埼玉県熊谷市の山岳会 海外トレッキング、登山、山スキーなど幅広く活動しています。
北海道
【ピークハント】北海道の主な山に登る
2022北海道山行(個人山行)
魅力と個性あふれる北海道の主な山に登る
山域山名:北海道 大雪山、幌尻岳等 下記参照
期日:下記参照 登山は7月4日から7月18日
参加者:橋本義彦
旭岳北側の裾合平に広がる大花畑と雪渓
2022北海道山行計画(当初)
期 日 活 動 内 容 交通手段等
7月2日 自宅21:00=大洗FT24:00 船内泊 車
7月3日 大洗FT1:45=苫小牧FT19:45=アポイ岳冬島登山口P23:00 同所泊 フェリー 車
7月4日 アポイ岳冬島登山口5:00-アポイ岳7:00-ピンネシリ尾根-437峠11:00-冬島登山口13:00=新冠イドンナップ山荘ゲートP17:00 同所泊 登山 車
7月5日 イドンナップ山荘ゲート6:00-新冠ポロシリ山荘11:00 同山荘泊 登山
7月6日 新冠ポロシリ山荘5:00-幌尻岳10:00/40-幌尻岳11:30-ポロシリ山荘 登山
7月7日 新冠ポロシリ山荘6:00-イドンナップ山荘ゲート11:00=トムラウシ短縮コース登山口16:00 同所泊 登山 車
7月8日 トムラウシ短縮コース登山口5:00-トムラウシ山10:00-登山口14:00=然別湖17:00 同所泊 登山 車
7月9日 然別湖5:00=白樺峠登山口-5:30-東ヌプカウシヌプリ7:00-登山口8:00=オンネトー国設野営場9:30-雌阿寒岳13:00-雌阿寒温泉登山口14:30=摩周湖第一展望台16:30 同所泊 登山 車
7月10日 摩周湖カイヌプリ登山口5:00-カイヌプリ8:00-登山口10:00=清岳荘登山口11:00-旧道経由-斜里岳14:00-新道経由-登山口17:00=岩尾別温泉19:00 同所泊 登山 車
7月11日
岩尾別温泉5:30-硫黄山登山口6:00-硫黄山9:00-三ツ峰キャンプ地12:00 同所泊 登山
7月12日 三峰キャンプ地6:00-羅臼岳7:30-岩尾別温泉下山口10:00=旭岳キャンプ場16:00 同所泊 登山
7月13日 旭岳駅6:30=旭岳ロープウェイ=姿見駅6:50-旭岳9:20-北鎮岳10:40-裾合分岐13:00-姿見駅14:40=RW=登山口15:30=望岳台P17:30同所泊 登山 車
RW(上6:30—下5:30)
7月14日 望岳台5:00-十勝岳9:00-美瑛岳11:30-望岳台14:30=夕張岳登山口17:30 同所泊 登山 車
7月15日 夕張岳登山口5:00-冷水コース-夕張岳9:00-馬ノ背コース-登山口12:00=三笠市14:00 三笠市博物館見学 南暑寒荘18:00 登山 車
7月16日 南暑寒荘5:00-南暑寒岳9:00-南暑寒荘12:00=羊蹄山喜茂別登山口P17:00 同所泊 車
7月17日 羊蹄山喜茂別登山口5:00-喜茂別コース-羊蹄山9:00-外輪山一周-京極コース登山口12:00=支笏湖15:00 同所泊 登山 車
7月18日 予備日
7月19日 予備日 苫小牧FT18:45= 船内泊 車 フェリー
7月20日 大洗FT14:00=自宅17:00 車 フェリー
行動記録
7月3日 移動日 深夜大洗港からフェリーで出港し、同日夜、苫小牧港に着く。
7月4日 アポイ岳、ピンネシリ
アポイ岳冬島登山口6:00-アポイ岳8:10-ピンネシリ10:50/11:00-437峠12:40=自転車=冬島登山口13:50
<天気晴れ>前日夜にフェリーで苫小牧港に着き、145kmを登山口まで走り、登山口Pで車中泊をした。4:00に起きると、晴れ間も出ていて安心する。直ぐにピンンネシリまで自転車をデポしに走る。途中までは舗装だが、最後はイタドリの茂る砂利道で、やっと峠に着く。ピンネシリ登山口の看板があり、自転車をデポして登山口に戻る。
ユネスコ世界ジオパークの立派な表示板を見て、登山開始。広葉樹の緩い登山道を登る。まずシャクナゲが咲いていた。針葉樹、広葉樹の混交林で、キタゴヨウとアカエゾマツが主なのだと説明板で理解する。橄欖岩の地質が影響しているという。また、沢には日本ザリガニが生息しているという。その沢を越えると尾根筋に出る。五合目山小屋があり、そこから山頂への岩(橄欖岩)の尾根が続く。黄色いアキノキリンソウ、桃色のジャコウソウなどが岩間に咲いている。期待していたよりも少しだ。岩の尾根で樹木ではなく草と低い木が茂る。馬の背のお花畑も、花畑となる広い草原はなく、すぐにハイマツや樹木の茂る斜面となる。出会う登山者は少なく4人。2時間でアポイ岳山頂に着く。西南に開けた斜面の向こうに海岸、海、街が見える。山頂には木々が茂り、周りのダケカンンバの林が美しい。標高は810mだが高山の植生だ。方向を北に変え、少し下る。数mの高さの茶色い岩がある。「アポイ-吉田岳の互層状のかんらん岩」との説明板がある。空色のエゾルリムラサキが岩間に咲いている。ゴゼンタチバナ、シャクナゲも咲いている。西風が吹く尾根は涼しいが、東側になった尾根道は暑い。標高は700mほどだが、大きな木が無く本州の高山の草原のようだ。アポイ岳までは登山者が多いが、ピンネシリまでの尾根は踏み跡も見えない場所もあり、登山者は少ないようだ。アポイ岳は花が多い、しかも固有種も多いと期待したが、時期のせいか期待よりも少なかった。
尾根から東、東南には延々と日高山脈が続く。また、直ぐ近くには採石をしている山も見えた。木の根、笹、岩を避け、草の熱気の中を歩き続け、やっと自転車をデポした峠に下りることができた。昼になっていた。自転車で登山口までは、峠もあり距離17km、1時間もかかった。
7月5日6日 幌尻岳
5日 イドンナップ山荘ゲート6:40-新冠ポロシリ山荘11:20 同山荘泊
6日 新冠ポロシリ山荘4:30-幌尻岳8:10/40-ポロシリ山荘11:30/12:10-イドンナップ山荘ゲート16:25
5日<天気曇り>アポイ岳登山後、ついでにと襟裳岬を見学し、新冠のイドンナップ山荘ゲートに向かった。途中夕食をとり、車を走らせると、雨が降り始めた。新冠ダムの脇を走ってゲート入口に行くのだが、夕立は激しくなり、ダートの道18kmほどで車は泥まみれ、稲光と雷鳴激しく、すれ違う車は無く、ナビは林道を示さず不安になる。「イドンナップ山荘まで10km」の看板で確かに登山口に行く道と確信できた。疲れもあり、安全のため、道端に車を停め、そのまま眠ってしまった。朝には雨も止み、車で10分もかからず、イドンナップ山荘ゲートに着く。ただ、この山荘は無人で、看板もない。駐車場には、6台ほど車があった。2泊分の荷物を背負い、入り口を確認し、歩き始めた。入口のゲートは頑丈な鉄製で、説明文では「営林署から北海道電力が借りて管理している」とあり、警告文もきついものだ。この鉄製のゲートを壊して車を乗り入れる人がいるのか疑問だ。18kmの林道歩きを始める。雨は降らず、薄曇り、周囲は樹林で、結構涼しい。道路は砂利道だが車が余り通らないせいか、水溜まりもなく歩きやすい。川の左岸を歩いて行き、途中で橋を渡り、後は右岸をひたすら歩く。アップダウンもそれなりにあり、荷物もあり、息が切れる。山麓を横切る道なので、所々に沢が流れ、湧き水が出ている。水に困ることはない。落石注意の看板があるが、ほとんど落ちていない。大きな森の中を歩いている。本州にあるカツラやサワグルミ、ブナ、ミズナラなどが多い。道路工事で切り取った岩には草が生えている。花を咲かせている草もある。蔓性の植物、サルナシ(コクワ)、ヤマブドウ、マタタビなどもある。
人よりも動物との出会いが多い。エゾシカが2、3頭の群れで道に出ている。角がないのでメスなのだろう。オスは警戒心が強いのか出会わない。2尾の子キツネと母キツネにも出会う。人慣れしているのか、逃げないでこちらを見ていた。ヒグマには出会わないが、糞があった。また、つい最近の太い倒木が道をふさいでいた。昨日の雷雨で倒れたのか。時たま見える川までは急斜面で反対側も急斜面の尾根で険しい。だがしっかりと樹林に被われている。
とことこ歩くこと4時間ほど、やっと奥新冠ダムに着く。周囲を樹林に囲まれ静かに水を湛えている。放水口から、滝のように水を流している。その横をさらに進む。もう着くはずと、脚を動かすがなかなか着かず。やっと見えたときには、これで念願の幌尻岳に登れると、一安心した。三角形の大屋根の建物に「新冠ポロシリ山荘」の看板がある。昼の時間なので誰もいない。登山に行った人たちの荷物があるだけ。
荷物を下し、昼食を庭でとり、ゆっくりする。そのうちに登山した人たちが、しっかり登ってきたという表情、汚れた装備で下りてきた。ガイド登山らしきグループもいる。中高年の2人連れもいる。少し話を交わすと「埼玉から」という方もいる。この山荘は以前、森林管理の小屋として建てられ、その後新冠町が譲り受け、新冠山岳会が管理をしているという。コロナもあり人数を制限し、ネットで予約し、1泊1000円の協力金を払うことになっている。平取からの幌尻山荘は3月で予約満席、渡渉が何回もあるというのでポロシリ山荘にしたが正解だった。夕食を早めに済ませ、暗くなると同時に眠りについた。設備としては、電気はなし、水道は沢水のパイプは引いてあるが、故障中。近くの沢水利用、しっかりしたトイレが庭にある。
6日 幌尻岳の2日目は、前日、午後6時には寝つき、途中2回、目を覚ます。3時には明るんできたので起きだし、朝食をとり、4:30に出発した。沢の右岸を行く。木々が茂り、下草があり、この日の最初の登山者でスパッツも雨具も付けておらず朝露、昨日の雨滴で脚が次第に濡れる。曇り、木の下で薄暗い。流れに岸がえぐられ、急斜面でやっと越える場所もある。沢沿いを進み、沢の二股で真ん中の尾根に取りつくので沢を渡渉しなくてはならない。ストックを着き、飛び石渡りで無事に通過する。それからは急登の連続。針葉樹、ダテカンバの木々の下に笹が茂っている。小沢の端にピンクの花が咲いている。(タカネバラ)遠くから「ポッポッッ」とフクロウが鳴き、コマドリが鳴き、キキキと別の小鳥が鳴く。倒木もあるが片付けられ、笹も刈りはらわれている。ありがたい。小尾根を越え、笹原を抜け、と息も荒くなる。そして、左の沢の流れる音が近づき、滝の連続のような小沢に下りる。上の方には雪渓が白く残っている。踏み跡をたどるが、上には行っておらず反対側に続いていた。その辺りからの道は大石のある急登になり、薄い霧の中にツガザクラなどが姿を現す。薄桃色のコエゾツガザクラが現れ、華やか。黄色のウコンウツギが現れカラフルになる。ハクサンイチゲ、ミヤマダイコンソウもある。大変な急登を登った甲斐ありと写真を撮る。大岩の横を抜け、ハイマツの原を抜けると稜線に出て、新冠コース分岐に出た。ここから斜度のゆるい岩の尾根を進む。風は無く、ガスで視界は100mほどしか効かない。すぐに質素な山頂表示板を見つけ、念願の登頂を果たす。
