マレーシア・キナバル山ロウズピーク
山域山名:マレーシアサバ州 キナバル山ロウズピーク4095.2m
期日:2018年11月22日・・・26日 登山23日‐24日
目的:東南アジア最高峰キナバル山への登頂 マレーシアサバ州の自然、文化を理解、楽しむ
参加者:CL橋本 SL高橋仁 大嶋 駒崎 花森 山口
行動記録:
11月22日 熊谷駅4:00=バス=成田空港第二ターミナル6:50=マレーシア航空チェックイン7:30=成田空港発9:30=マレーシア航空MH0081便・機内食=コタキナバル空港着(ここから現地時間=日本時間引く1時間4:40/15:15=バス=コタキナバル市内クラガンホテル16:30=ウェットマーケット見学・夕食17:30/19:30=同ホテル泊
午後、コタキナバル空港に着く。エアポートバスに乗り、センターポイントのバス停で降車する。ホテルにチェックイン後、海岸沿いのウェットマーケットに行く。熱帯野菜、熱帯の果物、海でとれた魚、カニ、エビが売られている。ドリアンを食べる。ランブータンをホテル用に買う。そして皆で夕食に焼きそばを食べる。ホテルに帰り、翌日の登山に備え早めにベッドに入る。
<登山日23日24日>
11月23日 クラガンホテル6:00=ボルネオツアーのワゴン車・朝食=キナバル公園事務所受付7:40/8:10=ワゴン車=<天気晴れ時々曇り>チンポリオンゲート1886m8:30(水)約1km毎にあるシェルターで小休憩しながら登る)?ローウィーシェルター・昼食休憩10:25/10:45ーレイヤン・休憩12:30/13:00?ラバンラタレストハウス3372m16:20(標高差約1500m)・ビュッフェ夕食17:10/18:10・同所泊
11月24日 <天気曇り時々晴れ、雷雨>ラバンラタレストハウス起床・軽食1:30/発2:30?サヤサヤハット4:20/4:35?キナバルロウズピーク4095m6:10/6:25(標高差約720m)?サヤサヤハット7:25?ラバンラタレストハウス・朝食8:40/10:00?(各シェルターで休憩しながら下山)?チンポリオンゲート14:20=ワゴン車=キナバル公園事務所・登頂証明書配布14:50=バルサムカフェ・ビュッフェ昼食14:50/15:15=ワゴン車=クラガンホテル17:15=メリディアンホテル・チェックイン17:30=買い物18:00=ホテル内で軽食・同ホテル泊
上:樹木に2種類のランが着生し咲いている
11月23日<天気 晴れ・薄曇り>クラガンホテル玄関に6時に集合。登山に使わない荷物をホテルに預ける。チェックアウトをする。朝食付きの料金なのでで、チェックインのときに依頼しておいた朝食パックを受け取る。一人2パックの朝食だ。ホテルスタッフはMarieさんだ。「よい名前だ。日本ではその名前はたくさんある」と伝えると「マリー」と発音した。熱帯らしく、半袖で丁度よいライ位の気温だ。予定どおり迎えの車は来るのか。心配しているとAmazing Borneo Toursのワゴン車がホテル前にきた。一安心。ドライバーが橋本かときいてきたのでそうだと答える。私達だけ6人で、専用車となった。市街地を抜け、広い幹線道路を北に向かう。高速道路ではないがかなりの速さで走る。周囲は熱帯らしく、ヤシの類が繁る。山道に入る前に朝食パックを食べる。サンドウィッチ、チキンなどでボリュームがある。40分ほどで東に曲がり、山道に入ると登り坂でカーブが多くなる。途中から東北方向に特徴のある山が見える。「あれだ」と皆で盛り上がる。幹線道路で2車線、カーブもゆるいのでぐいぐいと走る。キナバル山は車窓の右、左に見え隠れる。周囲の景色は民家が少なくなり一面の木や草だ。芭蕉の葉のようなバナナが茂り、青い房を付けている。キナバル以外の山は日本と同様、細かい稜線、谷をつくっている。そして、2時間弱、予定よりも早くキナバル公園本部に着いた。すぐに公園本部のスタッフが近寄り、受付のためパスポートを集めて事務所に持って行く。途中のトイレ休憩もないので皆、トイレへ。受付の様子を伺いに行くと、先ほどのスタッフが、登山登録用紙に記入して欲しいと言う。私一人だけかと確認すると全員分の用紙がある。既にインターネッとで申し込んでいるし、パスポートをコピーするので必要ないと思うが・・・。全員用紙に記入し提出する。受付は20分ほどで終了し、入山許可のネームタグを渡され、首にかける。車のところに登山ガイドが来ていて合流した。同じ車で細い山道を、チンポホンゲートに向かう。
