埼玉県熊谷市の山岳会 海外トレッキング、登山、山スキーなど幅広く活動しています。
北海道
【ピークハント】北海道の主な山に登る
2022北海道山行(個人山行)
魅力と個性あふれる北海道の主な山に登る
山域山名:北海道 大雪山、幌尻岳等 下記参照
期日:下記参照 登山は7月4日から7月18日
参加者:橋本義彦
旭岳北側の裾合平に広がる大花畑と雪渓
2022北海道山行計画(当初)
期 日 活 動 内 容 交通手段等
7月2日 自宅21:00=大洗FT24:00 船内泊 車
7月3日 大洗FT1:45=苫小牧FT19:45=アポイ岳冬島登山口P23:00 同所泊 フェリー 車
7月4日 アポイ岳冬島登山口5:00-アポイ岳7:00-ピンネシリ尾根-437峠11:00-冬島登山口13:00=新冠イドンナップ山荘ゲートP17:00 同所泊 登山 車
7月5日 イドンナップ山荘ゲート6:00-新冠ポロシリ山荘11:00 同山荘泊 登山
7月6日 新冠ポロシリ山荘5:00-幌尻岳10:00/40-幌尻岳11:30-ポロシリ山荘 登山
7月7日 新冠ポロシリ山荘6:00-イドンナップ山荘ゲート11:00=トムラウシ短縮コース登山口16:00 同所泊 登山 車
7月8日 トムラウシ短縮コース登山口5:00-トムラウシ山10:00-登山口14:00=然別湖17:00 同所泊 登山 車
7月9日 然別湖5:00=白樺峠登山口-5:30-東ヌプカウシヌプリ7:00-登山口8:00=オンネトー国設野営場9:30-雌阿寒岳13:00-雌阿寒温泉登山口14:30=摩周湖第一展望台16:30 同所泊 登山 車
7月10日 摩周湖カイヌプリ登山口5:00-カイヌプリ8:00-登山口10:00=清岳荘登山口11:00-旧道経由-斜里岳14:00-新道経由-登山口17:00=岩尾別温泉19:00 同所泊 登山 車
7月11日
岩尾別温泉5:30-硫黄山登山口6:00-硫黄山9:00-三ツ峰キャンプ地12:00 同所泊 登山
7月12日 三峰キャンプ地6:00-羅臼岳7:30-岩尾別温泉下山口10:00=旭岳キャンプ場16:00 同所泊 登山
7月13日 旭岳駅6:30=旭岳ロープウェイ=姿見駅6:50-旭岳9:20-北鎮岳10:40-裾合分岐13:00-姿見駅14:40=RW=登山口15:30=望岳台P17:30同所泊 登山 車
RW(上6:30—下5:30)
7月14日 望岳台5:00-十勝岳9:00-美瑛岳11:30-望岳台14:30=夕張岳登山口17:30 同所泊 登山 車
7月15日 夕張岳登山口5:00-冷水コース-夕張岳9:00-馬ノ背コース-登山口12:00=三笠市14:00 三笠市博物館見学 南暑寒荘18:00 登山 車
7月16日 南暑寒荘5:00-南暑寒岳9:00-南暑寒荘12:00=羊蹄山喜茂別登山口P17:00 同所泊 車
7月17日 羊蹄山喜茂別登山口5:00-喜茂別コース-羊蹄山9:00-外輪山一周-京極コース登山口12:00=支笏湖15:00 同所泊 登山 車
7月18日 予備日
7月19日 予備日 苫小牧FT18:45= 船内泊 車 フェリー
7月20日 大洗FT14:00=自宅17:00 車 フェリー
行動記録
7月3日 移動日 深夜大洗港からフェリーで出港し、同日夜、苫小牧港に着く。
7月4日 アポイ岳、ピンネシリ
アポイ岳冬島登山口6:00-アポイ岳8:10-ピンネシリ10:50/11:00-437峠12:40=自転車=冬島登山口13:50
<天気晴れ>前日夜にフェリーで苫小牧港に着き、145kmを登山口まで走り、登山口Pで車中泊をした。4:00に起きると、晴れ間も出ていて安心する。直ぐにピンンネシリまで自転車をデポしに走る。途中までは舗装だが、最後はイタドリの茂る砂利道で、やっと峠に着く。ピンネシリ登山口の看板があり、自転車をデポして登山口に戻る。
ユネスコ世界ジオパークの立派な表示板を見て、登山開始。広葉樹の緩い登山道を登る。まずシャクナゲが咲いていた。針葉樹、広葉樹の混交林で、キタゴヨウとアカエゾマツが主なのだと説明板で理解する。橄欖岩の地質が影響しているという。また、沢には日本ザリガニが生息しているという。その沢を越えると尾根筋に出る。五合目山小屋があり、そこから山頂への岩(橄欖岩)の尾根が続く。黄色いアキノキリンソウ、桃色のジャコウソウなどが岩間に咲いている。期待していたよりも少しだ。岩の尾根で樹木ではなく草と低い木が茂る。馬の背のお花畑も、花畑となる広い草原はなく、すぐにハイマツや樹木の茂る斜面となる。出会う登山者は少なく4人。2時間でアポイ岳山頂に着く。西南に開けた斜面の向こうに海岸、海、街が見える。山頂には木々が茂り、周りのダケカンンバの林が美しい。標高は810mだが高山の植生だ。方向を北に変え、少し下る。数mの高さの茶色い岩がある。「アポイ-吉田岳の互層状のかんらん岩」との説明板がある。空色のエゾルリムラサキが岩間に咲いている。ゴゼンタチバナ、シャクナゲも咲いている。西風が吹く尾根は涼しいが、東側になった尾根道は暑い。標高は700mほどだが、大きな木が無く本州の高山の草原のようだ。アポイ岳までは登山者が多いが、ピンネシリまでの尾根は踏み跡も見えない場所もあり、登山者は少ないようだ。アポイ岳は花が多い、しかも固有種も多いと期待したが、時期のせいか期待よりも少なかった。
