関東

【ピークハント&ハイキング】釜伏山

アオダモ咲く釜伏山

 山域山名:寄居町釜伏山(582m) 

期日:2025年5月13日(火)

参加者:L橋本 相澤 福井

 

行動記録:波久礼駅8:15-日本の里9:35-釜伏山11:10/11:35-塞神峠経由-野上駅14:10

上:アオダモは山頂付近に咲いていた 下:関東平野を望む

<天気晴れ>前日は曇だったが、今日は快晴に近い。空は青く、木々はすっかり青葉になり、強い朝日に緑の陰影がはっきりしている。集合場所の波久礼駅に3人が定刻に集合、出発した。若いハイカーが1人いたのみ。交通量の多い140号を横断、玉淀湖にかかる寄居橋を渡る。このダム湖の水は多く、周囲の緑を写す。風布方面に向かうと車も人も少なく静かだ。

途中から、風の道(釜伏川沿いの遊歩道)に入る。直ぐに夫婦滝があり、透明な水が白い滝となって落ちる。民家の花壇の花が鮮やかだ。道は釜伏川沿いに姥宮神社まで続く。植林地、雑木林内の道で、沢の瀬音がする。林内だが、林床には、アオキが生えていて赤い実が目立つ。この道は寄居町が管理しており、沢には橋や飛び石が設置されている。数年前の洪水では、被害があったが、その後修理をして歩きやすくなっている。沢沿いで地面が湿っており、ウワバミソウ、ユキノシタ、ワサビなどが生えている。白い花の草などがある。(名前不明)シダも繁茂していて、その葉はシンメトリックで模様が綺麗だ。参加者3人とも花好き、植物好きで話が弾む。薄紫の花が咲いている。後で調べると、中国原産の外来種セリバヒエンソウだという。綺麗だが外来種とは、・・・複雑な気持ちになる。黄色のクサノオウ(毒草)も咲く。大岩があると、イワタバコの葉がたくさんついている。ピンクの花が咲く頃は綺麗だろう。小さなイトトンボが飛んでいたり、耳をすませばカジカガエルの鳴き声が聞こえたりと、本当に自然豊かな沢沿いの道だ。ウグイスも大きな鳴き声でさえずる。ガビチョウもうるさい程だ。植物はこの時期、毎日変化していると感じる。

 姥宮神社の裏側から入り、車道に抜ける。この神社の大杉は一見の価値がある。三峰神社の大杉に敗けない太さ、高さだ。車道をしばらく歩く。旧小学校分校前広場で一旦休憩。植物を見ながら歩いたので予定時間よりもかかる。

 

上:谷の入口にある夫婦滝 下:塞神峠からは山道に入る

日本水の汲み場に続く車道から、左の道に入る。杉林の中、沢沿いの道を登る。林床にはアジサイ系の白い花が目立つ。湿度も高いのだろう、杉の根元は苔が生えている。車道から、登山道に入り徐々に高度を上げる。そして、右手に大きな岩壁が見える場所の階段を登り、尾根に出て、ここで小休止。後は尾根を辿る。汗が出てくる。

 釜伏山続く尾根は、狭く、急だが、ここの岩は長瀞と同じ変成岩でできていて、地層が水平なので、急坂も階段状になっていて登り易い。道の傍につかまりやすい立ち木もある。少し登ると、ツツジの多い尾根があり、この場所は、4月には、ヤシオツツジが咲いていた。西上州の岩峰と同じツツジがここに咲いているとは最近まで知らず、この山の魅力が増えた。だが1月経った今は新しい芽が出ているのみ。ここには五葉ツツジの石碑がある。以前、この付近にはアオダモが咲いていたが、今年はない。若葉の雑木林を登っていくと、日本水水場に続く道の分岐がある。ここが、地質の境で、山側が急坂になり、山は蛇紋岩でできている。寄居方面から見るとこの山の山頂部は半球状になっている。道に出ている深緑の岩に磁石を付けると弱いながらも引き付けられ、鉄などの金属を含んでいることが分かる。蛇紋岩は、金属を含み塩基性で、植物は育ちにくく独特な植物が生えるという。確かに、丸い釜伏山の山頂部分には、大きな木が生えていない。

 気温が上がった中で、最後の急登を登り切り、汗をかきかき、山頂近くの景色のよい尾根に着いた。振り返れば、関東平野がやや白いもやの向こうに広がり、爽快な気持ちになる。日陰を見つけ、その下で少し早い昼食休憩にした。近くの木を見れば、何とアオダモの花が咲いている。散り終わったのもあり、来るのが少し遅かったようだ。山頂付近には、盛りを過ぎたヤマツツジも咲いている。

 ゆっくり目の休憩後は、山頂を通過し、釜山神社に向かい、一旦下り、小高い丘を登って右に曲がる。この道は桧並木になっており、車道ができる前は、ここも参道に使われていたようだ。車道に出てからは、塞神峠までは、車の通らない道の両側の植物を見ながら歩く。サルナシ、アケビなどの蔓植物がある。モミジイチゴ、カジイチゴ、クサイチゴなどの実のなる草木もある。地味だが白い花のコゴメウツギ、マルバウツギが咲く。ヤブデマリ、ミズキ、エゴノキ(咲き終わっている)などの木の花は白く目立つ。また、参加者の一人からグーグルの写真検索の方法を教えてもらい、試してみるとすぐに植物の名前等が出てくる。山の植物を知りたい人には植物観察のガイドが一人ついているようだ。車道は下りになり、西側の林が伐採された場所では秩父方面が展望できる。すぐ下には、長瀞町、その先に皆野町、赤平川沿いに吉田付近が見え、その向こうには、両神山が聳える。夕日を見るには良い場所だ。

 

上:ヤブデマリ 中:横臥褶曲 下:イワタバコ群生

塞神峠からは、山道に入り大鉢形の集落に下る。数ミリのスミレが咲いている。また数センチの紫の花が落ちている。花の咲く木はと見上げれば、大桐がたわわに花を付けている。

 車道に出て、カーブを4回程曲がると、沢沿いの道となる。この道は、樹陰で涼しく、沢のせせらぎがいつも聞こえてくるような道だ。岩の崖には、苔がびっしりと付き、イワタバコが生えている。7月8月の花の時期に訪れたら、明るい谷だろう。

 道端に長瀞町指定天然記念物「天然横臥褶曲」の案内柱があり、沢に下りる。川底の岩を見るが褶曲らしく見えない。対岸を見上げるとそこに案内板がある。数㍍登って岩の断面を見ると確かに激しい褶曲面が見える。その下にヤマブキソウが咲いていた。幹線道路に出る途中には、秩父事件と回り念仏の解説板があり、歴史や文化を知ることができる。谷からでると強い陽射しだ。金石水管橋を渡り、野上駅に着くと10分ほどで丁度よい列車がきた。同じルートでも時期により、天気・気候はもちろん、植物、花、生物など大きく違う。それが、同じ山に何回登っても興味が尽きないことにつながっている、それを感じさせられた山行となった。                        (橋本記)