少し休んでいると若者2人が登ってきた。写真を撮り下っていった。「林道から一番歩いたかな」の言葉を交わす。ガスが濃くなったり、薄く明るんだりして、晴れ間を30分ほど待つが同じようなので、七つ沼カールが望める肩まで行くのを取りやめ、下山することにした。お花畑付近でポロシリ山荘から登ってきた人に会う。あとはずんずん下る。草むらにネギ坊主が出ている。北海道の山野には行者ニンニクがあると聞いていたので、葉を少しとりかじるとそれであった。
朝の出発が早かったので、ポロシリ山荘には11:30に帰り着いた。昼食をとり、直ぐに登山口まで下ることにした。12時15分から歩くこと4時間10分を歩ききり、4時25分にイドンナップ山荘登山口に着いた。
7月7日 移動日、新冠村から夕張市を経て新得村のトムラウシ野営場 夕張市で石炭博物館を見学
7月8日 トムラウシ山
トムラウシ短縮コース登山口4:30-前トム7:30-トムラウシ山9:15/45-北沼経由-前トム11:35-登山口14:40
<天気曇り>野営場から短縮登山口までは狭い砂利道で水溜まりも多く、やっとのことで駐車場に着く。10台以上が止まっている。装備を整え、入り口で登山者名簿に記入し、暗い森の道に進む。北海道の多くの登山口には、記入の冊子があり、欄は名前、連絡先、登頂する山、下山予定時刻、下山時刻など簡単な様式で、下山するときに下山時刻を記入する。下山時の記入用で倒木の欄があり、登山道チェックで工夫していると思った。
道は、緩斜面を進む。やや標高を上げると曇り空だが、下の平原が望めた。幾らかでも天気がよくなることを願いつつ登る。笹原が続く。道には、丸太や角材が敷いてあり、程々に整備してあるが最近の降雨で平らな場所には水溜まりができ、泥はぬるぬるだ。2羽のウグイスが鳴き競っている。カモイ天上を過ぎると登山道が付け替えになっており、コマドリ沢に標高差100mほど下る。そして沢の右岸を進む。この付近にはフキの葉に似たサンカヨウが群生している。15分ほどでコマドリ沢出会に着き、一休みする。対岸これから登る沢の雪渓が白く残る。沢を渡り、雪渓を登る。斜度はそれほどでもない。途中から右の登山道に入りガレ場を過ぎ、やや平坦な前トム平を通過する。標高1500mを越える辺りから花が増える。紫のエゾツツジが鮮やか。白いシモツケもある。一旦少し下ってトムラウシ公園では沢も流れ、池もある。ここを過ぎると花がさらに増える。南沼キャンプ指定地の分岐を右に曲がり、大岩の斜面を登る。白いガスの上に大岩がかすかに見える。その手前はチングルマの花が広く咲いている。最後の大岩の間を抜けて山頂にやっと着いた。先客3名がいた。南側は雲海が押し寄せて見えないが、北側は視界が効き、雪渓の残る大雪山の山々、富良野の農地などが見える。素晴らしい。登った甲斐があった。9:45で時間があるので北沼の方に下り、一回りして下ることにした。下る斜面の岩の間には草花が咲き乱れる。エゾノツガザクラは群生し、赤紫の色が鮮やかだ。ミネズオウ。大岩の近くで何かが動いた。ピチチチーというような鳴き声を出しながら。ナキウサギだ。北沼は直径60mほどで横に雪渓を従え、青い水を湛えている。息をのむ美しさだ。ここから南に平坦な道を進む。平らな草原は色とりどりの花を咲かせ、本当に素晴らしい花畑だ。チングルマ、エゾノコザクラ、ハクサンイチゲ、エゾノツガザクラ、キバナシャクナゲ等。各花が群生し、それが混じり合って咲いている。登った甲斐があった。キャンプ場まで来て往路に戻り下ることにした。
トムラウシ山は火山で、登るときには気付かなかったが、岩塊斜面が発達している。北アルプスや南アルプスのように、氷河期起源のものだろう。地形の形成も不思議だ。山頂付近では、かなり景色も見られ、美しい池、広いお花畑も見られ満足のトムラウシ登山となった。
7月9日 雌阿寒岳
オンネトー国設野営場7:00-雌阿寒岳9:30-雌阿寒岳登山口11:30-国道入口12:45
<天気曇り、雨>計画では然別湖南の東ヌプカウシヌプリに登る予定であったが、天気が午後から悪くなる予報なので、雌阿寒岳だけに登ることにした。鹿追町の扇ケ原展望台Pから足寄町、農村地帯を走り森深いオンネトー登山口に着く。直ぐに、登山開始。曇りで針葉樹の大木のうす暗い森を登る。木が多いので道に根が多い。丁度秩父の山のようだ。下にはゴゼンタチバナ、シャクナゲなど。風が吹いて霧雨をまく。林内なので濡れない。下山する人に会う。苔もよく繁っている。標高1000m位で木がカンバやハイマツになる。風雨が直接あたるのでこれまでかと雨具を着ける。道は小さい木と火山の砂礫の斜面となり、風雨が強まる。雨に濡れた群生のイワブクロ、タデが砂礫の中で花を咲かせている。阿寒富士との分岐七号目付近では木も無く、鞍部で東風が強くなる。引き返そうかと迷うが、1時間もしないで登れそうなので行ける所まで行こうと思い進む。黄色い花、白い花も咲いているが風雨強く見る余裕がない。植物は少なくなり、火山の砂礫地となり、風雨も強く、踏み跡だけをたどる。向きを西に変える辺りに道標があり、登山口の矢印がある。ここを下ると登山口だと周辺を見回す。さらに、山頂を目指し、風雨の中で、山頂の標柱と2人の先行者を認めた。先行者に風雨の中、写真を撮ってもらう。直ぐに下山開始、登る途中にあった道標の「登山口」の方向に進み、下る。砂礫の中のペンキの石を目印に下り続け、やがて、火山地形の黄茶の尾根を下る。やがて針葉樹の大木の林に中に至り、登山口が予想よりも遠いと感じつつも、地形の感じが雌阿寒温泉の付近と同じなので、そこに通じると信じて下り続けた。ところが、林道の終点となった登山口は雌阿寒温泉ではなかった。雨も止んだので、地図を出し、確認すると、雌阿寒岳東北方向のフレベツ林道登山口であり、下山ルートの間違いに気づいた。天候は曇り、時間も昼前で、国道まで歩き、そこでタクシー等で車のある登山口まで戻ることを考えた。携帯はバッテリーの消耗を防ぐため、国道まで使わないこととした。時間は早いので今日中には戻れると自分に言い聞かせ、とりあえず昼食をとる。そして国道まで歩いて出た。
今後に生かすため、今回の道迷いの原因、対策をまとめる。
・長い山旅で疲れてきた。
・事前のルートのチェックをしたが、その本のお薦めルートのみ赤線であり他のルートは黒点線で印象に残らないものであり、予定のルート以外の下山口はないと信じ切っていた。
・雌阿寒岳は1499mでルートの標高差800mの低い山だと甘く見た。
・当日、登山口では曇り、無風だったが稜線は風雨が強く、視界は効かず、地図を確認する余裕がなかった。早く下りたいと焦っていた。
・予定変更で、紙の地図とコンパスを忘れ、GPSとコンパス付き時計のみ携行した。しかも風雨が強く、道標の登山口を目的の場所と信じ切り、地図とコンパスで確認しなかった。
結果的に、国道まで出たが、そこから登山口の駐車場までは18kmあり歩いて戻れる距離ではなかった。携帯電話は通じるも阿寒湖のタクシーは少なく利用できず、付近のGSの親父さんのお陰で駐車場に戻ることができた。今後の教訓としたい。
また、翌日も天気が悪い予報なので、カムイヌプリ登山は中止し、斜里岳登山口に向かった。途中、鹿の群れなどに頻繁に会う。
7月10日 斜里岳
清岳荘登山口4:30-旧道沢コース経由-斜里岳7:30-新道尾根コース経由-登山口10:15
<天気曇り、時々雨>
清岳荘の駐車場には20台位の車が止まっていた。昨日着いて車中で眠る。夜半、目を覚ますと星が見え、良い天気を願ってまた眠る。3:00には明るみ、軽い食事をとり、4:30には登山者名簿に記入して歩き始める。清岳荘の掲示板に登山情報が書いてある。森の中を少し歩き、右の谷に下りると林道があり、しばらく平坦な道を歩く。クマだと思われるがフキが食い散らかしてあり、道にフキの繊維の入った糞がある。前後に登山者はいない。熊鈴位で逃げてくれるのか心配になる。沢に入り、鬱蒼と樹木、草の茂った谷を登って行く。沢の水はそれほど多くなく、飛び石で右、左と渡り登る。上二股からは沢が険しくなる。少し油断したのか、雨で濡れた石の上で滑り、右足の靴に水が入る。沢登りならさほどきつい沢ではないが、登山靴では滑りやすい。斜里岳も火山の山で岩、石は火成岩、沢の中の石が赤茶けた色だ。水を口に含むと酸っぱく鉄臭い。酸性の水だ。斜面の上を見ると雨風が吹きつけている。途中で雨具を着ける。前日と同じような天気だ。花は沢沿いでショウマが多い。チシマキンバイ、ヨツバシオガマ、白いオオバナノエンレイソウ、エゾゼンテイカ(キスゲ)なども咲いている。何か所か、滝があり、横を注意して登る。次第に沢は細くなり、斜度が緩くなる。上二股付近から稜線に近くなり、風雨が強まる。だが、灌木の中の道で、風は直接当たらない。急坂を登り、汗と雨で体は相当濡れているが、山頂まで行こうと進む。灌木も少なくなった切り通しの尾根があり、そこを風が激しく通り抜けていく。雨混じりの風で風の動きが分かる。数m先の岩の影は風がほとんどない。不思議な風の動きだ。帽子が飛ばされないようにして、一気に通り抜ける。その先の濡れた砂礫だけの丸い頂上に山頂の標柱が立っており頂上到着。タイマーで写真を撮るもレンズに雨滴が付き画像が歪む。この日の登山一番乗りだった。下山を始めると元気な女性グループが登ってきて、風の強い切り通しで会う。強い風でよろけながら通過している。後でまたこのグループに会ったが、1名がザックカバーを吹き飛ばされたという。激風恐るべし。
ハイマツの林を抜け、新道尾根コースを進む。斜度はないが、木々が繁る。晴れれば花も綺麗だろうが風雨に霞んでマルバシモツケ、リンネソウなどが咲く。熊見峠の看板を過ぎてから急傾斜の下りとなる。雨は降ったり止んだりで道は濡れていて、カンバの林、シダの原だ。幸い、道に付近のカンバを利用して土留めがしてあり、助かる。ずんずんと下り、下二股まで着き、数人の登山者にも会い、一安心する。こんな風雨の強い日にも山に登る人がいると感心する。相手からも同じ言葉をいただくかもしれないが・・・。
駐車場に到着し、清岳荘に車中泊の駐車代金を支払い下山した。早めに下山できたので斜里町で買い物、クリーニング、斜里町立知床博物館見学をした。オホーツク海を見て走り、羅臼岳登山口の木下小屋に着きそこで宿泊した。
