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【ピークハント】九州3山 阿蘇山 九重山 由布岳

 

九州 阿蘇山 九重山 由布岳 山行 (個人山行)

九州中央部 火山の山に登る

山域山名:九州 阿蘇山 九重山 由布岳

期日:2022年11月7日、8日、9日 

参加者:橋本義彦

 

          噴煙をあげる中岳火口

行動記録:11月7日 羽田空港8:15=熊本空港10:10=阿蘇山古坊中P12:10—中岳13:55-高岳14:20—中岳15:00—阿蘇山古坊中P16:30=九重山付近泊

<天気晴れ>九州の登山は屋久島を含めて4回目になる。九州本島の山行は2月、5月に行い、その2回は悪天候や、通行止めで登れない山があった。今回、天候の安定する11月に計画した。

 熊本空港からレンタカーを使い、阿蘇山に向かう。九州もすっかり秋景色になっている。阿蘇市に向かう道路はよく整備され交通量も多いが走りやすい。熊本地震で壊れた橋も修復されている。ナビで阿蘇山登山口と入れたルートで走るが、阿蘇市に入ってから、草千里に向かうルートでないことに気付く。ナビは仙酔峡の登山口に案内していた。草千里に向かう交差点で右に曲がり、すすきの穂が出た草原の道を登る。草千里を抜け、登山口の古坊中駐車場に入る。駐在所で駐車のことなど尋ねると「あちらに駐車をして」と言われたのでそちらに車をまわすと登山者用駐車場で料金500円を徴収された。準備して、出発した。午前の便できたので、昼からの登山となった。火口までの車道もあるが、現在、中岳火口周辺1kmは立入規制があり、観光客も入れない。レストハウスも廃業の様子だ。登山道は車道を少し進んで、右に迂回して中岳に登る。案内板にしたがって灌木のある、緩斜面を進む。標高1000mほどだが、火山のため森林限界が低い。天気よく東の中岳が聳える。一旦尾根に出て、それから下ると、元々の砂千里ヶ浜ルートの分岐に出るがそこは通行禁止になっている。植物の乏しい平坦な場所を東の山に向かって進む。中岳火口からは大きな白い噴煙が立ち上り、中々の迫力だ。「噴火」は・・と心配もあるが、観測しているので大丈夫だろう。噴煙の手前は、砂千里ヶ浜だが、植物は無く、浅間山の山頂付近と同様に小沢が均等に山を削っている。その端の場所からは谷を登る。大きな噴石があり急登だが登りにくいということはない。汗をかきかき、尾根に出ると南阿蘇方面が望める。ここで一休み。登山者はちらほらという程度。さらに高度を上げていく。中岳への尾根の西に崖があり、きれいな地層がある。グランドキャニオンみたいだ。噴火して陥没したためか。尾根に出ると、そこからはなだらかな広い砂礫の尾根でゆったりした気分で歩く。中岳に着く。噴火口に近く白い噴煙が立ち上り、東北方向になびいている。向きを変え、高岳に向かう。斜度も緩く、大岩を抜けて高岳山頂1592mに着く。周囲の景色がよく見える。仙酔峡の谷も見え、ロープウェイは撤去され、山頂駅の付近も工事をしている。

 登山者2人ほどに会う。仙酔峡から登って来たと言う。「大変な急登の尾根でした。」と話す。ここから尾根を進む。高岳東峰からはその東の根子岳がよく見え、鋭い岩峰である。ここから月見小屋を目指し下る。岩の間にはツツジがたくさん生えている。季節にはミヤマキリシマが綺麗だと想像する。リンドウが茶色の草原で咲いている。月見小屋の周辺は砂礫の平原で、案内板によると高岳火口原だという。少し登り、高岳への分岐に至る。そこからは、往路をひたすら歩く。日が傾き、西の烏帽子岳が黒い。地図には阿蘇山上駐車場とあるが、現地の案内板では「古坊中」となっている。予定よりもやや遅く駐車場に戻った。

 素晴らしい火山地形であり、地球の火山活動を見て、嗅いで、体で感じることのできる山行だった。植物の成長している季節なら、さらに色鮮やかであろうと想像した。時間が少し遅くなり、予定していた杵島岳には登らず次の目的地に向かった。

 

上:リンドウがたたずむ 下:中岳西斜面

11月8日 宿泊地=牧ノ戸峠6:30-扇ケ鼻分岐7:30-星生山8:00-中岳9:10-稲星山9:40-久住山10:30-久住山避難小屋10:50-扇ケ鼻分岐11:10-牧ノ戸峠12:10=由布岳周辺泊