尾根から東、東南には延々と日高山脈が続く。また、直ぐ近くには採石をしている山も見えた。木の根、笹、岩を避け、草の熱気の中を歩き続け、やっと自転車をデポした峠に下りることができた。昼になっていた。自転車で登山口までは、峠もあり距離17km、1時間もかかった。
7月5日6日 幌尻岳
5日 イドンナップ山荘ゲート6:40-新冠ポロシリ山荘11:20 同山荘泊
6日 新冠ポロシリ山荘4:30-幌尻岳8:10/40-ポロシリ山荘11:30/12:10-イドンナップ山荘ゲート16:25
5日<天気曇り>アポイ岳登山後、ついでにと襟裳岬を見学し、新冠のイドンナップ山荘ゲートに向かった。途中夕食をとり、車を走らせると、雨が降り始めた。新冠ダムの脇を走ってゲート入口に行くのだが、夕立は激しくなり、ダートの道18kmほどで車は泥まみれ、稲光と雷鳴激しく、すれ違う車は無く、ナビは林道を示さず不安になる。「イドンナップ山荘まで10km」の看板で確かに登山口に行く道と確信できた。疲れもあり、安全のため、道端に車を停め、そのまま眠ってしまった。朝には雨も止み、車で10分もかからず、イドンナップ山荘ゲートに着く。ただ、この山荘は無人で、看板もない。駐車場には、6台ほど車があった。2泊分の荷物を背負い、入り口を確認し、歩き始めた。入口のゲートは頑丈な鉄製で、説明文では「営林署から北海道電力が借りて管理している」とあり、警告文もきついものだ。この鉄製のゲートを壊して車を乗り入れる人がいるのか疑問だ。18kmの林道歩きを始める。雨は降らず、薄曇り、周囲は樹林で、結構涼しい。道路は砂利道だが車が余り通らないせいか、水溜まりもなく歩きやすい。川の左岸を歩いて行き、途中で橋を渡り、後は右岸をひたすら歩く。アップダウンもそれなりにあり、荷物もあり、息が切れる。山麓を横切る道なので、所々に沢が流れ、湧き水が出ている。水に困ることはない。落石注意の看板があるが、ほとんど落ちていない。大きな森の中を歩いている。本州にあるカツラやサワグルミ、ブナ、ミズナラなどが多い。道路工事で切り取った岩には草が生えている。花を咲かせている草もある。蔓性の植物、サルナシ(コクワ)、ヤマブドウ、マタタビなどもある。
人よりも動物との出会いが多い。エゾシカが2、3頭の群れで道に出ている。角がないのでメスなのだろう。オスは警戒心が強いのか出会わない。2尾の子キツネと母キツネにも出会う。人慣れしているのか、逃げないでこちらを見ていた。ヒグマには出会わないが、糞があった。また、つい最近の太い倒木が道をふさいでいた。昨日の雷雨で倒れたのか。時たま見える川までは急斜面で反対側も急斜面の尾根で険しい。だがしっかりと樹林に被われている。
とことこ歩くこと4時間ほど、やっと奥新冠ダムに着く。周囲を樹林に囲まれ静かに水を湛えている。放水口から、滝のように水を流している。その横をさらに進む。もう着くはずと、脚を動かすがなかなか着かず。やっと見えたときには、これで念願の幌尻岳に登れると、一安心した。三角形の大屋根の建物に「新冠ポロシリ山荘」の看板がある。昼の時間なので誰もいない。登山に行った人たちの荷物があるだけ。
荷物を下し、昼食を庭でとり、ゆっくりする。そのうちに登山した人たちが、しっかり登ってきたという表情、汚れた装備で下りてきた。ガイド登山らしきグループもいる。中高年の2人連れもいる。少し話を交わすと「埼玉から」という方もいる。この山荘は以前、森林管理の小屋として建てられ、その後新冠町が譲り受け、新冠山岳会が管理をしているという。コロナもあり人数を制限し、ネットで予約し、1泊1000円の協力金を払うことになっている。平取からの幌尻山荘は3月で予約満席、渡渉が何回もあるというのでポロシリ山荘にしたが正解だった。夕食を早めに済ませ、暗くなると同時に眠りについた。設備としては、電気はなし、水道は沢水のパイプは引いてあるが、故障中。近くの沢水利用、しっかりしたトイレが庭にある。
6日 幌尻岳の2日目は、前日、午後6時には寝つき、途中2回、目を覚ます。3時には明るんできたので起きだし、朝食をとり、4:30に出発した。沢の右岸を行く。木々が茂り、下草があり、この日の最初の登山者でスパッツも雨具も付けておらず朝露、昨日の雨滴で脚が次第に濡れる。曇り、木の下で薄暗い。流れに岸がえぐられ、急斜面でやっと越える場所もある。沢沿いを進み、沢の二股で真ん中の尾根に取りつくので沢を渡渉しなくてはならない。ストックを着き、飛び石渡りで無事に通過する。それからは急登の連続。針葉樹、ダテカンバの木々の下に笹が茂っている。小沢の端にピンクの花が咲いている。(タカネバラ)遠くから「ポッポッッ」とフクロウが鳴き、コマドリが鳴き、キキキと別の小鳥が鳴く。倒木もあるが片付けられ、笹も刈りはらわれている。ありがたい。小尾根を越え、笹原を抜け、と息も荒くなる。そして、左の沢の流れる音が近づき、滝の連続のような小沢に下りる。上の方には雪渓が白く残っている。踏み跡をたどるが、上には行っておらず反対側に続いていた。その辺りからの道は大石のある急登になり、薄い霧の中にツガザクラなどが姿を現す。薄桃色のコエゾツガザクラが現れ、華やか。黄色のウコンウツギが現れカラフルになる。ハクサンイチゲ、ミヤマダイコンソウもある。大変な急登を登った甲斐ありと写真を撮る。大岩の横を抜け、ハイマツの原を抜けると稜線に出て、新冠コース分岐に出た。ここから斜度のゆるい岩の尾根を進む。風は無く、ガスで視界は100mほどしか効かない。すぐに質素な山頂表示板を見つけ、念願の登頂を果たす。