7月11日 羅臼岳
岩尾別温泉登山口木下小屋4:440-弥三吉水6:10-羅臼峠6:40-羅臼岳9:10-岩尾別温泉木下小屋13:10
<天気曇り、雨>前2日間に続き天気予報が良くなく、硫黄山-羅臼岳縦走を止め、1日での羅臼岳往復にする。木下小屋はホテルの奥に隠れるようにあるが、ログハウス温泉付き1泊素泊まり2500円で登山者には有難い。4時過ぎには起きて直ぐに準備し、出発する。小屋の横が登山口で登山者名簿に記入して登り始める。ここは海岸に近く標高220mから尾根を登る。本州なら1000mから1500mの植生でミズナラを中心とした植生だ。林床にも低木がびっしりと生えている。岩場にナデシコなども咲く。雨がパラパラするが林内で濡れないが次第に強まってきたので雨具を着ける。途中、10人ほどのグループを抜く。弥三吉水で水分を摂る。ここから上は極楽平という場所で、緩斜面のダテカンバの森だ。直径20—30cmの木なのだがほとんどの木が水平に伸びてのたうっているようだ。おそらく多雪による圧力のせいでこうなったのだろう。樹幹が道に出ていてよく頭をぶつける。その付近で鹿の親子に出会う。極楽平からやや登って銀冷水を過ぎ、標高1000m地点で左の沢に雪渓を見る。やはり北海道だ。こんなに低くても雪渓がある。その上で道が雪渓の大沢に入っているので雪渓歩きとなる。雪面は柔らかく靴でけりを入れれば滑ることなく登れる。上の取り付きに注意していくとロープがあり道が分かる。この付近は大岩ゴツゴツの道だ。そしてその雪渓が消える上部の谷間はエゾコザクラ、エゾツガザクラ、イワヒゲ、チングルマ等のお花畑で目を見張る美しさだが、あいにく、雨で頭を下げ花びらから雨粒がしたたり落ち残念・・・。さらに登ると峠からの風が徐々に強くなる。羅臼平まで登るとさらに風雨がビュービュウーと強い。登頂に迷うが、灌木も生えており、行ける所まで行こうと考えて進む。道標を確かめ、右に進む。縦走路の分岐、フードロッカーがあり、ハイマツなどが幾分風を防いでくれた。進んで行くと雨に濡れ座っている人がいた。驚いて遭難でもしているのかと声をかけると、「風雨が強く登れるかどうか迷っている」という。私も少し助かるかも知れないので「登れる所まで行こう」と、頂上目指し連れ立てって進むことにした。岩が出てくるとその岩の間にイワヒゲなどが白く咲いていて綺麗だ。岩が段々大きくなる。強風は場所により強さが違い、岩の上など大変な強風が吹き抜けて体が飛ばされそうになる。強風の場所は急いで通過し風の弱い岩陰で休み休み登る。見通しも効かないので雨の中GPSで位置を確認し、岩のペンキのマークも辿り進む。そして最後の大岩を登り左に回り込んで行き暴風雨の中、私が一番で登頂した。山頂は2畳ほどで、立つと吹き飛ばされそうなので道標を背景に写真をとり下山することにした。下山していると、後から何人もの登山者が登ってきた。この風雨の中よく登ってきたものだと驚いた。雨、風、汗で雨具の中もべっちょり。寒くもなってきたのでどんどん下る。大沢の雪渓まで下ると風も弱まり、そこで一休みする。さらに下ると空も明るくなり、さらに下ると薄日も射してきてヤマテンの晴れマークに納得する。同行の登山者とは、会話しながら下り、埼玉からきたと聞き、話も弾む。登山初心者で、テントを買い縦走もしたいと話していいた。知っている花や行者ニンニクを教えるとまだ花までは及ばないなどと話していた。弥三吉水からは晴れ間あり、オホーツク海も見え、快適に下る。下山後、木下小屋前で、着替えなどしながら下山した人と会話すると他にも埼玉から来た方もおり、前日、斜里岳に登ったとも話していた。同じような山巡りをしている方もいると共感を覚えた。
この後、知床五湖、知床自然センターに立ち寄り、大雪山旭岳登山口に向け走り、北見市
北部泊
7月12日 移動日 北見-石北峠-層雲峡-上川-旭岳登山口 同所キャンプ場泊
7月13日 大雪山(旭岳、北鎮岳他)
大雪山旭岳ロープウェイ旭岳駅6:30-同姿見駅6:40-旭岳8:20-北鎮岳10:30/40-裾合平12:40-姿見駅14:00
<天気曇り後雨>4:00には起きて準備。歩いて10分ほどの旭岳駅に行き6:30発、登りの始発を待っている。視界も効くし、晴れ間も出ている。大丈夫そうだ。6:15になってやっと窓口が開き手続きを行う。往復3200円。20人ほどの登山者が乗る。姿見駅を下りて出ると、東側には旭岳があり黒い影の中に白い噴気を立ち上らせその迫力に驚く、朝日でそれが一層白い。駅を出て右の小高い丘の道をたどる。岩ごつごつの斜面だ。右斜面からガスが濃く、薄く吹き付けてくる。地獄谷の南の尾根を登る。イソツツジなどが咲く。まるで富士山のようで草もほとんどない。ニセ金庫岩から左に曲がり尾根を登る。進むと斜度が緩くなり、草木がほとんどない丸っこい尾根になり、頂上に着いた。北側の当麻岳、比布岳付近が見通せ残雪が目立ち綺麗だ。
頂上から東に下る。地面には構造土の模様ができていてミヤマダイコンソウ、キバナシャクナゲ、メアカンキンバイの花も咲いている。その下には500m位の雪渓があり斜度は緩く、滑らず下る。一旦窪んだ谷に下り、そこから間宮岳に向かい緩やかに登る。その周辺は火山の砂礫だが岩の間には小さな草花が咲いている。黄色のエゾタカネスミレが目立つ。間宮岳分岐を北に向かう。この周辺は平坦で、砂礫だが小さな草本植物と苔が固まった部分が縞々となっている。右には大きな火口のような御鉢平が広がり高度感と雄大さ、火山地形の不思議を感じる。中岳分岐まで雨で土を流された道を下る。修理をしているが酷い。その横で鮮やかなヨツバシオガマやクモマユキノシタ、エゾイワツメクサ、イワヒゲが咲く。北鎮岳分岐付近では、やはり高い木は無くイワヒゲ、チングルマ、コマクサなどが咲く。分岐から北に20分ほど登り北鎮岳頂上に着いた。この辺りも花が多い。山頂からは雲の切れ間に周囲の残雪のある山々が見え雄大な景色だ。小休憩後、中岳分岐まで戻り、旭岳の北側の裾合平を通り、姿見駅に戻るルートを進む。このルートは愛山渓にも通じる道だが、登山者は少ない。標高を下げる辺りにはコメバツガザクラなどの矮性低木の塊がある。よくぞこんな厳しい場所に根をはっていると感じる。そして谷におり、沢の中に温泉が湧いている。この木枠だけの中岳温泉では手で湯加減を見た。余裕があればひと風呂浴びたいと思いつつ通過した。左の雪渓の溶けた場所にキンバイソウ(仲間)が群落で咲いていて花が大きく、色が濃く眩しい位だ。そこからは旭岳の北の緩やかな斜面、小さな沢を横切る道で登山者は無く、一人静かに大花畑と旭岳北斜面の雪渓の景色を楽しむ時間となった。エゾコザクラ、チングルマ、ハクサンイチゲなどの花々がグランド一杯に咲いているような様子だ。裾合平の大花畑が終わる辺りで、雨が少し降り始めた。道も左右が笹になってきた。雨具を着けるほどでもないと傘でしのぎつつ、姿見駅に急いだ。姿見平までくると、笹は終わり、チングルマ、エドツガザクラの群生地になり、雨の中だが見事だった。登山者でなくともロープウェイで姿見平まで来て、この花畑をみると感激だろうと思った。14:00の下りロープウェイに間に合い充実した山行を終えることができた。
下山してからは、美瑛の街に寄り、食料、車の燃料を補給し、街の東にある吹上温泉のキャンプ場でのテント泊となった。
7月14日 十勝岳 美瑛岳
望岳台登山口4:45-十勝岳7:40/50-美瑛岳9:55/10:10-望岳台13:10
<天気曇り>吹上温泉白銀荘のテント場は水道、トイレ、風呂、駐車場とよく整備され、安くて一般のテント泊の方も多い。起床してすぐにテントを撤収し、少し車で走って望岳台に移動し、出発した。今日も曇り位で天気がもって欲しいと願いつつ出発する。登山口から南東にそびえ、よく見える十勝岳美瑛岳に向かって登っていく。相当高く感じる。十勝岳は火山で噴火してできたのは南北の富良野岳、美瑛岳よりも新しい。したがって植生は、南北の山々は高山植物が豊富であるが、十勝岳はまだ貧しい。避難小屋までは溶岩の上のような道を歩く。避難小屋には若い人のグループが泊まっていた。そこを過ぎると大石の斜面となる。間近に前十勝の火口から白い噴煙が激しく立ち上る。すごい火山の迫力だ。道の周りには木々は無い。黄色のアキノキリンソウが目立つ。マルバシモツケは花が終わり、茶色くなっている。標高1300m位からはほとんど植物のない岩、砂礫の斜面となり、一人黙々と登る。大岩、大石の急斜面を登り切ると平坦な場所に出た。そこからは草木は全く無く、左右には火山の火口があり、前には十勝岳があり、右の火口の向こうには白い噴煙が立ち上り、地球とは思えない景色が広がっている。正面の一番高い峰が十勝岳だが、道が見えない。割合平坦な砂礫帯を歩く。キリマンジャロのサドルと言われる場所のようだ。1kmほど進んで十勝岳の急な斜面の下で、初めて、ルートはほぼ真っすぐにつけられていることが分かった。また、岩ごつごつの斜面を登る。
汗が吹き出す。ロープも張ってある。そして本日も先行者なく、登頂1番は私だった。ほぼ晴れの下、写真を撮り、山頂から東北方向の美瑛岳に向かう。割合平坦で、ガスも出てきたのでGPSなど使い、かつペンキ石や杭の目印もたどり進む。鋸岳から一旦下りトラバースするように美瑛岳に進む。草木がないので火星のようだ。谷にはまだ雪渓が残っている。できたのが新しく、まだ草木は無いがそんな場所でも土が動きにくい場所にイワブクロやイネ科の植物が進出してきている。美瑛岳に近づくと南斜面にチングルマの群生地が現れた。他の花も咲いている。登った甲斐があった。天空の花畑である。美瑛岳に続く最低鞍部から美瑛岳分岐の南斜面の花畑はともかく見事だ。
美瑛岳分岐から曲がり、美瑛岳に登る。大岩の連続で山頂が分かりにくいがやっと到着。木の山頂標柱があり、セルフで撮影する。山頂からの西の谷は草木ない火山の地形だ。そこからは急な下りでハイマツやイソツツジなどが生えている。急な下りでまたたく間に標高を下げる。沢に下る辺りで登山者に合い、渡渉ありと聞かされる。実際はその沢は大したことなく飛び石で渡れた。そこからは低い樹木帯で雲の平分岐に行く。急な下りが終わりゆったりと歩く。十勝岳の北斜面だが結構花も咲いている。エゾコザクラ、イソツツジ、ウコンウツギが咲き予想していたより鮮やかな花畑が広がっていた。大きなイワブクロの群落もあった。分岐合流からは緩やかな岩の道をゆっくり下り、望岳台に着いた。白銀荘の湯で汗を流し、夕張岳登山口を目指した。
7月15日 夕張岳