ゲート前で降車し登山の身支度後登山し、まずゲートのスタッフのチェックを受ける。いよいよ登山開始だ。標高約1800m、ここから標高差1400mを5時間ほどで登る。薄曇りで風はない。やや涼しいくらい。木々は高い。6人全員登れること、天気が良いことを願いつつ歩き始める。登山ガイドは5人につき1人付くことが義務になっている。私達は6人なので2人が付いた。地元のドゥスウン族の30歳前後の青年でジョーとジャスティンだ。英語が話せるので説明は英語だ。私と山口さんが通訳して皆に伝える。ジョーは1000回ほどキナバルに登ったと話していた。歩きはじめの数百mは下りで小さなカルソン滝を左に見て本格的な登りとなった。高木があり、数mのシダがあり、その下には草花がある。木々にはひげ状の地衣類や、バルブの目立つランの類が着生していたりと植物好きには見飽きることのない森だ。シェルターで一休み。どのシェルターでも屋根付き、ベンチ付きの小さな休憩舎とトイレ、金網付きのごみ箱があり、掲示板には植物や地質の解説板がある。こんなに整備された登山道は日本にはないと思う。2つ目のシェルターだったと思うが、シェルターの近くに小さな動物が現れた。ネズミより大きく、尾が太いのでリスだと分かる。食べ物を千切って投げると競争で取り合い、運んでいった。リスはその後、数か所のシェルターで見ることができた。ガイドにオランウータンはいるのか聞くと「たくさん人がいるのでいない。」と説明していた。登山道は初めの滝を過ぎてからは、熱帯雨林の中だが、尾根筋に登山道があり、沢を横切ることはなかった。しばらく歩いてから両側が切れ落ちている道に差し掛かると頂上付近に霧をまとったキナバル山の巨大な岩体を望むことができた。花崗岩でできているので白っぽい大きな岩だ。あそこに登ると思うと気持ちが高まる。アップダウンは無いが、6Kmで1400mも登るのでかなりの急坂だ。汗が噴き出る。登山道沿いに径10cmほどの黒いパイプがある。ガイドに尋ねると「トイレットパイプ」と答えた。4cm位のパイプは電気のケーブルのようだ。登るにつれて徐々に植物が変化してきた。バルブのあるランの類も足元や樹上に増えてきた。花は咲いていない。ウワバミソウやインパチェンスに似た植物自生している。苔も増えてきた。瑞々しい色、触りたくなるようなコケもあった。高い木の上のほうに苔玉のような物がついていて、ランのような葉も見える。苔とランが樹上で共生しているようだ。桃色の野ボタンのような花や黄色のロードデンドロームも咲いている。ガイドがネフェンシスと指し示す先にガイドブックの写真にあった筒状のウツボカズラ(食虫植物)があった。登りながら左右の森の中をみるとあちこちにあった。触れる所にあったウツボカズラを至近距離で見ると、なんとその筒の上端内側にはトゲがぐるりと一周していた。中に入った虫が出られないよう、城にあるような「武者返し」があった。登山道の急な所には階段があり、手すりも作ってある。よく整備されている。2500m位から地面は赤っぽい地層が白い花崗岩になった。水成岩の地層を花崗岩体をが突き破って山になったということか。登山道、シェルターではたくさんの外国人に出会った。日本語で「こんにちは」、英語で「ハーイ」「ハロー」など。中国語、韓国語でも声をかける人もいる。現地ムスリムの女性ははヒジャブという布を頭に被っている。国際色豊かだ。3000m位になると、下の集落を見ることができた。植物は数m位になり、カイヅカイブキのような針葉樹っぽい植物、ススキのような植物も増えてきた。