少し休んでいると若者2人が登ってきた。写真を撮り下っていった。「林道から一番歩いたかな」の言葉を交わす。ガスが濃くなったり、薄く明るんだりして、晴れ間を30分ほど待つが同じようなので、七つ沼カールが望める肩まで行くのを取りやめ、下山することにした。お花畑付近でポロシリ山荘から登ってきた人に会う。あとはずんずん下る。草むらにネギ坊主が出ている。北海道の山野には行者ニンニクがあると聞いていたので、葉を少しとりかじるとそれであった。
朝の出発が早かったので、ポロシリ山荘には11:30に帰り着いた。昼食をとり、直ぐに登山口まで下ることにした。12時15分から歩くこと4時間10分を歩ききり、4時25分にイドンナップ山荘登山口に着いた。
7月7日 移動日、新冠村から夕張市を経て新得村のトムラウシ野営場 夕張市で石炭博物館を見学
7月8日 トムラウシ山
トムラウシ短縮コース登山口4:30-前トム7:30-トムラウシ山9:15/45-北沼経由-前トム11:35-登山口14:40
<天気曇り>野営場から短縮登山口までは狭い砂利道で水溜まりも多く、やっとのことで駐車場に着く。10台以上が止まっている。装備を整え、入り口で登山者名簿に記入し、暗い森の道に進む。北海道の多くの登山口には、記入の冊子があり、欄は名前、連絡先、登頂する山、下山予定時刻、下山時刻など簡単な様式で、下山するときに下山時刻を記入する。下山時の記入用で倒木の欄があり、登山道チェックで工夫していると思った。
道は、緩斜面を進む。やや標高を上げると曇り空だが、下の平原が望めた。幾らかでも天気がよくなることを願いつつ登る。笹原が続く。道には、丸太や角材が敷いてあり、程々に整備してあるが最近の降雨で平らな場所には水溜まりができ、泥はぬるぬるだ。2羽のウグイスが鳴き競っている。カモイ天上を過ぎると登山道が付け替えになっており、コマドリ沢に標高差100mほど下る。そして沢の右岸を進む。この付近にはフキの葉に似たサンカヨウが群生している。15分ほどでコマドリ沢出会に着き、一休みする。対岸これから登る沢の雪渓が白く残る。沢を渡り、雪渓を登る。斜度はそれほどでもない。途中から右の登山道に入りガレ場を過ぎ、やや平坦な前トム平を通過する。標高1500mを越える辺りから花が増える。紫のエゾツツジが鮮やか。白いシモツケもある。一旦少し下ってトムラウシ公園では沢も流れ、池もある。ここを過ぎると花がさらに増える。南沼キャンプ指定地の分岐を右に曲がり、大岩の斜面を登る。白いガスの上に大岩がかすかに見える。その手前はチングルマの花が広く咲いている。最後の大岩の間を抜けて山頂にやっと着いた。先客3名がいた。南側は雲海が押し寄せて見えないが、北側は視界が効き、雪渓の残る大雪山の山々、富良野の農地などが見える。素晴らしい。登った甲斐があった。9:45で時間があるので北沼の方に下り、一回りして下ることにした。下る斜面の岩の間には草花が咲き乱れる。エゾノツガザクラは群生し、赤紫の色が鮮やかだ。ミネズオウ。大岩の近くで何かが動いた。ピチチチーというような鳴き声を出しながら。ナキウサギだ。北沼は直径60mほどで横に雪渓を従え、青い水を湛えている。息をのむ美しさだ。ここから南に平坦な道を進む。平らな草原は色とりどりの花を咲かせ、本当に素晴らしい花畑だ。チングルマ、エゾノコザクラ、ハクサンイチゲ、エゾノツガザクラ、キバナシャクナゲ等。各花が群生し、それが混じり合って咲いている。登った甲斐があった。キャンプ場まで来て往路に戻り下ることにした。
トムラウシ山は火山で、登るときには気付かなかったが、岩塊斜面が発達している。北アルプスや南アルプスのように、氷河期起源のものだろう。地形の形成も不思議だ。山頂付近では、かなり景色も見られ、美しい池、広いお花畑も見られ満足のトムラウシ登山となった。
7月9日 雌阿寒岳
オンネトー国設野営場7:00-雌阿寒岳9:30-雌阿寒岳登山口11:30-国道入口12:45