夕張岳登山口4:45-冷水コース-夕張岳8:10/8:25-馬ノ背コース-登山口11:15
<天気曇り>昨日、十勝岳下山後、富良野市を抜け、芦別岳、夕張岳の西の谷沿いの国道452号に入り、その道を南に走り、シューパロダムに至る。登山口に通じる林道はナビにも表示されず、道路沿いの「夕張岳入口」の看板を目印にダムに架かる橋を渡る。そこでキツネの出迎えを受ける。川沿いの狭い砂利道を10kmも走り登山口駐車場に着いた。夕食後、車中泊する。2:00頃目を覚まし、空を見ると星が出ており、安心する。4:30に起床し、4:45に出発した。登りは冷水コースを、下りは馬ノ背コースをとることにした。カンバや針葉樹の大木、下には笹の中を登る。コマドリが鳴いている。空色のアジサイが咲いていて、その花は今、園芸種ではやりの星型をしている。今日一番の登山者で、脚が濡れる。傾斜がきつくなり汗もかいてくる。冷水の沢で冷たい清水をいただく。泥の道だが滑らず歩ける。左に曲がりながら尾根に上がり、馬ノ背コースに合流した。そこからは急登が続き、上り下りもあり、笹の根もあり、歩きにくい。蛇紋岩らしい岩も出てきた。やや平坦な場所(石原平)があり、シラネアオイの群生地と看板がある。花は終わり、実をつけている。憩沢にはチシマノキンバイソウが輝く黄金色の花をつけ群生し素晴らしい。花の百名山だけあり、道沿いに様々な花が咲いている。ウサギギクも咲く。ガマ岩が近づき、高低差ない湿原を東に進む。薄紫のネギ坊主のシロウマアサツキが群生している。ミヤマアズマギク、チシマフウロ、トラノオ等次々と咲いている。この付近で風雨に見舞われる。すぐに止むとそのままで進み、シャツ、ズボンが濡れる。吹き通しには、樹木なく草花だけが生える。蛇紋岩のせいか不思議な植生の場所だ。ユウバリソウは花が終り、ユキバヒコダイは蕾だ。クモマユキノシタは雨粒を付け咲いている。ハイマツの間を抜け、神社の前を通過し、目指す夕張岳に8時過ぎに着く。西に眺望は効き、登ってきた湿原、その向こうの山脈が見える。頂上はさほど広くないが、何種類もの花が咲いている。天気も悪くなく、念願の「花の百名山・夕張岳」に登れて、花も見られ、満足できる山行となった。また、時期を変え登ってみたい山である。
下りながら、北に晴れ間ができ、芦別岳を望むこともできた。
早めに下山でき、時間に余裕ができ、南暑寒別登山口に行く途中にある三笠市立博物館を見学する。この付近の中生代地層から発掘された直径1mほどのアンモナイトが多数展示されていて圧巻である。
7月16日 南暑寒別岳 雨竜湿原
南暑寒荘岳登山口4:00-雨竜沼湿原5:30-南暑寒岳8:30/8:45-雨竜沼湿原10:35-登山口11:45
<天気曇り>南暑寒荘テント場は広く、3張のテントでゆったりとしていた。ゆっくり睡眠をとり、3:00には明るくなり、起床し4:00に出発した。ペンケペタン川沿いの砂利道の車道を第一吊橋まで歩く。広葉樹林で緑が濃い。鉄製のしっかりした吊橋を右岸に渡る。ここからが登山道となる。山麓を川に沿って登るので小さい沢が幾つも横切りきれいな水が流れている。アジサイ、ヒヨドリバナの類が咲いている。雨竜沼湿原から流れ出るペンケペタン川は水量も多く急流でゴーゴーと音を立てて流れている。途中には白竜の滝があり、白い水柱を落としている。対岸には柱状節理や火山堆積物の地層も見え、滝は断層などが削られ滝になったのだと推測した。一般に火山の山は川がないというイメージがあるがそうでもない。火山の噴出物によるものらしい。溶岩や火砕流、泥流は不透水層を作り、水を地表に流すそうだ。第二吊橋を渡り左岸の道を登る。荒れた険しい道で大岩ゴツゴツ、木の根、笹の根一杯で歩きにくい。80分ほどで湿原入口に着く。紫のヒメオウギアヤメが群生し、迎えてくれた。湿原は木道が整備され歩きやすい。朝日の中、緑の湿原とその向こうにゆるやかな傾斜の南暑寒岳を見たとき、自分の気持ちもゆったりとしてきた。途中に休憩所、案内板もあり、よく整備されている。東西4km南北2kmの広さとある。木道は1周できるようにあり、左からの一方通行となっている。平坦な木道なのでずんずんと歩く。蛇行する川、水も澄んでいる。湿原の草は近づいて見ると何十種類もの草の混じった草原だ。キスゲの黄色、トラノオの仲間、ワレモコウ、ノコギリソウの仲間、イネ科の植物も多い。池塘が多いが、隣り合っている池塘の高さが50cmも違い不思議に感じた。木道の一番奥の所から登山道が伸びている。その付近はアヤメ、キスゲと花が多い。湿原を離れ、少し登ると湿原の展望台がある。展望台を過ぎると、緩い傾斜ながら道は狭く、笹が両側から迫る。平坦な道、緩傾斜の道と続く。笹が道を覆い下が見えないほど。途中に、クマが倒木のアリを探し掘った穴などがあり、少し緊張する。頂上近くには草地がありイワイチョウなどの花が咲いている。雪が多いため草地となっているのだろう。岩が大きくなり、頂上に到着した。標高差が余りないものの結構時間がかかった。水平距離が長かったためだろう。頂上からは北に暑寒別岳を望め、そこに続く稜線もよく見える。草地、灌木地帯、笹原と植生がよくわかる。残雪も少ないがまだ残っている。東の雨竜沼湿原ははるかに遠く小さくなっている。湿原には池塘が点在し光っている。風が出て、ガスもかかってきたので下山する。土曜日で、湿原までに30人ほどの人と出会う。地元に人気の山なのだろう。皆、楽しそうな表情だ。湿原までなら半日で往復できるのでハイキングには良いだろう。湿原は木道が整備され歩きやすいが、途中の道は整備すればもっと安全で歩きやすくなる。湿原に着き、下山の道を進む。ちょっと小高い丘には行者ニンニクの群生地があった。湿原にはハイキングの人達が20人ほどもいて、まだ湿原に登ってくる人達もいた。昼前には登山口に着いた。事務所で、整備協力費500円を支払い、絵葉書と雨竜町の施設の割引券をいただいた。テントを片付け、雨竜町の温泉で汗を流し、昼食を摂った。
7月17日 雨のため、予定変更 白老町ウポポイ見学 昭和新山、有珠山、洞爺湖見学 羊蹄山真狩登山口に移動し、車中泊
7月18日 羊蹄山
羊蹄山真狩登山口5:00-真狩コース-羊蹄山9:50/10:10-外輪山一周-真狩登山口13:20
<天気曇り>天気は曇りだが雨は降らない予報だ。駐車場から1人、2人と登山者が出発する。私も遅れまいと準備して出発する。この登山口の標高は399m、山頂の標高1898mなので約1500mの登りとなる。標高差1000m以上は登り甲斐がある。ただ、羊蹄山は登り一辺倒なので登り返しが無い。キャンプ場奥にある登山者名簿に記入して登り始める。薄暗い針葉樹の森を登る。道は昨日降った雨でぐちゃぐちゃだ。白樺林があり雰囲気はよい。南コブ分岐辺りから、やや東に道が行き、広葉樹林内から笹原になる。草や笹も濡れたままなので脚が濡れる。登るにつれ斜度も増し、笹原に何本か生えるダケカンバも太くなる。標高1000m位からは完全な笹原歩きで右に左にカーブしながら登る。笹は十分刈られておらず、笹の上を歩くこともあり、濡れた靴で滑りやすい。太い倒木もあり、その下を潜らなくてはならない。登山口が立派なのに登山道が整備されておらず、整備をお願いしたいところだ。目立つ太いダケカンバが笹原に生えている。立派な枝ぶりだ。途中で同じ位の速さで登る同じ位の年齢の男性登山者と何とは無しに話が始まる。兵庫の方だという。立山で登山の魅力に目覚め、50万円貯めて、今回の北海道山行を計画したと話す。舞鶴から20時間かけフェリーで小樽に着き北海道の登山をするという。徐々に大岩、大石が増えてきて七合目、八合目の看板を見るが頂上に着かない。九合目で避難小屋の分岐になる。避難小屋方面を見ると黄色のお花畑がある。近くで見たいと寄り道する。イワブクロ、フウロ、クルマユリも咲いている。花が増えてきた。北海道にユリは少ないが羊蹄山には所々にクルマユリが咲いている。黄色のお花畑はエゾゼンテイカ(キスゲ)でこれほどの広さはここだけだった。本当にたくさん咲いていて綺麗だ。九合目に戻り、山頂を目指す。尾根に出ると雲の上に出て視界が広がり、気分がよくなる。花は増々増えて色鮮やかな草原だ。エゾツガザクラ、キオン、カラマツソウ、チドリ、フウロなど。さらにハイマツの道を潜りつつ登り外輪山に出ると一気に羊蹄山の火口が見えた。火口内には低い草木が生えている。十勝岳と較べると噴火が治まったのはずっと前のようだ。右に続く向こうの尾根に山頂が見える。そちらに進むと岩場が続き、慎重に歩く。そして山頂到着。今回の山行は天気に恵まれなかったので、北海道最後の山が晴れて気持ちも晴れ晴れとなった。少し休み、外輪山を1周することにした。岩場はすぐに終わり、砂礫の道となる。登山者が多く、頻繁に出会う。歩きやすいのでどんどん歩き、一旦下ってまた登り、旧小屋跡を通過して分岐になった。雲海を眺めて、見納めした。後はずんずん下る。下ってゆくと雲海の切れ目から真狩の街、農村の畑が見える。洞爺湖もその向こうに見えた。
下山後、真狩の湯に浸かり、外に出ると羊蹄山が北に大きく聳えていた。
7月19日20日 移動日 18日に羊蹄山下山後、真狩村から札幌近郊に移動しテント泊 19日に札幌市内の知人宅訪問。夕方、苫小牧港からフェリー利用で、20日午後4時に大洗港に到着。北関東道などを通り、熊谷に帰る。
最後に
今回の北海道山行は天気に恵まれず、計画どおりとはいかなかったが、ほぼ目標の山行ができた。百名山以外では念願のアポイ岳、夕張岳、南暑寒岳にも登ることができた。北海道の山々の雄大さ、魅力、自然、個性等を知り味わうことができ、満足と充実の山行となった。予備日を設け、早立ち、早着きを心がけ、昼前後に下山したので、次の山への移動も余裕を持てた。また、三笠市立博物館、ウポポイ、昭和新山を見学することができた。反省すべき道迷い1件以外、事故、病気なく元気に北海道の山々に登れ、山行の一つ一つが脳裏に刻まれ、充実した山行となった。まだ、北海道には魅力ある山がたくさんあり、季節を変えて登りたいとも思う。
【縦走】初夏の北海道 花旅 2022/7/2-10
山 域:北海道花旅 礼文岳、利尻山、黒岳、五色岳、石狩岳
登山形態:無雪期日帰り、テント泊縦走
目 的:北海道の花旅
日 程:2022年7月2日(土)~7/10日(日)
参加者:新井浩、駒崎
行動記録:
7/2(土)移動日
羽田空港第2ターミナル集合9:30/10:45=稚内空港12:35=バス 稚内港フェリーターミナル13:20/14:50=フェリー 礼文島17:00
