東北

【ピークハント】飯豊山

日本百名山 初秋の飯豊山 に登る

 山域山名:東北 飯豊山

期日:2023年9月15日、16日

参加者:橋本 (個人山行) 

行動記録:14日 熊谷21:00=東北道・東北中央道=大日杉登山口1:00 同所泊

15日 大日杉登山口6:00-地蔵岳9:00-切合小屋12:20-飯豊山本山小屋14:30 同小屋泊 

16日 本山小屋6:00-飯豊山山頂往復-本山小屋6:30-切合小屋7:50-地蔵岳10:10-大日杉登山口11:55=磐越道・東北道=熊谷18:20

雨に降られたが、雨が上がる時の光と雲と山は感動的だ

15日<天気曇、雨>朝食を簡単に済ませ、身支度して6:00に大日杉(だいにちすぎ)登山口を出発する。金曜日のせいか、広い駐車場だが数台の駐車だ。登山口には、避難小屋と、登山届記入ボックスがある。ここに登山計画を出して登り始める。降水確率50%の天気予報で、どこかで降られると覚悟して登る。木が鬱蒼と茂った暗い道を登り始める。標高600mから2100mなので標高差1500m、天気がよければテント泊をしようとテントがザックに入っている。また、天気が悪ければ、切合小屋2泊も想定し、2泊3日の食量も詰めてある。太いブナなどの森の尾根を登り始める。雨が降っていたので、道は濡れて泥道だ。10分ほどで、鎖のある谷状の岩場になり、滑らないように登る。天気が気になるが、木々の切れ目から東の尾根の霧が上がっていくのが見える。日も射している。部分的には青空も見える。天気は良くなると期待できるようだ。登山者は多いらしく、踏み跡はしっかりつき、尾根で木々の根がゴツゴツと出ている。1時間ほどで御田の大杉に着いた。杉の巨木があり直径2m位である。風も無く、汗が出る。喉が渇くので水分を摂る。初秋で地味な花が多いが、黄色のアキノキリンソウの類やタムシバやムシカリの赤い実が目立つ。高度を上げると、樹木も低くなり、笹が増える。3時間で、地蔵岳に着いた。山頂は木々に囲まれ眺望はない。ここからは西に向きを変え、この尾根を進む。尾根の南側の道に出ると、草原が広がり、イネ科植物の穂が出ていたりする。天気は良くなりそうだが、相変わらず、曇ったままで、ガスも出て、南の尾根も霞む。日が射さないので暑くないのは助かる。尾根には小ピークがあり、登り下りがある。笹が増え、カンバの木々も生え、株状になっていたりする。コゴメグサやウメバチソウも所々咲いている。目洗清水で水を補給したいと注意して進むと、先客2名が休憩していた。30mほど下り、清水で喉を潤す。

この付近で、下ってくる登山者に会う。天気ははっきりせず、濡れるほどではない霧雨が落ちてきたので雨具を着ける。下ってくる登山者から「切合小屋では水がないので下の沢で汲んであがってください。」と言われる。それからすぐに、御沢別れの分岐があり、尾根方向の道に進む。右に尾根が見え、沢に道が続き、水量の多い沢に至る。喉を潤すとともに、タンクに水を入れ、ザックに入れる。草の斜面になり、ここを緩やかに登って、尾根の分岐に達する。草木のない緩い下りを進むと、切合小屋の屋根が見えた。予定よりも早いので、本山小屋まで歩くことにし、切合小屋は通過。この頃から雨が、霧雨から小雨へと強まる。視界は200mほどしか効かない。草履塚手前の草原は広々している。赤茶で初秋の草原の色だ。道の周りにはリンドウ花を閉じたまま佇む。イワイチョウは花に雫をつけ咲いている。登山者はいない。やや下って白い霧の向こうに赤い服の人がいる!と思って近づくとお地蔵様だった!山を一人で歩いていると、そんな体験が時にある。岩が人に見えたりと。標高は1800mほどなのだが、白茶の裸地が現れ、ハイマツ、ガンコウランの低い植物が地面を覆っている。本州の普通の森林限界である標高2500m以上の景色が広がる。朝日連峰と同様、冬季の多雪のためだろう。そして1か所岩場がある。ステップもホウルドもあり、左右は切れ落ちてもいないので恐怖感はない。だが雨なので、滑らないよう注意して通過した。そして、最後の登りにかかる。岩、大石が多いが、左右に道が切ってあり、砂利混じりの泥で滑らない。ガンコウランや、コケモモの小さな実があるので摘んで口に入れ、味を楽しむ。衣類は、雨と、汗で上も下もぐちょ濡れになってしまった。靴も防水スプレーを吹いてきたが時間が長いので染み込んでいる。ここを乗り越え、水場の標柱で小屋まで0.3kmと確認し低木の中を進み、本山小屋に到着した。雨も強いので、テント泊装備はあるが、小屋泊りすることにした。

