山スキー記録    熊谷トレッキング同人

‘厳冬の至仏山に登頂す’
尾瀬・津奈木橋ベース山スキー
アルバム

山域山名:尾瀬・至仏山(群馬県)
期  日:2008年2月9日(土)〜11日(月)
参 加 者:L宮田 栗原昌(計2名)

 3月の至仏山には学生時代に幾度か登っていますが、この三連休を利用して若手の栗原昌氏と厳冬期に初挑戦してきました。

 二人で交代のラッセル&ラッセル、二人占めした超快感林間パウダー滑降。やっぱり冬山の原点は、奥山に入りテント泊しなければ味わえない。熊校山岳部の冬山合宿をちょっと思い出しました。

行動記録:
2/9 北本(4:00)=戸倉第2駐車場1000m(7:30/8:05)→林道ゲート(8:15)
 →津奈木橋1315m(11:05/BC設営/12:30)→1866mピーク南東尾根1600m(13:25/13:35)
 →稜線1850m(14:30/14:55)〜BC(15:25)
<天候:晴のち雪>

 −12℃と冷え込んだ快晴の戸倉第2駐車場を出発。国道をでかいザックとスキー板を持って歩く我々を、戸倉スキー場へ向かう車は皆ブレーキランプを1回点滅させて抜いていく。駐車場から林道ゲートまではちょうど10分、意外と近い。林道には昨日の坪足単独と先週と思われるスキートレースがあったが、昨日降った新雪でラッセルして進む。スキートレースはイシゴネ沢手前で西山方面に消えた。
林道をラッセル
 笠科川に架かる橋を渡り黙々とラッセルして進むと、単独スノーシュー登山者と出会う。昨日入山して津奈木橋にテン泊したが1日じゅう吹雪で、深雪のため尾瀬ヶ原を諦めたとのこと。林道ラッセルにうんざりした頃、津奈木橋がやっと見えた。今夜から南岸低気圧通過により強風が吹くかもしれないので、橋から少し奥の樹林帯にBC設営。この辺りで積雪は2m、例年より少なめか。昼食を食べていると、後続の4名パーティが脇を登っていく。彼らは稜線にテン泊して明日至仏を目指すという。

 午後は、明日の偵察&トレース付けとパウダー滑降1本をかねて、夏道のある稜線まで1866mピークから南東に派生する尾根を登る。出発しようとした直後に、バリバリという音がして、雪といっしょに枝がテントの上に落ちてきた。どうやら雪の重さで枝が折れたらしい。下山後に気がついたのだが、エスパーステント本体が5pほど裂けてしまっていた。とりあえずガムテープで補修する(現在カモシカで修理中です)。エスパースの生地は軽量化のため薄く作っているので、この程度の枝でも耐えられなかったと思われる。数十pも裂けたていたら、内張しか装備していないため幕営に影響したかもしれない。

 4名のトレースがついた林道を外れて尾根に入る。この尾根は昨年4月9日、アプローチにMTB使って至仏山に登った時に下山で滑った尾根である。最初は脛ラッセル程度、黙々と高度をかせぐ。うるさくはないが下部は藪が出ていて、昨春よりも雪は少ないようだ。登るにつれ、次第に雪が舞い出す。1850mで稜線に到達すると、ちょうどすぐ上をさっきの4名が登っていた。重荷を背負ってのラッセルで林道をつめてこの場所まで来ているとは、ものすごい強者ぞろいである。視界もさらに悪くなってきたので滑降体制に入る。さぁ、行きましょう。残雪期も素晴らしかったが、厳冬期はもっと素晴らしかった。斜度、樹間も申し分なく極上のパウダーがラッセルの労をねぎらってくれた。

 BCに着いてまずはビールで乾杯。栗原氏は真冬のテン泊は初めてとのこと。冬山テント生活のイロハ、雪を融かしての水作りなど冬山の基礎を教える。夜からは雷鳴とともに雪が強くなった。

2/10 BC1315m(7:35)→悪沢岳1866mピーク南東尾根1650m(8:45/8:55)
 →稜線1860m(9:50/10:00)→オヤマ沢田代(10:50/11:00)→小至仏山(11:30)
 →至仏山(12:05/13:00)→小至仏山(13:35/13:45)〜1935m北(14:15/14:20)
 →1866mピーク(14:45/15:10)〜BC(15:35)
<天候:終日雪、午後から下部では薄日指す>

 今朝の予報では「低気圧の発達が弱かったため里では朝から晴れ」とのことだが、山の天気は別物か、相変わらず雪が降っている。稜線が吹雪なら行動不能であるが、まずは稜線までいってみよう。そのうちに天気も回復するかもしれない。BC周辺では新雪は20pほど、これなら昨日のトレースも使えそうだ。しかし、尾根を100mも登ると次第にトレースは消えていく…。ラッセルは膝下までになって昨日より深く、雪も重たい…、がんばるしかない。