羽田を定刻通りに出発し、稚内が近づいたころに、飛行機の窓から雲海の上に頭を出している利尻山が見えて感動した。幸先の良いスタートだ。どんより曇った稚内空港からバスに乗り、稚内港フェリーターミナルへ移動し、乗車券を買い礼文島までの約2時間の船旅。青空が見えたのでデッキに出てみると、利尻山がきれいに見えた。
礼文島に降り立ち、今宵の宿は歩いてすぐのところにあった。夕食にウニが出て来てにんまり。宿で無料の温泉券をもらい、近くの礼文島温泉うすゆきの湯につかった。
7/3(日)礼文岳
宿6:00→フェリーターミナルBS6:30=内路BS6:51→礼文岳8:35/8:50→内路BS10:55=フェリーターミナルBS=知床BS12:06→桃岩展望台コース→フェリーターミナル15:30/香深16:30=フェリー 利尻島鴛泊17:15=利尻島泊
<天候:ガス時々晴れ>
宿の朝食を早めてもらい、6:30発の路線バスに乗り海岸線を走り内路という場所で降りる。そこが礼文岳の登山口だ。我々以外は一人の人のみ下車。他の人は島の北端のスコトン岬に行くのであろう。朝ガスで真っ白であったが青空が見えている。すぐに出発。登り始めは笹の中の明るい登山道が続き、ダケカンバ林のガスの中を登るようになると、オオタカネバラの花が登山道脇に咲いている。
他には花は少なくもくもくと登る。トドマツ林の中では、コイチヤクソウの蕾が一杯見られた。標高400m程でハイマツ帯になり、岩場にはエゾツツジがきれいに咲いている。急登を一登りで490mの山頂だ。真っ白で何も見えないのが残念だ。
しばらく休憩して、下山する。下に降りるにつれ晴れ間が出て来て、下界の内路港が良く見える。バス待ちの間、内路港をうろつく。バスに乗り朝出発したフェリーターミナルに戻り、ラーメンをすする。またバスに乗り知床という桃岩展望台コースの入り口で下車する。このコースは最初は林道をひたすら歩く。
牧場の中のような感じの草原を進むと、やがて道は細くなり、様々な花が咲いている。エゾイブキトラノオを始め、チシマフウロ、エゾノシシウド、オオハナウドなど。ガスに包まれて幻想的な雰囲気だ。元地灯台を過ぎ、お花畑の中に、エゾカンゾウ、ヒオウギアヤメ、レブンキンバイソウ、レブンシオガマが混じるようになる。ハマナスも時折咲いている。花が上向きに咲くレブンソウも見られた。
崖下を覗くと白い花が見えるがよくわからないが、歩き進むとレブンウスユキソウとわかる。エゾカンゾウやレブンキンバイソウの群生もあり、延々と続くお花畑に足が進まないが、利尻島へのフェリーの時間があるので仕方なく進む。
やがて桃岩展望台。一瞬ガスが晴れて桃岩を見ることが出来た。お花畑に満足して、フェリーターミナルへ向かう。荷物を預かっていただいた宿に寄り、お礼を言ってフェリー乗り場へ。礼文島から利尻島までは40分ほどの船旅。
ガスが晴れて青空がきれいになってきた。明日登る予定の利尻富士が立派な姿を現して感激する。迎えに来ていただいた宿の車に乗り、二日間お世話になる宿に入った。
7/4(月)利尻山
宿4:30=鴛泊登山口5:00→第一見晴台6:50→避難小屋8:55→北峰1714m 10:45/11:55→避難小屋13:10→第一見晴台14:30→登山口15:55=宿 利尻泊
<天候:曇り時々晴れ>
朝4:30に宿の車で利尻山の登山口まで送ってもらう。5分ほどで登山口の北麓野営場に着く。そこのあずまやで朝食のおにぎりを食べて5:00登山開始する。野営場のなかの整備された道を10分ほど進むと甘露泉水と呼ばれる湧水がある。冷たい水を口に含んでみるが甘くはない。この辺りは標高270mで3合目の標識が有った。
緩やかな登山道を進み、ダケカンバの林を抜けると6合目の第一見晴台。この辺りは標高760mですでにハイマツ帯だ。下界の展望は残念ながらないが、山頂方面は良く見える。登山道は岩が多くなり、ハイマツの脇にはナナカマドとヤマブキショウマの白い花がにぎやかだ。第二見晴台を過ぎると8合目の長官山1218m。利尻山の山頂が見えてきた。その麓には青い屋根の避難小屋が見える。
足元には、シラゲキクバクワガタ、チシマフウロ、エゾノハクサンイチゲなどが咲いている。その先のザレ場にはリシリヒナゲシのレモン色の花が咲いている。山頂直下のザレ場にもかわいい花を咲かせていた。9合目を過ぎ最後の難所の崩壊地は修繕が進み、歩き易くなっている。エゾノハクサンイチゲ、ミヤマアズマギク、ベンケイソウなどが咲き乱れている。やっとのことで山頂だ。途中風が強かったが山頂はほとんど風がない。下界の海や船、港が良く見える。のんびり休憩とする。
付近の岩場をうろつくと、リシリゲンゲの白い花を発見。上向きに咲いているので間違いない。イワヒゲ、イワウメ、シコタンソウなどと混じって咲いている。
下山は登った道を戻る。陽が出て来て暑い位だ。登山口の野営場に着き、宿に電話して迎えに来てもらう。夕食にはうに丼が出て来て感激した。夕食時他の登山者からの話で近くにある利尻富士温泉が良かったとの話を聞き、他の宿泊者と一緒に温泉まで宿の車で送迎してもらった。普通の温泉であった。
7/5(火)移動日
利尻島鴛泊発8:25=稚内港着10:05=10:40レンタカーで層雲峡へ移動277km=層雲峡泊15:30
朝宿の外に出るとガスで何も見えない。朝食前に近くの海岸まで散歩。小さな港があった。昭和初期にはニシン景気に沸いたらしく、取れたニシンを一時保管する場所として、海岸に石を積んで波除の囲いを作ったものが見られました。宿にて朝食を取り、鴛泊フェリーターミナルまで送ってもらい、利尻島に別れを告げる。利尻島→稚内は1:40ほどの船旅。ガスに包まれて外は何も見えない。稚内に近くになってやっと陸地が見える程度でした。稚内フェリーターミナルから稚内駅前まで歩き、レンタカー屋さんに入る。無事レンタカーを借りて、一路旭川方面へ向かう。
R40を南下するが、信号機がない、制限速度が無い?で早い早い。旭川の手前で道央道の無料区間に乗り、上川方面へひた走る。上川町で道央道を降りてR39を帯広方面へ。
天気よく快適なドライブで、層雲峡へは計画よりも早く着く。残念ながら小雨が降ってきた。宿に入り、荷物を下ろす。時間が早いので、層雲峡の街の中を散歩。層雲峡ビジターセンターがあったので中に入ってみる。熊のはく製などがあり迫力満点。
大雪山の大きな地図があったので、ルートなどを確認していたら、明日入るクチャンベツ沼ノ原登山口への林道が通行止めになっている。職員に聞いてみると、先週の大雨で途中が崩れたらしい。事前にわかって良かった。どうするか、宿に帰り対応を考える。
案1として、計画の下山口から石狩岳だけを周遊するルート。案2として、層雲峡から黒岳→北海岳→白雲岳避難小屋→忠別岳避難小屋泊。翌日五色岳に登り沼の原キャンプ地へ入る。の1泊追加。結果として案2を行くことにする。山中1泊増やすので、連泊の宿の2泊目をキャンセルする。本来なら、明日は、大雪山の御鉢平を周遊して宿に連泊し、翌日クチャンベツ沼ノ原登山口から五色岳を登り沼の原キャンプ地泊の予定だった。かなり強硬なスケジュールになるが、どうなることやら。山中1泊増えたので、近くのセイコーマートで買出しをして、準備完了となりました。
7/6(水)大雪山
宿5:30→層雲峡RW6:00=黒岳1984.4m 8:05→黒岳石室8:30→北海岳2149m 10:40→白雲分岐12:20→白雲岳避難小屋13:00→忠別沼16:40→忠別岳17:45→忠別岳避難小屋19:25
<天候:晴れガス>
朝6時の始発ロープウェイ670mに乗るべく宿を出て、車を一番上の駐車場に移動。始発に乗る人は多い。その後時間短縮のためにリフトに乗り、黒岳七合目1520mまで一気に進む。岩のゴロゴロした登山道を登ると、斜面一杯にチシマノキンバイソウとウコンウツギが咲いている。途中何度か水分を取りながら約1:30で黒岳山頂に着く。残念ながらガスで展望はない。山頂広場の足元にはメアカンキンバイが咲いている。
黒岳石室に向かうと、コマクサ、エゾノツガザクラ、キバナシャクナゲが登山道沿いにたくさん咲いている。黒岳石室の分岐を北海岳方面に向かうと、周りの人が途絶えた。お花畑を進んでいくと、前方にエゾユキウサギが前を歩いていた。
御鉢平から流れてくる赤石川を渡渉し、残雪を登る。この後はお花畑が続いた。エゾノツガザクラの中にエゾコザクラ、チングルマ、エゾノハクサンイチゲ、ミネズオウ、キバナシャクナゲ、チシマクモマグサなどが絨毯のように続いている。黒岳石室から2時間ほどで北海岳に到着。
ここから目の前に見える白雲岳に向かって緩やかに下り登る。この広い台地は、エゾオヤマノエンドウやキバナシオガマ、イワウメなどが地表を覆い草原を作っている。砂礫が模様のように構造土も見られる。残雪の際ではエゾノハクサンイチゲが群生している。どこをみても見飽きない風景が広がっている。
白雲分岐から白雲岳を見送り白雲岳避難小屋へ向かう。残雪からの流れにエゾノリュウキンカが見られるようになると、避難小屋が近い。ここで水を補給する。避難小屋を越えると、高根ヶ原と呼ばれる平坦な草原が忠別岳まで延々と続く。途中にはホソバウルップソウやキバナシオガマの群生が見られた。チシマキンレイカやコマクサもところどころ群生している。ハイマツがあるところには決まってイソツツジも咲いている。
忠別沼を過ぎると、エゾノハクサンイチゲやチングルマのお花畑が出て来て、ガスの中の忠別岳に着いた。ここもガスで展望無し。忠別岳避難小屋に向かうとすぐにエゾノハクサンイチゲのお花畑があった。
いくつものお花畑を過ぎて、やっと三角屋根の忠別岳避難小屋に着いた。
(7/2-6 新井浩 記)
7/7(木) 五色岳
忠別岳避難小屋6:50→五色岳8:10→五色が原8:45/10:00→大沼キャンプ指定地13:43
<天候:晴れ>
今日の行程は短い為ゆっくり出発する。小屋の周りにはハクサンコザクラが咲いている。避難小屋分岐まで戻り縦走路出る。緩やかな広い尾根で景色を見ながら五色岳へ向かう。途中クロユリを一株見つけるが、今回の山で見られたのはここだけでした。五色岳は直ぐで山頂からは忠別岳、トムラウシの展望が良い。ここから五色が原に少し下る。
五色が原は東西4キロに及ぶ花の大群生地と言われていて、以前よりここの景色をぜひ見たいと思っていた場所だ。木道が現れると五色が原になる。トムラウシの展望は良いがチシマノキンバイソウの群落はまだ蕾で期待外れ、でも他の花々、エゾコザクラ、キバナシャクナゲ、チングルマ、ホソバウルップソウ、エゾツガザクラを見ながら1時間以上ゆっくりする。
