東海中部

【沢登り】北アルプス赤木沢

北アルプスの名渓=赤木沢を楽しむ

 山域場所:北アルプス赤木沢

期日:2023年8月19日20日

参加者:橋本 他会員外11名 (埼玉県勤労者山岳連盟沢人主催 、個人山行扱い)

  

          赤木沢に入ってすぐの滝・滝壺

行動記録:18日 上里SA21:30=関越道、上信越道、北陸道=立山IC=立山アルペン村 19日2:00 同所泊 

19日立山アルペン村6:00=有峰林道小見線(有料)=折立登山口7:20-太郎平小屋12:20-薬師沢小屋14:10 薬師沢小屋泊 

20日薬師沢小屋5:40-赤木沢出合6:50-北ノ俣岳稜線登山道11:10-太郎平小屋13:10-折立登山口15:35=往路を帰る=上里SA22:00

19日<天気晴れ>有峰林道小見線のゲートは6:30開門でこれに合わせて出発するが、すでに20台以上が開門を待っていた。開門後、折立登山口目指して、トンネルの多い道を進む。有峰ダムが見えてから、そのダムを回り込んで、2kmほど走り折立登山口駐車場に着く。手前の駐車場は満車、奥の駐車場に誘導されるが、ここも混んでいる。有料道路開門後すぐに来たのにこの混雑ぶりは、前夜からの宿泊者が多いということか。支度して登山口に向かう。標高1350mの登山口から標高2330m太郎平まで、約1000m登り、薬師沢小屋に下るルートだ。晴れて陽射しが強い。登山道は、尾根筋の樹林の中にあり、程々の斜度だ。はじめはカンバ等の広葉樹が多い。登るにつれ、ツガ、ヒノキの常緑樹が増える。結構太い木も生えている。尾根なので、木の根元の土が流され、根が出ていて歩きにくい。場所によっては、登山道がえぐられ、深さ1mほどのU字の溝になっている。高くなるにつれ、大石や岩の露頭の道になる。標高2000mほどになると左右に草原が出てきた。草原にはキンコウカの類が多く生えている。道端には、マイヅルソウやゴゼンタチバナが生えているものの花も実も無く目立たない。アカモノの実は目立つ。五光岩ベンチまでは傾斜もきつく、休憩を入れながら歩く。その後は、緩やかに伸びる尾根を太郎平まで登る。登山者が多いためか、尾根が幅広く裸地になり、植生回復工事がされ、敷石の登山道が整備されていた。薬師岳等へのメインルートで登山者が多いことも影響していると思われる。

 太郎平小屋まで着くと、登山者が沢山行き来し、ベンチで休んでいる。また、薬師沢小屋の宿泊もここで確認するよう掲示されている。雲が多くすっきりしないが南に水晶岳や雲の平が見える。

 一休み後、薬師沢に沿って、薬師沢小屋に下る。南面になったせいか、紫色のリンドウが目立つ。ずんずん下って沢を2回渡り、その後は沢の右岸を小屋に向かって下る。ただ、小沢を横切るので、その都度、登りもある。冷たい水が豊富にあるのでありがたい。湿原、草原、篠原もあり、植生も変化がある。最後の、急坂を下り、赤い屋根の薬師沢小屋に着いた。

ここは黒部川と薬師沢の出会い地点にあり、透き通る豊かな流れが、白い渦を作り、深みは周囲の深緑を映していた。小屋はこじんまりして建物はやや傾いているが、傾斜計を設置してその傾き具合を見せるなどしていた。展望の開けたテラスのベンチに集まり皆で冷たいビールを飲みながら歓談する。夕食後、翌日の沢登りに備え、準備をしてから眠りについた。

    上:標高2000m位から丸い尾根は草原となる 下:薬師沢小屋への道

 20日<天気晴れ後曇>5時に朝食を摂り、準備して5:40に小屋の下から、黒部川を遡る。他のグループも同じルートで赤木沢を登る。黒部川本流の大岩のある川原を歩く。花崗岩系の大岩、石で白っぽく明るい川原だ。両岸は急峻だが、樹木が鬱蒼と茂っている。水に濁りがない。川底まで見える。しばらく遡ると、大淵があり、数mの滝から水が落ち込む。右岸のわずかな岩の割れ目を伝って抜ける。メンバーのほとんどは、沢登りの経験者で、ずんずんと水を蹴って歩くと冷たく気持ちがよい。川底の石で滑り、転ぶメンバーもいる。1時間ほどで、赤木沢入口に着く。晴れてきた。皆、これからが本番と気分が高揚する。右の岸をへつり、腰ほどまで水に浸かり、赤木沢に入って行く。赤木沢は東向きの谷で陽射しが一気に強くなる。最初の滝の水が白く光りながら、濃緑の淵に流れこむ。淵を回り、段状の滝を次々に登る。岩に藻がついておらずフリクションが効いて登れる。この後、最後の高さ40mの滝まで階段状の滝、樋状の滝、なめの滝と変化に富んだ滝が続く。滝の下には滝壺、渕があり透き通る水を湛えている。周囲の景色も登るにつれ草原になり、天気がよく青空も見え、明るい。急な滝では、滝の横を登るか、少し離れたルートを巻くか各自の好みで登る。この谷の岩石は薄茶色で堆積岩だと思われるが相当硬そうだ。滝などで、地層が現れている場所もある。沢に入って2時間ほどで、沢の奥に稜線が見えた。北ノ俣岳の稜線だ。相当登って来たと実感する。さらに登り右に曲がると正面に垂直の大岩壁が見えた。これが最後の高さ40mの大滝だった。階段状の沢を岩壁まで行くと、右側に滝が落ちていた。岩壁にはクラックもあり、ロープを出せば登れそうだが、時間もかかるので右の踏み跡を辿る。

     上:黒部川本流  中:赤木沢入口  下:滝の横を登る

流れは細くなり、斜度も緩くなる。沢の幅は1mほどに細くなる。沢の両側にはベニバナイチゴの赤い実があり、摘んで口に入れる。熟れた実は結構甘い。その後、北ノ俣岳に近い登山道に出るよう、右寄りの小沢を辿る。草原で一休みする。ここまで登り、反対方向を眺めると、水晶岳、鷲羽岳、雲の平などの山々が連なる。この上には、大きな樹木は無い。笹原、草原、ハイマツのなだらかな尾根でここを、ひたすら登る。それにしても、沢靴ではグリップも効かず登りにくい。11時過ぎ、登山道に出た。約5時間かかった。ロープを出すこともなく、滑落も無く登れた。ガイドブックには、この地域にあっては、登りやすい沢という説明があり、登ってみてそれが分かった。

 沢装備を外し、濡れた衣類を脱ぎ、一般登山の装備に着替え、太郎平小屋に向かう。1時間ほどで小屋に着き、さらに折立の登山口に下った。雲が増え、薬師岳は見えたり、隠れたりという様子であった。名渓と言われる赤木沢を仲間とともに楽しめ充実した山行となった。

 

上:最上流部の2段40mの大滝 下:小沢を抜け、草原、ハイマツ帯を抜けて登山道に至る