<天気曇り、雨>計画では然別湖南の東ヌプカウシヌプリに登る予定であったが、天気が午後から悪くなる予報なので、雌阿寒岳だけに登ることにした。鹿追町の扇ケ原展望台Pから足寄町、農村地帯を走り森深いオンネトー登山口に着く。直ぐに、登山開始。曇りで針葉樹の大木のうす暗い森を登る。木が多いので道に根が多い。丁度秩父の山のようだ。下にはゴゼンタチバナ、シャクナゲなど。風が吹いて霧雨をまく。林内なので濡れない。下山する人に会う。苔もよく繁っている。標高1000m位で木がカンバやハイマツになる。風雨が直接あたるのでこれまでかと雨具を着ける。道は小さい木と火山の砂礫の斜面となり、風雨が強まる。雨に濡れた群生のイワブクロ、タデが砂礫の中で花を咲かせている。阿寒富士との分岐七号目付近では木も無く、鞍部で東風が強くなる。引き返そうかと迷うが、1時間もしないで登れそうなので行ける所まで行こうと思い進む。黄色い花、白い花も咲いているが風雨強く見る余裕がない。植物は少なくなり、火山の砂礫地となり、風雨も強く、踏み跡だけをたどる。向きを西に変える辺りに道標があり、登山口の矢印がある。ここを下ると登山口だと周辺を見回す。さらに、山頂を目指し、風雨の中で、山頂の標柱と2人の先行者を認めた。先行者に風雨の中、写真を撮ってもらう。直ぐに下山開始、登る途中にあった道標の「登山口」の方向に進み、下る。砂礫の中のペンキの石を目印に下り続け、やがて、火山地形の黄茶の尾根を下る。やがて針葉樹の大木の林に中に至り、登山口が予想よりも遠いと感じつつも、地形の感じが雌阿寒温泉の付近と同じなので、そこに通じると信じて下り続けた。ところが、林道の終点となった登山口は雌阿寒温泉ではなかった。雨も止んだので、地図を出し、確認すると、雌阿寒岳東北方向のフレベツ林道登山口であり、下山ルートの間違いに気づいた。天候は曇り、時間も昼前で、国道まで歩き、そこでタクシー等で車のある登山口まで戻ることを考えた。携帯はバッテリーの消耗を防ぐため、国道まで使わないこととした。時間は早いので今日中には戻れると自分に言い聞かせ、とりあえず昼食をとる。そして国道まで歩いて出た。
今後に生かすため、今回の道迷いの原因、対策をまとめる。
・長い山旅で疲れてきた。
・事前のルートのチェックをしたが、その本のお薦めルートのみ赤線であり他のルートは黒点線で印象に残らないものであり、予定のルート以外の下山口はないと信じ切っていた。
・雌阿寒岳は1499mでルートの標高差800mの低い山だと甘く見た。
・当日、登山口では曇り、無風だったが稜線は風雨が強く、視界は効かず、地図を確認する余裕がなかった。早く下りたいと焦っていた。
・予定変更で、紙の地図とコンパスを忘れ、GPSとコンパス付き時計のみ携行した。しかも風雨が強く、道標の登山口を目的の場所と信じ切り、地図とコンパスで確認しなかった。
結果的に、国道まで出たが、そこから登山口の駐車場までは18kmあり歩いて戻れる距離ではなかった。携帯電話は通じるも阿寒湖のタクシーは少なく利用できず、付近のGSの親父さんのお陰で駐車場に戻ることができた。今後の教訓としたい。
また、翌日も天気が悪い予報なので、カムイヌプリ登山は中止し、斜里岳登山口に向かった。途中、鹿の群れなどに頻繁に会う。
7月10日 斜里岳
清岳荘登山口4:30-旧道沢コース経由-斜里岳7:30-新道尾根コース経由-登山口10:15
<天気曇り、時々雨>
清岳荘の駐車場には20台位の車が止まっていた。昨日着いて車中で眠る。夜半、目を覚ますと星が見え、良い天気を願ってまた眠る。3:00には明るみ、軽い食事をとり、4:30には登山者名簿に記入して歩き始める。清岳荘の掲示板に登山情報が書いてある。森の中を少し歩き、右の谷に下りると林道があり、しばらく平坦な道を歩く。クマだと思われるがフキが食い散らかしてあり、道にフキの繊維の入った糞がある。前後に登山者はいない。熊鈴位で逃げてくれるのか心配になる。沢に入り、鬱蒼と樹木、草の茂った谷を登って行く。沢の水はそれほど多くなく、飛び石で右、左と渡り登る。上二股からは沢が険しくなる。少し油断したのか、雨で濡れた石の上で滑り、右足の靴に水が入る。沢登りならさほどきつい沢ではないが、登山靴では滑りやすい。斜里岳も火山の山で岩、石は火成岩、沢の中の石が赤茶けた色だ。水を口に含むと酸っぱく鉄臭い。酸性の水だ。斜面の上を見ると雨風が吹きつけている。途中で雨具を着ける。前日と同じような天気だ。花は沢沿いでショウマが多い。チシマキンバイ、ヨツバシオガマ、白いオオバナノエンレイソウ、エゾゼンテイカ(キスゲ)なども咲いている。何か所か、滝があり、横を注意して登る。次第に沢は細くなり、斜度が緩くなる。上二股付近から稜線に近くなり、風雨が強まる。だが、灌木の中の道で、風は直接当たらない。急坂を登り、汗と雨で体は相当濡れているが、山頂まで行こうと進む。灌木も少なくなった切り通しの尾根があり、そこを風が激しく通り抜けていく。雨混じりの風で風の動きが分かる。数m先の岩の影は風がほとんどない。不思議な風の動きだ。帽子が飛ばされないようにして、一気に通り抜ける。その先の濡れた砂礫だけの丸い頂上に山頂の標柱が立っており頂上到着。タイマーで写真を撮るもレンズに雨滴が付き画像が歪む。この日の登山一番乗りだった。下山を始めると元気な女性グループが登ってきて、風の強い切り通しで会う。強い風でよろけながら通過している。後でまたこのグループに会ったが、1名がザックカバーを吹き飛ばされたという。激風恐るべし。
ハイマツの林を抜け、新道尾根コースを進む。斜度はないが、木々が繁る。晴れれば花も綺麗だろうが風雨に霞んでマルバシモツケ、リンネソウなどが咲く。熊見峠の看板を過ぎてから急傾斜の下りとなる。雨は降ったり止んだりで道は濡れていて、カンバの林、シダの原だ。幸い、道に付近のカンバを利用して土留めがしてあり、助かる。ずんずんと下り、下二股まで着き、数人の登山者にも会い、一安心する。こんな風雨の強い日にも山に登る人がいると感心する。相手からも同じ言葉をいただくかもしれないが・・・。