重い腰をあげキャンプ地沼の原向かう。五色が原は木道が長く続く。向かう先には雲に少し隠れた石狩岳見える。木道が終わり、雪渓が出てくると水の流れに沿って下り池が現れてくる。沼の原だ。大小の池塘の中に木道があり木道脇にはミヤマリンドウ、モウセンゴケ、ヒメシャクナゲが咲いている。木道を進み大沼湖畔がキャンプ指定地だ。
1張テントがあり石狩岳から来た地元の方で、今日会ったのはこの方だけ。林道が通行止めの為今日は少ないが、いつもは多いとの事。池の水(少し茶色)で食事し、明日に備えて早めの就寝。
7/8(金) 石狩岳
大沼キャンプ場3:00→石狩岳分岐3:25→ニペの耳10:00→石狩岳→12:55/13:25→音更山15:45/16:10→ブヨ沼キャンプ指定地17:40
<天候:晴れ曇り後晴れ>
朝食はテント内で軽く済ませて早出する。夜露で濡れるため雨具の下をはき、ヘッドランプを付ける。夜明け前の池塘はうっすらと光始め、石狩岳分岐に来ると大分明るくなる。根曲がり廊下を行く。ここは難所とされていて笹薮が心配されたが、笹は刈ってあり道幅も広く歩きやすい。
時折道まで垂れている笹をストックで露払いをしながら進む。笹が終わると急登樹林帯になりイソツツジやイワウメの咲く痩せ尾根を通過して、ガスで展望はない小ピークを越えて行く。このあたりの岩場のイワヒゲは見事だ。この後思いがけない広大なお花畑が現れた。エゾツガザクラ、エゾコザクラ、エゾノハクサンイチゲ、チシマノキンバイソウ(蕾が多い) 花の草原が終わるとガレ場になり少し登るとニペの耳、コマクサも咲いている。
小ピークをいくつか越えたり巻いたりして行くと次第にガスがとれ目の前に雄大な石狩岳が現れる。登山道わきの花と景色を楽しみながら石狩岳に着く。大雪からトムラウシの展望がとても良く、通って来たルートが良く分かる。
休憩後音更山へ向かう。この辺りのハイマツには刺さないがとても小さな虫が多くいてハイマツに触れるだけで全身におびただしい数の虫がまとわりつくのには困ったが素晴らしい展望で我慢する。お花畑(特にコマクサの群落)をいくつか越えると広いガレ場になりリシリゲンゲが現れ音更山に着く。ここも展望良く休憩して下る。
直ぐにチングルマとエゾツガザクラの可愛いお花畑が現れ、ハイマツの尾根を進むとガスがわいてくる。樹林に入りエゾツツジ咲く岩場を通過、笹道を下ると広場が現れ、ブヨ沼キャンプ指定地。ザックを下し、10分ほど下った所の流れのある水場で水汲みをする。外で食事の支度と思ったが噂の蚊の大群が現れ、テントで蚊取り線香を付けて食事、就寝。
7/9(土) ユニ石狩岳
<晴れ後小雨>
ブヨ沼キャンプ指定地6:00→十石峠6:55/7:00→ユニ石狩岳7:55/8:10→十石峠9:00/9:25→ユニ石狩岳登山口11:45⇒タクシー移動⇒層雲峡12:50/14:05⇒十勝川温泉16:20
テント場の直ぐ脇にあるブヨ沼を通り尾根に出ると、ザレた広場になっていて石狩岳、ニペソツ山の展望が良い。
下ると十石峠、さらに20分ほど樹林の中を下るとユニ石狩岳への上りが始まる。ハイマツの中を登って行くとエゾツツジの群落があちらこちらに咲いている。登り始めて30分位するとガスがわいてきて視界が無くなるがコマクサなども咲いていて花を楽しみながら上る。山頂は真っ白で写真を撮って下る。
十石峠まで戻り休憩していると網走と札幌からの方が上がってくる。朝良い天気だから上ってきたのにとがっかりした様子。お話をさせて頂き下る。小雨が降り出し雨具、林道にでると傘をさして下り登山口に到着。タクシーは早めに来てくれ待たないで乗れて層雲峡に戻ることが出来た。ラーメンを食べてレンタカーで帯広へ移動する。
7/10(日) 移動日
<小雨>
十勝川温泉9:25⇒池田ワイン城9:50/10:35⇒レンタカー返却⇒帯広空港12:20/14:25⇒羽田空港16:10
雨模様なので池田ワイン城を見学して帯広空港に向かい、帰途に着く。
五色が原、石狩岳は花の山です。ここを歩けたことは、私にとって忘れることが出来ない素晴らしい山旅になりました。
(7/7-10 駒崎 記)
【縦走】初夏の北海道 花旅 2021/7/3-11
山 域:北海道 夕張岳、西別岳、阿寒岳、羅臼岳、斜里岳、藻琴山
登山形態:無雪期テント、避難小屋泊縦走
日 程:2021年7月3日(土)~7/11日(日)
参 加 者:新井浩、駒崎
北海道の花旅は今年で3回目。いずれも天気が安定している7月初旬の花が一番多い時期を狙って。1回目は暑寒別岳、大雪山縦走、2回目は、日高山脈 幌尻岳~ヒパイロ岳縦走、アポイ岳、羊蹄山。そして今回は、夕張岳、石狩岳、阿寒岳、羅臼縦走と欲張りな計画をしました。
行動記録:
7/3(土)移動日
羽田11:00=千歳空港12:35 SKY711=夕張岳登山口15:20→夕張岳ヒュッテ泊16:35
レンタカー移動距離82km
<天候:雨/晴れ>
予定の飛行機に乗り一路北海道へ。羽田は雨であったが、千歳は晴れている。ガス缶を4缶買い、レンタカーを借りて2時間ほど離れている夕張岳ヒュッテを目指す。すぐに高速道路に乗り、夕張ICで降りて夕張の町中を通り、シューパロ湖に掛かる橋を渡り林道に入る。未舗装の林道だ。夕張岳からの帰りの車であろう、すれ違いに時間を要する。林道を40ほど走りゲートの前の広場に駐車する。遅い時間のため、下山したのであろう、停まっている車は数台であった。テントや余分なものは車において、夕張岳ヒュッテに向かう。15分ほどで着いた。受付をして説明を受ける。なんと風呂に入れるそうである。今日の宿泊は我々だけで、拍子抜け。外にテント泊が1組のみ。日帰り登山が主流のようである。外のテーブルで、管理者のユウパリコザクラの会の方たちと夕食。いろいろ話をする。夕食後、風呂に入る。なんと五右衛門風呂。外で薪を燃やしている。きれいに管理されている小屋で、皆さんの手作りだとか。
7/4(日)夕張岳
夕張岳ヒュッテ4:55→冷水コース→展望台7:00→夕張岳9:55/10:55→馬の背コース分岐13:15→夕張岳ヒュッテ14:10/14:45=道の駅かみしほろ泊21:30
レンタカー移動距離183km/累計265km
<天候:晴れ>
4時起床、小屋の中のテーブルで昨日購入したコンビニ食で朝食し、最小の装備で5時前に出発。冷水コースを登り始める。ガスで真っ白だが、明るい空だ。ダケカンバの森を進み、馬の背コースと合流し快調に高度を稼ぐ。シラネアオイの群生地では、最盛期は過ぎているがかなり広範囲に株が見られる。ウコンウツギが登山道に沿って満開だ。右手の前岳を巻きながら登山道は延びている。
山道は前半が急登で後半は緩く、湿原も見られる。木道が出て来て、花も一杯だ。ミゾホウズキ、シラネアオイ、エゾノリュウキンカ、ツバメオモトなど。雪渓が残っているところでは、ミズバショウ、ミツガシワ。シナノキンバイ、ミヤマキンバイ、チングルマなど。広範囲に広がるシロウマアサツキの群生も見られた。風衝地にはユウバリソウがすでに最終盤で最上部に白い花が残っている。ユキバヒゴダイとミヤマアズマギク、エゾタカネツメクサ、チシマキンレイカも混生している。ユウバリソウの名残が見られてよかった。山頂手前には社があり、鳥居もある。
ミヤマダイコンソウ、ミヤマオグルマが咲く山頂は狭く、多くの人が休んでいる。歩いて来たルートを見ると、前岳からは高原のような地形になっていることがわかる。花はこの地形に集中してあった。天気もいいのでゆっくり昼食をとる。下りは、雪渓のところで、ユウパリコザクラをもう一度確認する。良く眺めてみると、ピンクの花が咲いているのが何か所かわかってくる。カメラで望遠で取るがやはり小さい。小屋の管理人が双眼鏡を持って来た?と聞いたのはこのことかと思われる。ここ以外はサクサクと歩き、2時間ちょっとで夕張岳ヒュッテに戻ってきた。荷物をまとめ、お世話になった管理人の人にあいさつをしてヒュッテを後にする。林道を走り、国道を約3時間快適に走行し、暗くなった上士幌の街の中で豚丼の夕食。その後「道の駅かみしほろ」にて泊。天気予報を見ると、明日明後日と天気が崩れる。石狩岳は山中テント泊なので、予定を変更して明日は観光の一日とすることにする。
7/5(月)観光の日
道の駅かみしほろ6:10=オンネトー8:00=アイヌコタン=オンネトー国設野営場12:20=野中温泉=野営場泊
レンタカー移動距離134km/累計399km
今日は雨予報なので、阿寒湖の観光とすることにした。オンネトーを見学して、阿寒湖へ移動。アイヌコタンの中の木彫りの店を4件ほどみる。今日は平日なので観光客はほとんど見かけない。店の中も静か。いつもは店の中で木彫りの実演をしているのであろう、彫刻刀やら掘り掛けのものがある。ゆっくり見て回り、店の人に色々聞いてみる。店の特徴が出ているところもあるが、そうでなくお土産だけを扱っている店などいろいろ。その後オンネトーの国設野営場に移動してテント設営する。温泉に浸かりに雌阿寒温泉の野中温泉に行く。白濁硫黄の最高の温泉。田中陽希のサイン色紙、1カ月前に書かれた掛かれたものがあった。野営場に戻り、オンネトーを散策。緑色の湖面がきれいだ。明日は、あちこちからもらったパンフレットから、西別岳という山に登ることにする。摩周湖の東側にあり、標高799.5mで花の名山となっている。
7/6(火)西別岳
オンネトー国設野営場6:40=西別岳登山口9:00→西別岳11:40/12:30→登山口14:00=雌阿寒温泉泊16:45
レンタカー移動距離177km/累計576km
朝食後テント撤収して、摩周湖を目指して車を走らせる。北海道の国道はほとんどが60km/hとなっており信号もほとんどなく、快適に飛ばせる。峠道を走っていて鹿に何回か遭遇する。鹿注意の看板が多いのもうなずける。地図とにらめっこで車を走らせ、未舗装の林道を30分以上走り、西別岳登山口に着く。そこには立派な避難小屋「西別小屋」が立っており、シーズン中は混むのであろうか。小雨まじりの平日の朝なので、誰もいない。掲示板の地図によると、山頂まで1:30で、途中に第1~3までのお花畑とあるので、期待しよう。
最初は唐松の林をゆるゆる登っていくが、いきなりの急登が始まる。がまん坂と名付けられている。スキー場のような感じの笹原の急登。ガスで周りは全く見えない。急登が終わり、いい感じの白樺林になり、そこを抜けると草原の第1お花畑。ヨツバシオガマやフウロがポツポツとみられる。その先の第2お花畑も同じような感じだが、エゾツツジが見られるようになってきた。段々エゾツツジが増えて来ていい感じ。途中のリスケ山の山頂にはエゾツツジとマルバシモツケが一杯咲いている。先に進むと尾根が幅広く、草原状に続いており、エゾツツジ、ヨツバシオガマ、アヤメ、オダマキ、チシマフウロなどがたくさん咲いている。第3お花畑、ごくらく平と続き、やがて山頂に到着。ガスって真っ白で摩周湖は残念ながら見えない。
