山スキー記録    熊谷トレッキング同人

初滑り!立山パウダー滑降!!

山域山名:北アルプス・立山(富山県)
期  日:2007年11月23日(金)〜11月25日(日)
参 加 者:CL宮田 SL栗原昌 井上(計3名)
アルバム

行動記録:
11/22 移動日
 今日から待ちに待った初滑りだ。今シーズンのためにファットスキーをはじめ、ビーコンなど多大な投資をして、満を持してこの日を迎える。20:00北本、車を乗換えて高速に乗る。本来は富山側から入る予定だったが、雪の影響でバスが運休しているので仕方無しに長野側から入ることにする。22:30長野ICを降りて井上氏邸へ。30分後到着。

 軽く一杯飲んだ後就寝。暖かい部屋の中で寝られて快適だった。

11/23 扇沢駅1430m(9:00)→室堂2450m(11:15/11:45)→一ノ越2705m(12:35/12:50)
 〜立山トンネル付近2550m(13:00/13:20)→山崎カール2740m(14:30/14:50)
 〜雷鳥平2300m(15:25/15:45)→雷鳥荘2390m(17:00)

<天候;快晴>行動時間:5時間15分、累積標高差:+650m/-600m、消費カロリー:2870kcal
一の越直下を登る
 4:00起床。井上氏があたふたしている。ポールの伸縮機構が壊れていたらしい。なんとか直そうしているが駄目みたいだ。途中で買っていくことにし、インターネットで開いている店を探す。穂高駅前の山の店が朝6時からやっているみたいだ。朝食を取って5:45出発。

 無事ポールを購入して7:50扇沢着。既に上の駐車場は満車で、下の方もやばそうだったが、何とかスペースを見つけほっとする。準備を済ませ駅の方へ行くと切符売り場には長蛇の列が。皆初滑りが目的のようだ。何とか第2便の9時発のバスに乗ることが出来たが、この先2時間はご存知の通り乗換え地獄が待っていて、11:15室堂に着いた時は既に疲労感が漂っていた。

 しかし、外に出て見るとその疲れも吹っ飛ぶ光景が飛び込んできた。大快晴の青空の中にそびえる真っ白な雄山!半年振りの立山はいつもの景色で我々を待っていてくれた。さあ、シールを付けていざ一ノ越へ。既に踏み固められたトレースが付いていてラッセルも無く快適に登っていけたが、約5ヶ月振りのシール登高、加えて重いファットスキーのせいか意外に疲れる。それでも1時間かからずに一ノ越到着。さあいよいよです。1本目は一ノ越から東斜面を100mほど滑るつもりだったが、先行2人が難儀しているのを見てパス。西側に回る。

 1本目。まず北へトラバース気味に進む。最初の数十mはクラストしていたが、やがてふかふかパウダーに変わる。適度なところで進路変更。称名川源頭に向かってドロップ。5月にも滑って感激したいい斜面だ。パウダー特有の沈み込む感覚に最初戸惑うが、やがて勘を取り戻して板を制御できるようになってからは、この独特のターンのリズムが快感に変わっていく。そう、思い出した。1年前、この感じを味わってから山スキーにのめりこんでいって、もっとこれを味わいたくて熊トレにも入ったんだった。100mほど滑ってまずは前菜を味わった。そのあと遅めの昼食を取る。
山崎カールの懐へ
 それから、一旦登り返して山崎カールを目指す。ツアー集団のトレースをはずれ、上へ上へと交代ラッセルしながら1時間強のアルバイトでカール2740m付近に到着。このノートラックのパウダー斜面が本日のメインディッシュ。先行2人が歓声を上げながら滑っていく。最後に私。いただきまーす! 2人のシュプールをよけつつ、バージンスノーに一本のシュプールが描かれて行く。この先の斜度がきつめの斜面はさらに極上のパウダー!まるで波乗りのように板が浮いたり沈んだりして、まさに無重力状態。こんなの初めてだ!日常生活ではちょっとこの感覚は味わえませんよ!私も変な奇声を上げながら2人の待つところまで滑る。その先はもう無数のシュプールがついていて、我々の至福の時は終わった。10分かそこらの時間だったけれど、なにものにも替え難い貴重なひとときだった。

 雷鳥平までの緩斜面を滑り、鞍部に出たところでシールを付け、雷鳥荘まで最後の一仕事。だが既に精根使い果たし、その上シールまで剥がれてヘロヘロになりながら鞍部から1時間程かかってようやく到着。小屋はごった返していたが、我々は個室なので快適。一風呂浴びた後、乾杯。今日のパウダーを肴に夕食まで飲み続けた。宮田氏の「山崎カールからの一本は25年の山スキー人生の中でも思い出に残る一本だった。」という一言が今日を象徴していたと思う。
    スキーヤー:井上   ファーストトラックを刻む