駐車場に到着し、清岳荘に車中泊の駐車代金を支払い下山した。早めに下山できたので斜里町で買い物、クリーニング、斜里町立知床博物館見学をした。オホーツク海を見て走り、羅臼岳登山口の木下小屋に着きそこで宿泊した。
7月11日 羅臼岳
岩尾別温泉登山口木下小屋4:440-弥三吉水6:10-羅臼峠6:40-羅臼岳9:10-岩尾別温泉木下小屋13:10
<天気曇り、雨>前2日間に続き天気予報が良くなく、硫黄山-羅臼岳縦走を止め、1日での羅臼岳往復にする。木下小屋はホテルの奥に隠れるようにあるが、ログハウス温泉付き1泊素泊まり2500円で登山者には有難い。4時過ぎには起きて直ぐに準備し、出発する。小屋の横が登山口で登山者名簿に記入して登り始める。ここは海岸に近く標高220mから尾根を登る。本州なら1000mから1500mの植生でミズナラを中心とした植生だ。林床にも低木がびっしりと生えている。岩場にナデシコなども咲く。雨がパラパラするが林内で濡れないが次第に強まってきたので雨具を着ける。途中、10人ほどのグループを抜く。弥三吉水で水分を摂る。ここから上は極楽平という場所で、緩斜面のダテカンバの森だ。直径20—30cmの木なのだがほとんどの木が水平に伸びてのたうっているようだ。おそらく多雪による圧力のせいでこうなったのだろう。樹幹が道に出ていてよく頭をぶつける。その付近で鹿の親子に出会う。極楽平からやや登って銀冷水を過ぎ、標高1000m地点で左の沢に雪渓を見る。やはり北海道だ。こんなに低くても雪渓がある。その上で道が雪渓の大沢に入っているので雪渓歩きとなる。雪面は柔らかく靴でけりを入れれば滑ることなく登れる。上の取り付きに注意していくとロープがあり道が分かる。この付近は大岩ゴツゴツの道だ。そしてその雪渓が消える上部の谷間はエゾコザクラ、エゾツガザクラ、イワヒゲ、チングルマ等のお花畑で目を見張る美しさだが、あいにく、雨で頭を下げ花びらから雨粒がしたたり落ち残念・・・。さらに登ると峠からの風が徐々に強くなる。羅臼平まで登るとさらに風雨がビュービュウーと強い。登頂に迷うが、灌木も生えており、行ける所まで行こうと考えて進む。道標を確かめ、右に進む。縦走路の分岐、フードロッカーがあり、ハイマツなどが幾分風を防いでくれた。進んで行くと雨に濡れ座っている人がいた。驚いて遭難でもしているのかと声をかけると、「風雨が強く登れるかどうか迷っている」という。私も少し助かるかも知れないので「登れる所まで行こう」と、頂上目指し連れ立てって進むことにした。岩が出てくるとその岩の間にイワヒゲなどが白く咲いていて綺麗だ。岩が段々大きくなる。強風は場所により強さが違い、岩の上など大変な強風が吹き抜けて体が飛ばされそうになる。強風の場所は急いで通過し風の弱い岩陰で休み休み登る。見通しも効かないので雨の中GPSで位置を確認し、岩のペンキのマークも辿り進む。そして最後の大岩を登り左に回り込んで行き暴風雨の中、私が一番で登頂した。山頂は2畳ほどで、立つと吹き飛ばされそうなので道標を背景に写真をとり下山することにした。下山していると、後から何人もの登山者が登ってきた。この風雨の中よく登ってきたものだと驚いた。雨、風、汗で雨具の中もべっちょり。寒くもなってきたのでどんどん下る。大沢の雪渓まで下ると風も弱まり、そこで一休みする。さらに下ると空も明るくなり、さらに下ると薄日も射してきてヤマテンの晴れマークに納得する。同行の登山者とは、会話しながら下り、埼玉からきたと聞き、話も弾む。登山初心者で、テントを買い縦走もしたいと話していいた。知っている花や行者ニンニクを教えるとまだ花までは及ばないなどと話していた。弥三吉水からは晴れ間あり、オホーツク海も見え、快適に下る。下山後、木下小屋前で、着替えなどしながら下山した人と会話すると他にも埼玉から来た方もおり、前日、斜里岳に登ったとも話していた。同じような山巡りをしている方もいると共感を覚えた。
この後、知床五湖、知床自然センターに立ち寄り、大雪山旭岳登山口に向け走り、北見市
北部泊
7月12日 移動日 北見-石北峠-層雲峡-上川-旭岳登山口 同所キャンプ場泊
7月13日 大雪山(旭岳、北鎮岳他)
大雪山旭岳ロープウェイ旭岳駅6:30-同姿見駅6:40-旭岳8:20-北鎮岳10:30/40-裾合平12:40-姿見駅14:00
<天気曇り後雨>4:00には起きて準備。歩いて10分ほどの旭岳駅に行き6:30発、登りの始発を待っている。視界も効くし、晴れ間も出ている。大丈夫そうだ。6:15になってやっと窓口が開き手続きを行う。往復3200円。20人ほどの登山者が乗る。姿見駅を下りて出ると、東側には旭岳があり黒い影の中に白い噴気を立ち上らせその迫力に驚く、朝日でそれが一層白い。駅を出て右の小高い丘の道をたどる。岩ごつごつの斜面だ。右斜面からガスが濃く、薄く吹き付けてくる。地獄谷の南の尾根を登る。イソツツジなどが咲く。まるで富士山のようで草もほとんどない。ニセ金庫岩から左に曲がり尾根を登る。進むと斜度が緩くなり、草木がほとんどない丸っこい尾根になり、頂上に着いた。北側の当麻岳、比布岳付近が見通せ残雪が目立ち綺麗だ。