いつの間にが小雨は止んでいるが、風が強くなってきた。山頂直下で風の弱いところで昼休憩。休憩中に単独登山者と話をする。摩周岳から来たが、そんなに花はなかったとのこと。摩周湖第1展望台から摩周岳の間は、整備があまりされていなくて、摩周岳~西別岳は良く整備されているとのこと。地元の標茶山岳会が整備しているらしい。西別岳はきれいに整備されていました。晴れて展望が良ければ気持ちのいい稜線とお花畑でよい山だとお思います。来た道を戻り、雌阿寒温泉の野中温泉の白濁硫黄の温泉を堪能。露天風呂のすぐ近くまでエゾシカの群れが来ていました。
7/7(水)雌阿寒岳、阿寒富士
雌阿寒温泉6:00→雌阿寒岳8:50→阿寒富士10:25/11:00→オンネトー13:10→雌阿寒温泉泊14:20
<天候:曇り/ガス>
宿からすぐそばが雌阿寒岳の登山口だ。入山名簿に記入して出発。活火山なので注意書きがある。火山活動に異常があった場合はサイレンで知らせるそうだ。すぐに1合目の表示が出てきた。アカエゾマツの純林を進むと両脇にはコケモモの白、淡いピンクのかわいい花が咲き、イソツツジも満開に咲いている。3合目を過ぎる頃からハイマツが出て来て、メアカンキンバイの黄色の花が出てきた。4合目になるとハイマツだけになり、露岩地帯には、メアカンフスマも一杯咲いている。岩陰にはイワブクロも。
7合目辺りからはガスの中に入り、景色が見えなくなる。砂礫地にはメアカンキンバイとメアカンフスマの株は小さくなり、あちこちにたくさん咲いている。9合目で火口の縁に乗り、急に風が強くなった。ガスで濡れ寒いので、雨具の上着だけ着る。残念ながら火口は見えない。火口の縁を歩いてる実感がないまま雌阿寒岳の山頂に着く。写真だけ撮り阿寒富士に向かう。砂礫の登山道を下っていると、ピンクの花が見える。コマクサだ。ここで見られるとは思わなかった。広範囲にたくさん咲いている。雌阿寒岳と阿寒富士のコルでは風が収まり、阿寒富士の登りに入る。ジグザクの登山道をザクザクと登る。崩れやすい斜面だが、メアカンフスマやメアカンキンバイ、コマクサがへばりついている。
阿寒富士の山頂も視界はないが、ガスも薄れ風も収まってので、昼休憩とする。火口らしきものも見えるようになる。辺りには登って来た時と同じ花が点々と咲いている。火山の雄姿を見られなくて残念だが、花の時期に来られたので良しとしよう。コルまで戻り、オンネトー方面へ下山する。ザレた登山道をもくもくと歩き、やがてアカエゾマツ林となり、オンネトー野営場に着く。昨晩泊まったところだ。オンネトーを巻きながら雌阿寒温泉への道を進む。シャクナゲが満開だ。1時間ほどで雌阿寒温泉に到着。ゆっくり白濁硫黄の温泉に浸かる。
7/8(木)斜里岳
雌阿寒温泉4:50=斜里岳登山口7:25/7:40→下二股8:40→上二股10:20→斜里岳11:30/11:50→上二股12:30→熊見峠13:15→下二股14:00→登山口14:50=羅臼岳登山口 木下小屋泊17:30
レンタカー移動距離194km/累計770km
<曇り/ガス>
4時起床し、宿を後にして斜里岳登山口へ約2時間のドライブ。満開のジャガイモ畑の向こうに斜里岳が見えてくる。なかなかいい景色だ。斜里岳登山口には清岳荘がある。コンクリート製の立派な山小屋だ。登山者名簿に記入し、登山計画書を投函。最初は林道歩きだ。やがて沢沿いを渡渉を繰り返し、沢を行ったり来たり、沢を登ったりと、沢歩きのような登山道で、なかなか楽しい。下二股で旧道へ向かう。滝が次から次へと出てくるが、川床をそのまま登高する。水量が少なく、トラクションが良く効き不安はない。上二股で新道を合わせ、水量が少なくなった沢床が登山道になる。両側にはウコンウツギ、チシマヒョウタンボクが見事に咲き、岩肌にはミヤマダイコンソウ、シナノキンバイ(チシマノキンバイソウ)などが咲いている。稜線まで沢を詰めて歩き、稜線上のコルにで出た。稜線上には、ヨツバシオガマ、ミヤマオグルマ、ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)などが咲いている。斜里岳の山頂は誰もおらず、残念ながらガスの中で展望無し。
昼休憩し、下山する。チングルマやミヤマダイコンソウも多い。上二股で新道へ入り、熊見峠へ向かう。途中でオホーツク海と斜里の海岸線が見え感激する。熊見峠へ延びる尾根道が眼下に繋がっている。リンネソウが足元に咲いていた。下二股で旧道と合流し、楽しい沢床歩きをして、登山口へ到着。これから羅臼岳の登山口の木下小屋まで約2時間のドライブ。ジャガイモ畑の中を走り、斜里の街からはオホーツクの海岸線をウトロまで走る。山道を走っていると、前方に親子熊が見えた。これが今回唯一の熊との接近でした。木下小屋では管理人さんと同い年だということがわかり、翌日まで、いろいろ話が出来ました。この小屋には源泉かけ流しの露天風呂があり、大変雰囲気のいい小屋でした。
7/9(金)羅臼岳
木下小屋5:15→弥三吉水7:00→羅臼平10:10→羅臼岳11:30/12:10→羅臼平13:10→二ツ池キャンプ地泊17:15
<天候:晴れ>
4時前に起床、小屋の外のテーブルで朝食をとる。気温は17℃。5:15に元気で帰ってくるんだよと、管理人に見送りを受けて出発。もくもくと歩き、大沢入口に3時間半ほどで到着。例年であれば雪渓が残っているところだそうだが、今年は全くない。その代わりにエゾコザクラが見渡す限り咲いている。これほどすごいとは。イワヒゲ、エゾツツジ、チングルマなどと混生して咲いている。いつまでたっても足が進まない。チシマクモマグサもたくさん咲いている。いつまでも居たいがそうはいかないので、先に進み、すぐに羅臼平に着く。
三ツ峰がかっこよくそびえている。羅臼岳は雲の中。フードロッカーを見に行く。初めて見た。幕営地から離れたところにあり、ヒグマから食料を遠ざけることにより、接触が避けられるというもの。金属製の重いふたをレバーを引きながら開けて中を覗いてみたが、特に変わった作りではない。休憩後、羅臼岳に向かう。登り出すとガスが晴れて来て、羅臼岳の山頂が見えてきた。石清水のしたたりを口に含んで英気を養い、大きな雪渓の雪を簡易浄水器に詰めて、冷たい水を飲む。やがて岩場になりエゾノツガザクラのピンクの花があちこちに咲いている。
山頂が見えてきた。三人ほどが休んでいる。明日登る硫黄岳がガスで見えたり隠れたりしている。眺めを楽しみながら昼休憩。下山前に硫黄山をバックに記念写真。岩場を気をつけながら羅臼岳まで戻り、二ツ池方面へと進む。三ツ峰と隣のピークとの鞍部に登る道は、両側にウコンウツギの花が満開。ところどころにエゾノツガザクラのピンクとチングルマの白とのお花畑が広がる。後ろを振り向くと先ほど登ってきた羅臼岳がガスの合間に見え隠れする。雄大な景色だ。三ツ峰キャンプ地を過ぎサシルイ岳の脇を通り、いくつものチングルマとエゾコザクラのお花畑を抜けるとオッカバケ岳の登りに入る。途中の雪渓の雪で、冷たい水でのどを潤す(簡易浄水器使用)。ハイマツの中を登り、オッカバケ岳の鞍部に着く。ここを乗越すと二ツ池だ。硫黄岳が見えてきた。山頂部にガスが流れており、見え隠れしている。
少し下ると二ツ池が見えてきた。硫黄岳と二ツ池とチングルマのお花畑。いい景色だ。手前の雪渓の上で休みながらガスが流れる硫黄岳を堪能する。二ツ池湖畔には一張りのテントが見える。チングルマのお花畑が続く湖畔を歩き、本日のテント場の二ツ池キャンプ地に到着。先着者と話をしながら隣にテントを設営する。蚊が多く、蚊取り線香を車の中に置いてきたことが悔やまれる。夕食を食べた後は、食料をフードボックスに仕舞う。今日一日お花畑を堪能した一日であった。
7/10(土)硫黄岳
二ツ池キャンプ地5:40→知円別岳分岐7:50→硫黄山9:45→カムイワッカ湯の滝13:30=タクシー移動=木下小屋14:45=屈斜路湖温泉泊17:00
レンタカー移動距離112km/累計882km
<天候:晴れ>
4時前に起床し、辺りを散策。やがて南岳より朝陽が昇る。朝食後テント撤収し、予定よりも少し早く出発。二ツ池の西側を回り、ハイマツの中を南岳の尾根に乗る。目の前に硫黄山群が見えてきた。振り返ると、二ツ池とその後ろにはオッカバケ岳が雄大に広がる。オホーツク海やウトロの街も見える。やがて南岳を通過。東側には国後島の山々が雲海の上に頭を出している。尾根上の風衝地にはメアカンフスマが見られる。シレトコスミレはすでに咲き終わり。湿地帯にはエゾコザクラや咲き終わったチングルマの群生地が点在する。
知円別岳が遠くに見えてくると、春遅くまで雪があったのであろう雪田地帯には、チングルマとエゾコザクラのお花畑が延々と続いている。登りにかかるとウコンウツギが両側に咲き、やがてハイマツ帯となり知円別岳の尾根に乗ると目の前は荒々しい火山帯が広がり、火山砂礫地帯にはコマクサが咲いている。硫黄山に向かいいくつものピークを細尾根で超える。ザレていて足元が崩れ非常に歩きにくい。南側を見ると、雪渓が点在し、羅臼岳や斜里岳が遠くに見える。硫黄山手前のコルには、見たかったシレトコスミレが満開状態でまだ咲いていた。火山岩の間を登り、硫黄山の山頂。オホーツク海や羅臼岳、知床連山がきれいに見える。反対側は荒々しい火山しか見えない。
下りの砂礫地は滑るので慎重に歩を進める。硫黄沢沿いに下山をする。沢の中をもくもくと下山し、新噴火口でタクシー会社へ連絡する。ここからはオホーツク海に向かって下山。やがて硫黄山の登山口に出て、林道を歩き、カムイワッカ湯の滝でタクシーに乗り、木下小屋まで移動する。木下小屋では管理人といろいろ話をして、荷物をまとめ小屋を後にする。ぜひまた訪れたい小屋だ。レンタカーで2時間ほど、広大な北海道のジャガイモ畑の中を走り、今夜の宿泊地屈斜路湖温泉に着き、2日間の汗を温泉に浸かって洗い流した。
7/11(日)藻琴山
屈斜路湖温泉3:50=ハイランド小清水725P4:35→藻琴山5:40→小清水P6:30=屈斜路湖温泉7:15/10:10=美幌峠10:30=女満別空港11:40/13:40→羽田15:35 ADO078
レンタカー移動距離124km/累計1006km
<天候:曇り>