<天気晴れ>牧ノ戸峠駐車場には20台ほどの車が停まっている。身支度をし、登山届を出して舗装の斜面を登り始める。紅葉が終わり、落葉している。数㍍の木々が茂っている。アセビ、シャラなどだ。第一展望所からは長者原方面が望め、温泉の湯気が立ち昇る。沓掛山の尾根まで登ると今日登る久住山などの山々が見える。尾根は大岩でその間を進む。尾根だが木々が茂っている。そこを抜けると平坦な道になり、アセビが来春の赤い蕾をつけている。また、あまり高くない落葉松林があり、黄葉している。扇ケ鼻分岐まではやや登りになり、登山道の泥が流され、石ごろごろの沢状の道になっている。分岐からは星生山への道を行く。手前に岩山があるが、そこは低木の林の中を抜けて尾根に登った。尾根にはハイマツに似た柏槙が生えていた。また、ツツジも刈りこまれたように形がよく、枝先には小さいが膨らんだ花芽を付けている。砂礫の尾根を登り、大岩の山頂に到着。風もなく穏やかで、今日登る他の山々もよく見える。登山者は尾根、山頂にぽつぽつと見える。

尾根を東に進む。左下に白茶の硫黄山の尾根、それに白い噴煙が目立つ。一旦、鞍部に下りて、中岳に登る。この鞍部に古い石の案内柱がある。旧字で「豊後中村驛」とあるので戦前にも登山されていたことが分かる。中岳に登っていくと、数㎝の霜柱が白く目立つ。枯れたススキの付近を抜けて登るにつれ、背の低い草、灌木の斜面になる。右に御池が青く見える。大岩を登り九重山・九州本土最高峰の中岳1791mに到着した。快晴で九重山の山々、遠くに双耳峰の由布岳も見える。素晴らしい景色だ。大船山、平治岳、三俣山とその間の坊ガツルもはっきり見える。また、一旦鞍部に下り、稲星山に登る。すぐに山頂に着く。山頂は火山噴出物がそのまま固まったような場所だ。南側を望むと牧草地などが広がる。西の久住山に向かい、10分ほど下る。地図では神明水の水場あるが、水は枯れてなかった。火山の山は、一般的には、降水は地中に染みこみ、沢に水が流れることは少ない。

久住山頂目指し、最後の斜面を登る。斜面にはツツジ、イワカガミ、苔などが密に繁っている。斜度が緩くなり、尾根を西に進んで山頂に到着した。ここは訓練で登ってきたという自衛隊員や登山者で込み合っていた。天気は快晴、景色は良く見え、最高だ。花の季節ならさらに綺麗だろう。しばらく休んで、山を下った。太陽は上に昇り、明るい草原となった。朝方の暗い時とは異なり、マユミの赤い実がたくさんついており、青空の中で輝いていた。

  

 

上:九重山中岳登頂 右:坊ガツル方面

11月9日 宿泊地=由布岳正面登山口6:50-合野越7:30-西峰9:20/20-東峰9:50-日向岳分岐経由・登山口11:50=熊本空港=羽田空港

<天気晴れ>由布市の東にある由布岳は、鋭く立ち上がる火山の山で、端正な姿をしている。百名山ではないが、それだけの姿をしているのではと思った。南側の登山口からは木々がぽつぽつ生える草原の向こうに高く聳えている。朝日で赤い山目指して登り始める。かなり寒く、手袋、上着を着て登り始める。人の手で管理されているのだろうが、西側に草原、笹原の山が広がる。日向岳への分岐からは沢沿いに登る。沢には水がなく、登山道は雑木林の中である。柏の木が紅葉している。落葉も積もっている。合野越で由布院からの道と合流し、山頂を目指す。木々が低くなり、草原になるがすでに枯れている。西に由布院の市街地が見える。街の上に霧がかかる。その向こうには昨日登った九重連山の影が黒い。急傾斜で由布岳に続くが、道は何度も右左に曲がりながら高度を上げるので、さほどきつくない。少し息を荒げ、高度を上げると由布院の街が箱庭のように見える。手前に白い煙が上がっているが、温泉の水蒸気のようだ。先ほど登ってきた沢に水が流れていなかったが、地下水となって温泉で湧きだしているようだ。間もなく東峰、西峰の股に着いた。まずは西峰に登る。岩登り初級程度の岩場が4か所ほどある。慎重に登る。鎖、ロープもあり、心配するほどではない。丈の低い草木の緩斜面を進み、山頂に到着。周囲に遮る物が無く遥か彼方まで見える。九重山は青みがかっている。一人登山者が登って来た。言葉を交わすと阿蘇山、九重山と登って来たという。同じような人がいるものだ。下る途中のツツジが桃色の花を付けている。この山も、ツツジが咲くころは見事だろうと思う。標高1500mほどで灌木なのだから、やはり火山の山だ。鞍部を経て、東峰に着く。景色は最高だ。東の鶴見岳も見え、その向こうの瀬戸内海、その先の四国の山脈も見える。ここから日向岳分岐を目指し下る。岩場が何か所もあり、慎重に下る。そこを過ぎると雑木林になる。落葉している。日向岳には登らないで下りることにし、山麓のトラバース道にかかる辺りはモミジの紅葉が美しい。樹木に看板がかかっている。バイカウツキ、フウ、クマシデ、タンナ、リョウブ、コカクウツギ、ウラジロノキなどの名前がある。この付近で何人かの登山者と会う。分岐からは草原でリンドウが静かに咲いている。振り返ると由布岳が青空を背景に堂々と佇んでいた。本州の山々とは違う魅力ある山を楽しむことができた。

 

 

上:由布岳は端正な山だ 右:九重連山を望む