頂上から東に下る。地面には構造土の模様ができていてミヤマダイコンソウ、キバナシャクナゲ、メアカンキンバイの花も咲いている。その下には500m位の雪渓があり斜度は緩く、滑らず下る。一旦窪んだ谷に下り、そこから間宮岳に向かい緩やかに登る。その周辺は火山の砂礫だが岩の間には小さな草花が咲いている。黄色のエゾタカネスミレが目立つ。間宮岳分岐を北に向かう。この周辺は平坦で、砂礫だが小さな草本植物と苔が固まった部分が縞々となっている。右には大きな火口のような御鉢平が広がり高度感と雄大さ、火山地形の不思議を感じる。中岳分岐まで雨で土を流された道を下る。修理をしているが酷い。その横で鮮やかなヨツバシオガマやクモマユキノシタ、エゾイワツメクサ、イワヒゲが咲く。北鎮岳分岐付近では、やはり高い木は無くイワヒゲ、チングルマ、コマクサなどが咲く。分岐から北に20分ほど登り北鎮岳頂上に着いた。この辺りも花が多い。山頂からは雲の切れ間に周囲の残雪のある山々が見え雄大な景色だ。小休憩後、中岳分岐まで戻り、旭岳の北側の裾合平を通り、姿見駅に戻るルートを進む。このルートは愛山渓にも通じる道だが、登山者は少ない。標高を下げる辺りにはコメバツガザクラなどの矮性低木の塊がある。よくぞこんな厳しい場所に根をはっていると感じる。そして谷におり、沢の中に温泉が湧いている。この木枠だけの中岳温泉では手で湯加減を見た。余裕があればひと風呂浴びたいと思いつつ通過した。左の雪渓の溶けた場所にキンバイソウ(仲間)が群落で咲いていて花が大きく、色が濃く眩しい位だ。そこからは旭岳の北の緩やかな斜面、小さな沢を横切る道で登山者は無く、一人静かに大花畑と旭岳北斜面の雪渓の景色を楽しむ時間となった。エゾコザクラ、チングルマ、ハクサンイチゲなどの花々がグランド一杯に咲いているような様子だ。裾合平の大花畑が終わる辺りで、雨が少し降り始めた。道も左右が笹になってきた。雨具を着けるほどでもないと傘でしのぎつつ、姿見駅に急いだ。姿見平までくると、笹は終わり、チングルマ、エドツガザクラの群生地になり、雨の中だが見事だった。登山者でなくともロープウェイで姿見平まで来て、この花畑をみると感激だろうと思った。14:00の下りロープウェイに間に合い充実した山行を終えることができた。
下山してからは、美瑛の街に寄り、食料、車の燃料を補給し、街の東にある吹上温泉のキャンプ場でのテント泊となった。
7月14日 十勝岳 美瑛岳
望岳台登山口4:45-十勝岳7:40/50-美瑛岳9:55/10:10-望岳台13:10
<天気曇り>吹上温泉白銀荘のテント場は水道、トイレ、風呂、駐車場とよく整備され、安くて一般のテント泊の方も多い。起床してすぐにテントを撤収し、少し車で走って望岳台に移動し、出発した。今日も曇り位で天気がもって欲しいと願いつつ出発する。登山口から南東にそびえ、よく見える十勝岳美瑛岳に向かって登っていく。相当高く感じる。十勝岳は火山で噴火してできたのは南北の富良野岳、美瑛岳よりも新しい。したがって植生は、南北の山々は高山植物が豊富であるが、十勝岳はまだ貧しい。避難小屋までは溶岩の上のような道を歩く。避難小屋には若い人のグループが泊まっていた。そこを過ぎると大石の斜面となる。間近に前十勝の火口から白い噴煙が激しく立ち上る。すごい火山の迫力だ。道の周りには木々は無い。黄色のアキノキリンソウが目立つ。マルバシモツケは花が終わり、茶色くなっている。標高1300m位からはほとんど植物のない岩、砂礫の斜面となり、一人黙々と登る。大岩、大石の急斜面を登り切ると平坦な場所に出た。そこからは草木は全く無く、左右には火山の火口があり、前には十勝岳があり、右の火口の向こうには白い噴煙が立ち上り、地球とは思えない景色が広がっている。正面の一番高い峰が十勝岳だが、道が見えない。割合平坦な砂礫帯を歩く。キリマンジャロのサドルと言われる場所のようだ。1kmほど進んで十勝岳の急な斜面の下で、初めて、ルートはほぼ真っすぐにつけられていることが分かった。また、岩ごつごつの斜面を登る。
汗が吹き出す。ロープも張ってある。そして本日も先行者なく、登頂1番は私だった。ほぼ晴れの下、写真を撮り、山頂から東北方向の美瑛岳に向かう。割合平坦で、ガスも出てきたのでGPSなど使い、かつペンキ石や杭の目印もたどり進む。鋸岳から一旦下りトラバースするように美瑛岳に進む。草木がないので火星のようだ。谷にはまだ雪渓が残っている。できたのが新しく、まだ草木は無いがそんな場所でも土が動きにくい場所にイワブクロやイネ科の植物が進出してきている。美瑛岳に近づくと南斜面にチングルマの群生地が現れた。他の花も咲いている。登った甲斐があった。天空の花畑である。美瑛岳に続く最低鞍部から美瑛岳分岐の南斜面の花畑はともかく見事だ。
美瑛岳分岐から曲がり、美瑛岳に登る。大岩の連続で山頂が分かりにくいがやっと到着。木の山頂標柱があり、セルフで撮影する。山頂からの西の谷は草木ない火山の地形だ。そこからは急な下りでハイマツやイソツツジなどが生えている。急な下りでまたたく間に標高を下げる。沢に下る辺りで登山者に合い、渡渉ありと聞かされる。実際はその沢は大したことなく飛び石で渡れた。そこからは低い樹木帯で雲の平分岐に行く。急な下りが終わりゆったりと歩く。十勝岳の北斜面だが結構花も咲いている。エゾコザクラ、イソツツジ、ウコンウツギが咲き予想していたより鮮やかな花畑が広がっていた。大きなイワブクロの群落もあった。分岐合流からは緩やかな岩の道をゆっくり下り、望岳台に着いた。白銀荘の湯で汗を流し、夕張岳登山口を目指した。
