生しており、落ち着いた様子だ。また、西方に望む両神山は、稜線が目立たない岩ごつごつの山という感じで、当然だが、見る場所で山の形も随分違う。少し下り、酉谷避難小屋の後ろに出る。3人が見に行く。都県境尾根をさらに南東に進む。植生は同じようだ。坊主山、七跳山、大栗山を左に稜線南斜面を進む。今回の稜線の最後の大きいピークとなる三ツドッケに登る。それまでもちらほら登山者とすれ違っていたが、三ツドッケでは大きなグループに出会う。景色を見る暇もなく、南の尾根を下る。直ぐに一杯水避難小屋に着く。白っぽいこじんまりした平屋の建物で、詰めれば30人位は泊まれそうだ。この小屋の水場は東5分位の谷にあるので、そこで美味しい水をいただく。ここから1時間ほど仙元峠までまた稜線を進む。風も無く、広葉樹林の広い尾根は新緑に満たされている。植生や地形も同じようだ。

 この長沢背稜は埼玉県と東京都の都県境であるが、道標の設置者名は東京都となっている。道標は分岐、また途中に「長沢背稜」と行先が表示されており、踏み跡もあり、安心して歩くことができる。岩場には、しっかりした階段、橋が設置されており、登山道としてはよく整備がされている。太い倒木もチェーンソーで切り、片付けられている。歩いてくるだけでも距離があるのに、整備の道具を持参するとなると大変なのではないかと感じる。

上:ミツバツツジが鮮やか 下:秩父盆地平野部を望む

 午後2時前に石の祠のある仙元峠着。最後の休みを入れる。付近にシロヤシオが咲いている。道標に沿い仙元尾根を下る。標高1000m位から下は杉、檜の人工林で暗い。でもその下部では雑木林があり、また高圧電線の鉄塔が4か所あり、明るい。ぐんぐん標高を下げ、最後の急斜面の杉林を下ると下に浦山の大日堂の建物の屋根が見え、着いたことが分かった。階段を下り、5人全員が、長い稜線を歩き切った達成感・充実感をグータッチで分かちあった。午後4時の駅行のバスに間にあい、これに乗り西武秩父駅まで戻り、各自帰路についた。 (橋本記)