11/24 雷鳥荘2390m(7:05)〜雷鳥平2280m(7:15/7:30)→雷鳥沢2520m(8:15/8:25)
 →剣御前小屋2760m(9:05/9:25)〜剣沢2660m(9:35/10:00)
 →剣御前小屋2760m(10:15/10:30)〜雷鳥平2280m(10:55/11:35)→雷鳥荘2390m(12:05)

<天候;晴後曇り> 行動時間:5時間、累積標高差:+580m/-580m、消費カロリー:2460kcal

 4時過ぎ起床。今日は午後から崩れそうなので昼には帰ってくるような予定を立てる。朝風呂に入った後、6時前に食堂に並びオープンと同時に朝食を取り、7時過ぎに出発。テント場に向かって100mほど滑り、称名川にかかる仮設の橋を渡ったところでシールに履き替える。7:30ハイクアップ開始。雷鳥沢の尾根を登り始める。トレースはしっかりしていたおかげで順調に高度を稼いでいって45分後、急登を登りきった2520m付近の平らな場所で小休止。大日岳の眺めが素晴らしい。この先もしばらく尾根沿いを登っていくが、稜線に出る手前100mの急登は凍っていて、先行者が難儀して登っていたので、我々はトレースをはずれ、沢をトラバースして剣御前小屋直下の尾根に取り付いた。このルートは雷鳥沢の雪崩の危険性がある場合は使えないが、この日は既に無数のシュプールもあり雪質は安定していたので通ることが出来た。そのおかげもあって予想よりも早く、9時過ぎには剣御前小屋に到着。
雷鳥沢を詰める
 さすがに稜線は風が強くて寒い。かじかむ手に苦闘しながらもたもたしていたので、宮田氏から「基本行動が遅い!」と叱られる。スミマセン。ようやく滑走準備が出来、目標の一つだった剣沢へ滑り込む。斜度もきつくなく、かつ広い斜面なので危険なところは無いが、ちょうどガスって視界がゼロに近い。滑る斜度が分からないまま突っ込んでいった。ほとんど転がるように滑って、3回ぐらいこける。深雪なので、こける度に起き上がるのにエネルギーを消費し、ヘロヘロになった。100m下った斜度の無くなったところでストップ。ここで大休止する。沢底は視界も開け、風も無い。ゆったり八峰を眺めて剣沢を満喫する。去年は天候不良でここまで来られなかったそうで、我々は本当に運がいい。

 15分かけてまた剣御前小屋まで登り返すと、小屋のまわりは大勢のスキーヤーで賑わっていた。まだ続々と登ってきているのが見える。一足お先に我々は雷鳥沢に滑り込む。標高差500mの大斜面だ。あまり期待はしていながったが最初の200m程は予想に反して最高に気持ちよかった。シュプールもあまり付いてなく、昨日ほどではないがパウダー滑走を味わえた。しかし標高が下がるにつれ、だんだんモナカ雪に変わり滑り難くなっていく。そんな雪をものともせず宮田氏は気持ち良さそうにどんどん滑っていくが、私と井上氏はもうふとももがパンパンで、ただズルズル降りていくだけだった。どうやったら悪雪をあんな気持ちよく滑れるのだろうか。スキーは奥が深い。最後100mぐらいはまた滑りやすい雪質に変わったので、残った太股筋を全部使って仮設橋まで滑り降りる。小屋から橋まで20分強で滑ってきた。やっぱスキーは早いなー。
 橋の手前でお茶を沸かし、のんびり昼食を取る。今日はこれで終わり。後は小屋まで登り返すだけだ。40分間の長い休憩の後、シールを付け最後の登り返し。今日はシールも剥がれることなく、約30分で小屋に到着。また一風呂浴びた後、ビールで乾杯。本当にテントでは味わえない快適さだ。もう、立山でテントを張る気にはなれないだろう。井上氏は疲れて寝てしまったので、二人で夕食までの長い時間をだらだら飲んで過ごす。夕食の頃にはすっかり出来上がって、食事後部屋に帰るとすぐに寝てしまった。
  
11/25 雷鳥荘2390m(7:15)→展望台2410m(7:30/7:40)→室堂2450m(7:50)
 →国見岳2620m(8:30/8:55)〜国見岳北西沢2420m(9:10/9:20)
 →天狗山直下2500m(9:35/9:50)〜国見岳北西沢2420m(10:00/10:35)
 →国見岳2620m(11:10/11:40)〜国見岳北東沢2420m(11:55/12:05)→室堂2450m(12:15)