7月15日 夕張岳
夕張岳登山口4:45-冷水コース-夕張岳8:10/8:25-馬ノ背コース-登山口11:15
<天気曇り>昨日、十勝岳下山後、富良野市を抜け、芦別岳、夕張岳の西の谷沿いの国道452号に入り、その道を南に走り、シューパロダムに至る。登山口に通じる林道はナビにも表示されず、道路沿いの「夕張岳入口」の看板を目印にダムに架かる橋を渡る。そこでキツネの出迎えを受ける。川沿いの狭い砂利道を10kmも走り登山口駐車場に着いた。夕食後、車中泊する。2:00頃目を覚まし、空を見ると星が出ており、安心する。4:30に起床し、4:45に出発した。登りは冷水コースを、下りは馬ノ背コースをとることにした。カンバや針葉樹の大木、下には笹の中を登る。コマドリが鳴いている。空色のアジサイが咲いていて、その花は今、園芸種ではやりの星型をしている。今日一番の登山者で、脚が濡れる。傾斜がきつくなり汗もかいてくる。冷水の沢で冷たい清水をいただく。泥の道だが滑らず歩ける。左に曲がりながら尾根に上がり、馬ノ背コースに合流した。そこからは急登が続き、上り下りもあり、笹の根もあり、歩きにくい。蛇紋岩らしい岩も出てきた。やや平坦な場所(石原平)があり、シラネアオイの群生地と看板がある。花は終わり、実をつけている。憩沢にはチシマノキンバイソウが輝く黄金色の花をつけ群生し素晴らしい。花の百名山だけあり、道沿いに様々な花が咲いている。ウサギギクも咲く。ガマ岩が近づき、高低差ない湿原を東に進む。薄紫のネギ坊主のシロウマアサツキが群生している。ミヤマアズマギク、チシマフウロ、トラノオ等次々と咲いている。この付近で風雨に見舞われる。すぐに止むとそのままで進み、シャツ、ズボンが濡れる。吹き通しには、樹木なく草花だけが生える。蛇紋岩のせいか不思議な植生の場所だ。ユウバリソウは花が終り、ユキバヒコダイは蕾だ。クモマユキノシタは雨粒を付け咲いている。ハイマツの間を抜け、神社の前を通過し、目指す夕張岳に8時過ぎに着く。西に眺望は効き、登ってきた湿原、その向こうの山脈が見える。頂上はさほど広くないが、何種類もの花が咲いている。天気も悪くなく、念願の「花の百名山・夕張岳」に登れて、花も見られ、満足できる山行となった。また、時期を変え登ってみたい山である。
下りながら、北に晴れ間ができ、芦別岳を望むこともできた。
早めに下山でき、時間に余裕ができ、南暑寒別登山口に行く途中にある三笠市立博物館を見学する。この付近の中生代地層から発掘された直径1mほどのアンモナイトが多数展示されていて圧巻である。
7月16日 南暑寒別岳 雨竜湿原
南暑寒荘岳登山口4:00-雨竜沼湿原5:30-南暑寒岳8:30/8:45-雨竜沼湿原10:35-登山口11:45
<天気曇り>南暑寒荘テント場は広く、3張のテントでゆったりとしていた。ゆっくり睡眠をとり、3:00には明るくなり、起床し4:00に出発した。ペンケペタン川沿いの砂利道の車道を第一吊橋まで歩く。広葉樹林で緑が濃い。鉄製のしっかりした吊橋を右岸に渡る。ここからが登山道となる。山麓を川に沿って登るので小さい沢が幾つも横切りきれいな水が流れている。アジサイ、ヒヨドリバナの類が咲いている。雨竜沼湿原から流れ出るペンケペタン川は水量も多く急流でゴーゴーと音を立てて流れている。途中には白竜の滝があり、白い水柱を落としている。対岸には柱状節理や火山堆積物の地層も見え、滝は断層などが削られ滝になったのだと推測した。一般に火山の山は川がないというイメージがあるがそうでもない。火山の噴出物によるものらしい。溶岩や火砕流、泥流は不透水層を作り、水を地表に流すそうだ。第二吊橋を渡り左岸の道を登る。荒れた険しい道で大岩ゴツゴツ、木の根、笹の根一杯で歩きにくい。80分ほどで湿原入口に着く。紫のヒメオウギアヤメが群生し、迎えてくれた。湿原は木道が整備され歩きやすい。朝日の中、緑の湿原とその向こうにゆるやかな傾斜の南暑寒岳を見たとき、自分の気持ちもゆったりとしてきた。途中に休憩所、案内板もあり、よく整備されている。東西4km南北2kmの広さとある。木道は1周できるようにあり、左からの一方通行となっている。平坦な木道なのでずんずんと歩く。蛇行する川、水も澄んでいる。湿原の草は近づいて見ると何十種類もの草の混じった草原だ。キスゲの黄色、トラノオの仲間、ワレモコウ、ノコギリソウの仲間、イネ科の植物も多い。池塘が多いが、隣り合っている池塘の高さが50cmも違い不思議に感じた。木道の一番奥の所から登山道が伸びている。その付近はアヤメ、キスゲと花が多い。湿原を離れ、少し登ると湿原の展望台がある。展望台を過ぎると、緩い傾斜ながら道は狭く、笹が両側から迫る。平坦な道、緩傾斜の道と続く。笹が道を覆い下が見えないほど。途中に、クマが倒木のアリを探し掘った穴などがあり、少し緊張する。