 約2時間で昨日の1850m地点を通過、降雪とガスで視界はほとんどない。ラッセルも膝皿とさらに深くなり閉口してきた頃、1866mピーク先で4名のテン場跡を見つける。彼らは早々に出発したようだ。この時期に至仏山を越えてテント泊縦走とは、どこかの歴史ある山岳会に間違いない。これからあとは、彼らのトレースをありがたく使わせてもらおう。ここまでも結構なラッセルで、オヤマ沢田代までもし彼らのトレースがなかったらとても2人ではきつい。体力温存&時間短縮できて非常に助かった。

 ホワイトアウトのオヤマ沢田代を通過。ここからは主稜線、東側に張り出した雪庇に注意しながら登る。さすが主稜線は西風が強く、斜面も波打っている。小至仏山を越え、下り斜面からはクラスト、アイスバーンと雪面変化が激しい。でもアイゼンに履き替えるほどではなく、シールとエッジを立てて進む。本峰との鞍部からはさらに風が強くなったが、無事に至仏山頂へ。厳冬期の山頂に立てて感無量である。視界の回復を待つも、強風と雪はやみそうもない。ワル沢の状態もわからず、シールのまま往路を戻ることにする。

skier 宮田 小至仏鞍部で一瞬東斜面が見えたが、この深雪なか突っ込んで小沢の乗っ越しと緩斜面の大トラバースが不安なため、そのまま小至仏に登り返す。急がば回れである。小至仏を越えた直下でシールをはずす。これでやっと滑れる。視界も十分でないので、左手の雪庇に落ちないように滑る。波打った凹凸もわからず酔いそうだ。オヤマ沢田代からはいくらか視界も良くなった。短かかったが無木立斜面滑降にホッと一息つく。でも、登りのトレースに復帰するまでひと苦労する。トレースに入るとボブスレー滑降だが、トレースを外すと斜度が緩く深雪のためすぐに止まってしまう。1935m手前の鞍部でシールをつけて1866mピークに登り返す。ここまでくると、西山方面から薄日が差してきた。もうBCまで楽しいパウダー滑降が待つだけだ。

 1866mピークの出だしは素晴らしい斜面、尾根に入っても深雪パウダーは続く。「ヤッホー」の連発だ。下部は若干サンクラスト気味となるが、30分足らずでBCに滑り込む。厳冬期の至仏登頂おめでとう、ギンギンに冷えたビールで乾杯!

2/11 BC1315m(8:00)→橋(9:00/9:10)→坤六峠西1776m北東尾根1600m(9:55/10:15)
→1776mピーク(10:55/11:25)〜橋(11:50)→BC(12:20/撤収/13:35)→林道ゲート(14:50)
→戸倉駐車場(15:00)
<天候:快晴>

 今日は朝寝坊、気温も−15℃と冷え込んだ。今日は最終日の半日行動なので、坤六峠西1776mピークを目指して、北斜面のパウダーをいただこう。

 BC出発して真っ新な林道を今日もラッセル。栗原氏も足繁く山スキーに通い、ラッセルのコツをつかんだようだ。ガッツある若者の入会は会を活性化してくれる。背中に快晴の日差しを照らされ暑く感じる。1時間で橋を通過。目の前の針葉樹林濃い急斜面に取り付く。昨日の疲れからか雪が重たい。小尾根が合流する1600m平坦地からは雪面は波打つようになる。振り返ると、至仏山と燧ヶ岳、右手には笠ヶ岳がよく見える。広大な笠東斜面は魅惑的だ。時々ウサギのトレースを追う。1776mピークに着くと、昨日と思われる西山方面からのスキートレースがあった。山頂で西山北方ピークにいる木下氏と交信、ちょうど今着いたところとのこと。お互いの無事と下山のルートを確認し合う。skier 栗原

 さぁ、最後の滑降です。尾根上は波打っているので、北向き斜面をトラバース気味に滑る。1600mでトレースを横切り、登った尾根の東側の沢に入る。ここは広葉樹帯で快適なパウダーだ。「ヤッホー」と雄叫びを上げると、あっという間に林道のヘヤピンへ。橋を渡る頃には汗が噴き出す。津奈木橋手前まで滑ることができ、最後はシールをつけてBCへ。

 快晴無風の樹林帯はとても静かで、周りの雪も妙に暖かく感じる。昼食中にあの4名パーティが津奈木沢対岸を下っていく。手を挙げてあいさつする。こちらもテント撤収して林道を下るのみだ。シールも林道を100mほど行った先ではずし、あとは一部緩い登りがあったがほとんど快調に滑れることができた。ちょうど3時に戸倉駐車場に着き、充実した山行が終わった。


 連休中にもかかわらず、山に取り付いていたのは4名パーティのみだった。真冬は少々アプローチに難があるが、このエリアには魅力的な斜面がたくさんある。これからも尾瀬を素晴らしい山スキーフィールドとして登っていきたいと思う。      (宮田記)