哺乳類やチョウ、昆虫、鳥類もたくさんいるというガイドブックの説明があったがリス1種、チョウ2種類、鳥類2種位で日本よりも少ない。カ、ブヨ、アブ、ハエがいないのはありがたいが。また、観音竹のような植物が生えていた。見ると鋭いトゲがバラのように生えている。こんな植物は日本には無い。ベコニアに似た植物も自生し白い清楚な花をつけていた。時々、荷物を背負った人に追い抜かれ、またすれ違った。この先のラバンラタレストハウスのレストランへの燃料(プロパン)や食材を運ぶ現地の人だ。ゴミも全部背負って下すようだ。小屋まで間近な場所で1本の木に紫、黄色の花が咲いている。木に他の植物が着生して花を咲かせている。もう少しもう少し、と汗を流しながら登りって行ってやっと開けた場所に出た。パナラパンで、レストハウスも見えやっと着いたと安堵した。すぐに受付をし、ラパンラタレストハウスの2階に泊まること、食事の時間、翌日の予定など打ち合わせ一休みとなった。部屋は6人1部屋で2段のベッドが3台ある。上の段は1.5mほどで手すりもなく寝相の悪い場合に落ちるかもしれないと心配になる。ベッドは人が動くと上下とも動くが日本の雑魚寝と比べると1人1ベッドで十分満足だ。一休み後、ブッフェの夕食になる。スープ、肉の煮物、野菜、パスタ、パンなどがあり、皆それぞれ好みの物を取ってきて歓談しながら夕食をいただいた。スイカ、メロンなどのデザートもあり、おいしくいただいた。3年前の大地震で水道設備が壊れたので水は7MR(210円)を買わなければならなかった。
上:キナバル山ロウズピーク登頂達成 下:山頂南側のサウスピーク
11月24日<天気曇り時々晴れ、雷雨>午前1時30分に起床。登山の装備を整え、2時からの軽食をとる。深夜なのであまり食欲も無い。部屋から外を見ると曇っているが視界は効く。ポタポタと雨だれの音がする。雨対策=雨具&夜対策=ヘッドランプ装備で玄関前に集合する。暗い夜の登山道をガイド先導、5人で登り始める。大嶋さんは夜眠れず、不調のため、小屋に残ることになった。直ぐに急登だが、階段があり、息を荒げて登る。一登りすると、東の方向、下に集落の灯りが見える。これで、日の出が見られるかと希望をつなぐ。植物は人の丈くらいになる。前を見上げると前のグループが列で登っていく。深夜の雨音は何だったのだろう。道はほとんど乾いている。屋根についた水滴が垂れていたのか。登山道は西に向きを変え、なおも登ると小さな小屋サヤサヤハットがあり、ここで休憩と入山のチェックをする。まだ夜は明けない。休憩後が本格的な登りとなった。直ぐに花崗岩の一枚岩の様な大岩になる。ストックをガイドに預け太いロープを握り、登る。汗が出る。暗いから分かりにくいが疲れが溜まってきている。急な岩を登りきると3929mの掲示板がある。もう、富士山の標高を超えたことに、もう少しだと気分が高まる。立ったまま休憩、そして登り続ける。何百mもの花崗岩のスラブ状の岩板が続く。滑りにくいが結構な傾斜だ。写真で見たあの岩原だと思った。こんな岩盤でもその切れ目には水がわずかにしみ出ていたり、小さな灌木や草が茂っている。強いものだ。
天気は曇りながら、次第に明るんできた。やや傾斜が緩んできた場所、時間は6時前。東の雲の間から太陽の光が差し込んできた。急いでパチリ。最後の大岩を幾つも登り、遂に熊トレメンバー5名はキナバル山ロウズピークに立つことができた。午前6時10分。微風。薄いガス。気温5度位。全員元気だ。空は晴れてきている。次々に登頂するので集合写真を急いでとり、少しある風を避けるよう50mほど下った場所で休憩、写真をとる。西方に影キナバルが長く長く伸びる。絶景だ。南側にもっこりしたセントジョンズピーク。そのやや東、下にサウスピークが鋭い。その手前にはグランドが幾つも入るほどの広い広い花崗岩の岩原。東を見れば北側に激しく岩が切れ込んでいる。直径5kmの巨大花崗岩体が地下数百Kmから地殻を突き破り4000mの高山になる?とは想像もできないことだ。