頂上近くには草地がありイワイチョウなどの花が咲いている。雪が多いため草地となっているのだろう。岩が大きくなり、頂上に到着した。標高差が余りないものの結構時間がかかった。水平距離が長かったためだろう。頂上からは北に暑寒別岳を望め、そこに続く稜線もよく見える。草地、灌木地帯、笹原と植生がよくわかる。残雪も少ないがまだ残っている。東の雨竜沼湿原ははるかに遠く小さくなっている。湿原には池塘が点在し光っている。風が出て、ガスもかかってきたので下山する。土曜日で、湿原までに30人ほどの人と出会う。地元に人気の山なのだろう。皆、楽しそうな表情だ。湿原までなら半日で往復できるのでハイキングには良いだろう。湿原は木道が整備され歩きやすいが、途中の道は整備すればもっと安全で歩きやすくなる。湿原に着き、下山の道を進む。ちょっと小高い丘には行者ニンニクの群生地があった。湿原にはハイキングの人達が20人ほどもいて、まだ湿原に登ってくる人達もいた。昼前には登山口に着いた。事務所で、整備協力費500円を支払い、絵葉書と雨竜町の施設の割引券をいただいた。テントを片付け、雨竜町の温泉で汗を流し、昼食を摂った。
7月17日 雨のため、予定変更 白老町ウポポイ見学 昭和新山、有珠山、洞爺湖見学 羊蹄山真狩登山口に移動し、車中泊
7月18日 羊蹄山
羊蹄山真狩登山口5:00-真狩コース-羊蹄山9:50/10:10-外輪山一周-真狩登山口13:20
<天気曇り>天気は曇りだが雨は降らない予報だ。駐車場から1人、2人と登山者が出発する。私も遅れまいと準備して出発する。この登山口の標高は399m、山頂の標高1898mなので約1500mの登りとなる。標高差1000m以上は登り甲斐がある。ただ、羊蹄山は登り一辺倒なので登り返しが無い。キャンプ場奥にある登山者名簿に記入して登り始める。薄暗い針葉樹の森を登る。道は昨日降った雨でぐちゃぐちゃだ。白樺林があり雰囲気はよい。南コブ分岐辺りから、やや東に道が行き、広葉樹林内から笹原になる。草や笹も濡れたままなので脚が濡れる。登るにつれ斜度も増し、笹原に何本か生えるダケカンバも太くなる。標高1000m位からは完全な笹原歩きで右に左にカーブしながら登る。笹は十分刈られておらず、笹の上を歩くこともあり、濡れた靴で滑りやすい。太い倒木もあり、その下を潜らなくてはならない。登山口が立派なのに登山道が整備されておらず、整備をお願いしたいところだ。目立つ太いダケカンバが笹原に生えている。立派な枝ぶりだ。途中で同じ位の速さで登る同じ位の年齢の男性登山者と何とは無しに話が始まる。兵庫の方だという。立山で登山の魅力に目覚め、50万円貯めて、今回の北海道山行を計画したと話す。舞鶴から20時間かけフェリーで小樽に着き北海道の登山をするという。徐々に大岩、大石が増えてきて七合目、八合目の看板を見るが頂上に着かない。九合目で避難小屋の分岐になる。避難小屋方面を見ると黄色のお花畑がある。近くで見たいと寄り道する。イワブクロ、フウロ、クルマユリも咲いている。花が増えてきた。北海道にユリは少ないが羊蹄山には所々にクルマユリが咲いている。黄色のお花畑はエゾゼンテイカ(キスゲ)でこれほどの広さはここだけだった。本当にたくさん咲いていて綺麗だ。九合目に戻り、山頂を目指す。尾根に出ると雲の上に出て視界が広がり、気分がよくなる。花は増々増えて色鮮やかな草原だ。エゾツガザクラ、キオン、カラマツソウ、チドリ、フウロなど。さらにハイマツの道を潜りつつ登り外輪山に出ると一気に羊蹄山の火口が見えた。火口内には低い草木が生えている。十勝岳と較べると噴火が治まったのはずっと前のようだ。右に続く向こうの尾根に山頂が見える。そちらに進むと岩場が続き、慎重に歩く。そして山頂到着。今回の山行は天気に恵まれなかったので、北海道最後の山が晴れて気持ちも晴れ晴れとなった。少し休み、外輪山を1周することにした。岩場はすぐに終わり、砂礫の道となる。登山者が多く、頻繁に出会う。歩きやすいのでどんどん歩き、一旦下ってまた登り、旧小屋跡を通過して分岐になった。雲海を眺めて、見納めした。後はずんずん下る。下ってゆくと雲海の切れ目から真狩の街、農村の畑が見える。洞爺湖もその向こうに見えた。
下山後、真狩の湯に浸かり、外に出ると羊蹄山が北に大きく聳えていた。
7月19日20日 移動日 18日に羊蹄山下山後、真狩村から札幌近郊に移動しテント泊 19日に札幌市内の知人宅訪問。夕方、苫小牧港からフェリー利用で、20日午後4時に大洗港に到着。北関東道などを通り、熊谷に帰る。
最後に
今回の北海道山行は天気に恵まれず、計画どおりとはいかなかったが、ほぼ目標の山行ができた。百名山以外では念願のアポイ岳、夕張岳、南暑寒岳にも登ることができた。北海道の山々の雄大さ、魅力、自然、個性等を知り味わうことができ、満足と充実の山行となった。予備日を設け、早立ち、早着きを心がけ、昼前後に下山したので、次の山への移動も余裕を持てた。また、三笠市立博物館、ウポポイ、昭和新山を見学することができた。反省すべき道迷い1件以外、事故、病気なく元気に北海道の山々に登れ、山行の一つ一つが脳裏に刻まれ、充実した山行となった。まだ、北海道には魅力ある山がたくさんあり、季節を変えて登りたいとも思う。