上:尾根のカンバは太い 中:標高が高い尾根には低い草木が生える 下:ガスの中で百名山完登 

本山小屋には、管理人がいて、声をかけると、部屋に入る手順を細かく説明してくれた。1泊2500円。この日この小屋の二人目の登山者となった。1人2畳ほどのスペースで更衣室やハンガーがあり、煮炊き用金属プレートがあり、トイレも水洗で快適な小屋だった。やたらと注意書きがあるのは山小屋らしくないが、守らない登山者も多いということか。衣類を着替え、濡れた衣類を干し、さっぱりしてから温かい飲み物を飲む。

 今回の飯豊山登頂で、私の百名山登山は完登となる。70歳のうちに登りたかったが、71歳11日での登頂となる。一つの目標は達成できたので、次なる目標は・・と考える。岩、沢、山スキーもやってきた。この歳でも、3日間テント泊装備でほぼコースタイムで歩ける。この体力は維持して、もう少し山を楽しみたいと思う。また、明日の予定をどうするか考える。天気が悪かったら三国岳経由のコースは止めにして、大日杉へ来た道を下ることにした。4時位までに登山者6名が小屋に入り、8名の宿泊者となった。この小屋にしては余裕の広さである。

 5時ころ、ご飯、缶詰、みそ汁、コーヒーの食事で体が暖まったので横になり、眠りにつく。夜半に風の音がするので晴れていれば星も見えるかと期待するが、曇っているので朝まで休む。

16日<天気曇、雨>天気はよくない。とりあえず、山頂まで行く。山頂と小屋の標高はほとんど同じで、砂礫の尾根を歩いて直ぐに着いた。視界の効かない山頂には誰もおらず記念の写真をセルフで撮る。昨年の北海道山行では東部の3山(雌阿寒岳、斜里岳、羅臼岳)で同様な登山だったことを思い出す。小屋に戻ってからザックを背負い下る。登りとは異なる景色を期待しつつ、道端の草花にも目をやりながら歩く。途中、視界が効く場所もあり、後光が射したような景色だった。切合小屋を過ぎ、大日杉分岐を左に進み、沢で水分補給・休憩をする。尾根に登ってからは地蔵岳まで、余り休まず歩く。急にガスが薄くなり、明るくなり、雲が吹きあがる景色に見入ったりもする。登ってくる登山者ともすれ違う。

アップダウンを繰り返しながら地蔵岳に10時10分に着く。ここで10分間休む。後は尾根の下りだ。やや速足で下る。下り始めてすぐに雨が強くなる。雨具は上だけ着ける。ブナの大木が出てきた辺りで沢の音が聞こえ、谷が見えた。1度、濡れた木の根で滑り、転び左の腰を打つ。歩くには問題ない。11時55分、雨がさらに強くなった大日杉口に着いた。

上:矮性低木のガンコウラン 中:イワイチョウ 下:ハバヤマボクチ