登頂できた達成感を胸に下山を始める。今まで暗くて見えなかった物が見えてくる。花崗岩岩原には所々に小さな池ができている。また、広い岩盤に直線状の白いラインが引かれたようになっている。割れ目に白い成分が入ったのだろう。また、この花崗岩は巨大岩体で節理は斜面と平行に入っているので、歩く時は大きな敷石の上を歩く感じになるのだろう。濡れている場所は滑りやすいとガイドが注意したが、それほどでもなかった。気持ちにも余裕ができたので、3年前の地震のことやスラウエシ島地震のことなどを尋ねた。日本人が亡くなったのはサヤサヤハットの上の辺りだという。確かにこの付近を見回すと北側の崖から巨大な岩が下に何個も崩れ落ちている。岩が白く最近崩れたことが分かる。2つあるドンキーズイアピークの右の頂上付近も崩れたという。サヤサヤハットで休憩。下山のチェックを受ける。この付近からはラバンラタの屋根も見える。また下の集落も見える。緑の平原は牧場のようだ。急な階段を下りてラバンラタレストハウス着。天気もすっかりよくなった。深夜からの行動で皆、大分疲れた様子だ。朝食と1時間ほどの休憩をとる。
10時にラバンラタを出発。登りでは植物の観察と写真撮影でゆっくり目だったので下りは多少急ぎ気味に歩く。疲れたためか、つまずいたり、滑ったりもするが大事には至らず下り続ける。花崗岩の場所は滑らないが、砂岩泥岩の道では滑りやすい。下から2番目のシェルターで休んでいるとき、にわかに雨が降り始める。傘をさしたりして下る。ゴロゴロンと雷鳴も大きく響く。あと1時間なので下るしかない。黙々と下る。疲れもピークになる。最後は数百mの登りできつい。下山口のゲート通過の頃、雨が最も激しくなった。ともかくワゴン車に乗り、キナバル公園事務所に到着した。ここでカラフルで立派な登頂証明書をいただく。ガイドとはここでお別れ。私達はここの直ぐ近くのレストランでビュッフェランチを摂る。冷えて疲れ、空腹の体に温かい食事はありがたかった。
昼食後、ワゴン車に乗り、クラガンホテルの戻り、荷物を受け取り、メリディアンホテルに移動しチェックインをする。ホテルマンは中国人で、うまくお願いして南シナ海の見えるオーシャンビューの部屋を確保した。3部屋が別の階になってしまったが。遅い昼食だったので皆で買い出しをし、ホテルでささやかな下山祝いをし、同ホテル泊。
11月25日<天気晴れ>メリディアンホテル8:00=移動はタクシー利用=ウェットランド8:30/9:30=サバ州博物館9:45/12:15=サバ州立モスク12:20/12:40=12:50/14:30=ハンディクラフトマーケット・セントラルマーケット見学等15:00/17:30=インドレストラン18:00/19:00=ホテル19:10=タクシー=コタキナバル空港19:30=空港チェックイン20:30
11月26日 コタキナバル空港発0:50=マレーシア航空MH0080便・機内食=成田空港着(日本時間)7:40=バス=熊谷駅南口11:00
<天気晴れ>25日は予備日だが、2日間で無事登頂を果たしたので余裕の1日となった。有効に活用するよう、市内巡りをした。
ウェットランド:湿地帯でマングローブの森が茂っている。カニなどが多い。鳥はシラサギ位。
サバ州博物館:原住民の生活、習慣などの展示。動植物の展示など。高床式の住居など。
サバ州立モスク:きらびやかな建物、祈り中で外からの見にみ。花も植栽され明るい。
ウェルカムシーフードレストラン(昼食):エビ、アワビ、カニ料理を食べた。
市内見学買い物:ココナッツ生ジュースを飲んだりマンゴスチンを食べる。ハンディクラフトマーケットでは真珠を使ったアクセサリが多い。金加工品の店も多い。
インドレストラン(夕食):海岸沿いのレストランで日本人にも合う味だった。
コタキナバル国際空港・帰国便:大きく立派な空港。深夜の出発でゆったり過ごす。クレジットカードが使えなかったり、機内照明が壊れていたりと小さなトラブルがあったが、無事、成田空港に着くことができた。 (橋本記)