<天候;快晴> 行動時間:5時間、累積標高差:+540m/-490m、消費カロリー:2340kcal

 4時起床。昨日と同じく朝風呂の後、朝食を取る。今日は私のリクエストで国見岳周辺を滑べる。出発前は井上氏のケータイ紛失事件もあって慌しい朝になったが、無事見つかったので一安心。ザックにすべての荷物を詰込み、7:15出発。今日もいい天気だ。3日間好天なんて、なんという幸運だろうか。
早朝の陽光
 15分程歩いた後、地獄谷が見渡せる展望台で写真タイム。8時前には室堂に到着。バスターミナルを回り込んで、国見岳にとりつく。今日は荷物が重くて大した登りでもないのにもうヘロヘロだ。立ち止まっては息を整える。やがて山頂が近付き、目線が稜線を超えると疲れを吹き飛ばす絶景が出迎えてくれた。手前は薬師から奥は槍、笠ヶ岳まで見通せる。言葉にならない歓声が漏れる。山頂ではさらに360度の大パノラマだった。富山平野、日本海、大日岳、剱岳、立山三山、北アルプス山脈、遠く雪をかぶった白山まで見える。こんな景色、一生のうちで何度もお目にかかれるものじゃない。本当に今回は幸運尽くしだ。

 景色を楽しんだ後はお待ちかねのスキータイム。まず北西側の沢に向かって滑り込む。例によってノートラックの斜面。沢自体は緩斜面だが尾根と沢の境はなかなかの急斜面。雪質も北面とあって3日目にしては上質。足りないのは私のスキー技術か。急斜面では恐怖心が邪魔して後傾姿勢になってしまいバランスを崩してしまう。これでは余計危ない。もっともっと修行せねば。せっかくの好条件も、多分宮田氏の半分も楽しめていない。それでもこんなに気持ちいいのだから、上達すればもっと別次元の気持ちよさが待っているのだろう。

 沢底に達し、そこからシールで隣の天狗山目指して登り返す。沢は完全には埋まっておらず所々岩が出ている。15分後、天狗山手前の稜線を少し行ったところ、標高2500m付近から再び沢底目指して滑り込む。今回一番の急斜面か。35度ぐらいありそうだ。後傾にならないことだけを意識して度胸一発ドロップイン。またあの無重力感覚が全身を包み込む。スピードも出ないので思い切って滑れる。数回ターンしただけで終わってしまうような標高差50mぐらいの僅かな距離だったが、私なりの会心の滑りが出来て大満足だった。その後沢底まで滑り込んでそこで大休止する。

 一服しながら天狗山山頂から滑るボーダーを見学する。次々と急斜面をものすごいスピードで天狗平のほうまで滑っていく。そしてまた重いボードを担いで登り返している。山ボーダーは根性あるなぁと感心する。彼らもこのパウダーを味わうためには労力を惜しまない、とりつかれた人種なのだろう。

 休憩の後は再び国見岳を目指して沢をつめていく。交代でラッセルしながらまたもやヘロヘロになって30分後再度国見岳山頂に到着。もう一回あの景色を満喫し、今回最後の滑りに向けてシールを剥がす。板を北に向けさあラストです。北側の尾根を100mぐらい滑った後、雪庇の切れ間から北東斜面へドロップ。こちら側はもう無数のシュプールでギタギタだったが、雪そのものは悪くない。しかし、ラスト50mぐらいから雪質が変わり、もう踏ん張りが利かなくなった足はそのままバランスを崩して派手に転ぶ。最後の締めは決まらなかったが、車道まで滑り込んでゴールイン。もう思い残すことは何も無い、完全燃焼した3日間だった。

 10分ほど車道を歩き、ターミナルに到着。ちょうど良いタイミングで下りのバスがあったのでそれに乗り込む。帰りは乗り継ぎもスムーズで14:00頃扇沢に着。道の駅で遅い昼食の後、長野で井上氏と別れ、高速に乗る。関越大渋滞の看板があったので吉井ICで降り、裏道を通って19:00頃北本着。

 宮田氏曰く10年に一度の好条件の中、天気良し、雪良し、宿泊良しの三拍子揃った立山初滑りでした。惜しむらくは、パウダーを本当に味わうだけの技術と体力が私にはまだまだ備わってなかったことです。今シーズンは滑り込んで修行を重ね、どんな雪でも対応できる技術と体力を身に付けた状態で、願わくばもう一度同条件で立山を滑ってみたいです。    (栗原昌記)