早くも今日は最終日。昼には女満別空港に着かなければならないため、手軽に登れる山を選択。屈斜路湖の北にある標高1000mの藻琴山で、屈斜路湖の眺めを期待して登ったが、雲海の下で残念ながら見えなかった。北側には知床連山と網走湾の海が見えた。屈斜路湖温泉に戻り、温泉で北海道の疲れを取り、女満別に向かう。途中美幌峠で屈斜路湖を眺め、最後の北海道の直線道路を走り、予定通り女満別空港に到着。レンタカーを返却する。走行距離は1006kmと良く走った。11:40に飛び立ち、羽田には予定通り15:35に降り立ちました。
この時期に3年連続で北海道の山を巡ってきました。雄大な景色、見渡す限りのお花畑、豊富な高山植物と本州にはないものが一杯の北海道。登りたい山は山ほどあるので、また訪れたい。
(新井浩 記)
【縦走】初夏の北海道 花旅 2020/7/4-12
初夏の北海道 花旅
山 域:日高山脈北部縦走(幌尻岳、戸蔦別山、ピパイロ岳、伏美岳)、アポイ岳、羊蹄山(北海道)
登山形態:無雪期テント泊、避難小屋泊縦走
目 的:北海道の花旅
日 程:2020年7月4日(土)→7/12日(日)
参 加 者:新井浩、駒崎
行動記録:
7/4(土)羽田8:20=千歳空港9:55=占冠(バス)=日高町(タクシー)=チロロ林道ゲート14:50/15:30→二岐川取水地テント泊16:40
<天候:曇り>
羽田空港の第一ターミナル出発カウンターで待ち合わせ。コロナの影響だろうか、人は少ない。機内も6-7割くらいだろうか、満席ではない。予定通り出発して、10分ほど早く新千歳空港に到着。預けた荷物も出てくるのが早い。新千歳空港内の売店でガス缶を購入し、占冠までのJR乗車券と特急券を購入。Suicaは使えませんでした。新千歳空港駅から南千歳駅まで移動し、南千歳駅からガラガラな『とかち3号』に乗り占冠駅へ。駅前はひっそりとしており、ポツンとハイエースが停まっている。これが日高町営バスだ。ここ占冠から貸切で日高町へ移動。約25分560円。翌日までの食料をコープにて買出しをしてから、タクシーでチロロ林道の終点ゲートまで。約50分11,220円。ゲート前には約20台の車が停まっている。ここにテントを張る予定だったが、少しでも先に進むことにし、1時間程林道歩きをして北電の取水設備の有るところにテントを張り、今宵の宿とした。17時を過ぎても下山者が何人か通る。
7/5(日)二岐川取水地5:15→トッタの泉8:45→ヌカビラ岳1087.9m10:55→北戸蔦別岳1912m12:15→戸蔦別岳1959m14:50→七ッ沼カール テント泊16:20
<天候:晴れ/曇り>
3時起床5:15出発。二ノ沢出合までは、大きなふきの葉が茂るなだらかな道。二岐沢から二ノ沢沿いに登山道が付いている。大きな沢ではなく、渡渉が10回程あったが難なく通過する。ミヤマハナシノブが咲いている。テガタチドリ、オオサクラソウ、シラネアオイ、サンカヨウなども多い。沢を行ったり来たり。
急登を進むと、トッタの泉。冷たく美味しい。喉をうるおしてから、急登を進む。背後に山々が見えるようになるが山名が分からない。どれかがチロロ岳だろう。ウコンウツギとナナカマドの花が増えて、枝越しに岩峰が迫ってくる。ヌカビラ岳が近くなってきた。チシマヒョウタンボクの赤い花も見られた。岩場に入ると、日陰にキバナノコマノツメ、日なたにミヤマオダマキ、ミヤマハンショウズルが多くみられる。岩の隙間にコザクラが咲いていた。終盤だが、ヒダカイワザクラであろう。いつの間にかハイマツ帯になり、視界に幌尻岳とその北カールが大きく見えた。コルには、キバナノコマノツメ、コケモモ、チシマフウロ、エゾノハクサンイチゲ、コエゾツガザクラなどが競い合って花が咲いている。緩いハイマツ帯を登ると、三角点があった。ヌカビラ岳に到着だ。
なだらかな尾根の先には北戸蔦別岳。その右には尖った戸蔦別岳。さらに大きな幌尻岳。6時間近く登って来たが、まだ半分だ。快適な尾根には、キバナシャクナゲ、ウラジロナナカマド、そしてハイマツ。ところどころに残雪が残っており、そのまわりにはお花畑が散在していた。山頂手前のお花畑には、イワウメ、ミヤマキンバイ、エゾノハクサンイチゲ、カラフトイソツツジなど。順調に進むと、北戸蔦別岳に到着。少しガスっているが展望はまずまず。明日以降のルートも見える。山頂付近にはテントが張れる場所が点在。戸蔦別岳に向かい急降下。左手にみえる戸蔦別カールは大きく、残雪も残っている。ハイマツの海を泳いで、コルには残雪とお花畑。岩場を何回か越える。チシマアマナ、ミヤマキスミレ、イワヒゲ、ミヤマアズマギク、ナンブイヌナズナ、イワウメ、ミネズオウが満開。ユキバヒゴダイが多いがまだ蕾。ムシトリスミレも足元に咲いていた。幌尻山荘への分岐を過ぎて、岩峰を幾つか超えるとやっと戸蔦別岳が目の前に立ち上がって来た。ハイマツの足元にはミヤマシオガマが時折咲いている。獣の匂いがするなと思っていたら、直ぐ脇をキタキツネがスタスタと通り過ぎて行った。戸蔦別岳の山頂は誰もいなくて静かだが、ガスッて廻りは見えなく残念。
少し休んだ後に出発。直ぐに左下に七ツ沼カールが見えてくる。ガスが動いていて見えたり見えなかったり。戸蔦別岳から1時間ほどで、七ツ沼カールへ下りであろう踏み跡があった。エゾノハクサンイチゲのお花畑の中を踏み跡が続いている。最初のうちは歩きやすかったが、やがてガレ場になり、残雪が融けたばかりのぬかるみを転ばないように降りる。ガスが晴れて七ツ沼カールの全体が見えるようになると、目を凝らして熊がいないか確認をする。時折熊笛を吹きながら慎重に下る。残雪の脇からは雪融け水がかなりの勢いで流れているので、水は大丈夫だ。廻りを確認しながらテントが張れる場所を探していると、砂地のいい場所があり、そこにテントを設営する。鹿と思われる足跡がいっぱいありました。
今日の登りの途中ですれ違った人が、『七ツ沼カールで熊を見たから、あそこにテント張るのはやめたほうがいい』との話を聞いているので、テント設営時や水汲み時にも熊笛を吹きながら、慎重に行動をしました。テント廻りには、ミネズオウ、アオノツガザクラ、キバナシャクナゲなどが咲いており、カール内にはナキウサギのチチッという鳴き声が響いていました。コーヒーを飲みながら、七ツ沼カールの残雪と幌尻岳を眺めながらにんまり、のんびりしました。
7/6(月)七ッ沼カール5:30→幌尻岳2052.4m8:10/8:40→戸蔦別岳1959m11:05→北戸蔦別岳1912m13:10→1856m峰テント泊16:00
<天候:晴れ>
3時起床、外に出て熊の気配を探るが大丈夫だ。天気は良く青空が広がっている。朝食を食べてからテント撤収。水を汲んでから出発としたが、肝心の雪解け水が流れていない。日中気温が上がらないと流れ出さないようだ。昨日夕方にはあれだけ流れていたのに。途中残雪から採るしかない。あきらめて出発。カールの底から稜線まで昨日降りたところを登る。約40分掛かった。カール内を横切って先の登り口から稜線へのルートもあるようだが、熊の住みかなので安全を取る。登りきった稜線のエゾノハクサンイチゲのお花畑の登山道脇にザックをデポ。サブザックで幌尻岳に向かう。荷が軽いので順調と思いきやハイマツの激藪。左手には七ツ沼カール、右手には北カールと絶好の稜線なのだが。アップダウンの稜線から肩への登りは花々がいっぱい咲いており、眼下には七ツ沼カールが素晴しい。
1時間少しで肩を通過し、前方に幌尻岳が見えてきた。稜線歩きだ。エゾノツガザクラ、チングルマのお花畑があちこちに。左手は東カール、右手には北カールの雄大な景色をみながら稜線歩き。待望の幌尻岳山頂だ。誰もいない静かな山頂だ。幌尻山荘からのルートを見に少し移動。北カールを巻くように尾根を登ってくるルートが確認できた。山頂に戻り一休みして戻る。帰りには、これから行く稜線が一望。眼下には七ツ沼カールの残雪模様が美しい。先には戸蔦別岳、ピパイロ岳が連なっており雄大だ。
ハイマツの激藪(後で知るがこの場所はまだいいほうだった)を力技で通過し、ザックをデポした地点に戻る。重いザックを背負い戸蔦別岳、北戸蔦別岳を通過。北戸蔦別岳は平らな山になっており、行く先はそんなにアップダウンが無いように見える。が、大変な試練が待っていた。ハイマツだ。北戸蔦別を降り始めたあたりからハイマツのとてつもない激藪が待っていた。体重をかけて前のめりに進むがはじき返されてしまう。ハイマツの枝を一本一本よけながらでないと進めない。さらに難所が続く。ピークの巻道がとんでもない道で、東側に巻くが、土の斜面でズルズル、藪もひどく足元も見えない、急降下もあり、少し進むだけでへとへと。やっと開けたところに出たと思ったらハイマツで前に進まない。近くに見えた残雪で、水を作ろうと言ってから何時間も経ってしまっている。やっとの思いで残雪地点に着き、コッヘルで雪を溶かし水を作る。簡易浄水器を持ってきたので、融けた水と雪を入れて、冷たい水を飲むことが出来た。これはいい!すでに15時をだいぶまわっている。重くなったザックを背負って先を急ぐ。
直ぐに1856m峰に到着。時刻は16時。この山頂は広く幕営適地。北戸蔦別岳からここまでのコースタイムは40分、実績は2時間50分。実に4倍も掛かっている。今日の幕営計画地はこの先の1967m峰の先のコル。コースタイムで2時間かかる。良く見積もっても倍くらい掛かるとなるとたどり着けない可能性があるので、本日の幕営は、ここ1856m峰とすることに決める。直ぐにテントを設営しのんびりする。明日の行動がかなりきつくなったが、明日頑張ろう。気がつけばガスに包まれてまわりは真っ白。明日の歩き始め地点を偵察するが、ハイマツの海しか見えなかった。
7/7(火)1856m峰4:20→1967m峰6:30/7:05→ピパイロ岳1916.5m10:10/10:40→伏美岳1792m14:50/15:10→伏美岳避難小屋泊18:20
<天候:曇り>
3時起床、外に出ると東の空が真っ赤になっている。なるべく早く出発するように心がけて、4:20出発。最初からハイマツの海を泳ぐ。ハイマツ→お花畑→岩場を繰り返し、1967m峰手前は、かなり険しい岩場の連続。お花畑はとてもきれいで、キバナシャクナゲやミネズオウ、ミヤマダイコンソウなどが咲いていた。1967m峰にはコースタイム1:40のところ2:10で着いた。昨日に比べればまだ早いほうだ。
休憩後出発するが、ちょっと進んでおかしいことに気づく。ハイマツの海なのだが、足元が柔らかい。道が間違っているようで、GPSで確認したら案の定違う方向へ進んでいた。戻るしかないのだが、ハイマツをかき分けて登り返すのがキツイ。山頂へ戻り道を探すと、少し戻ったところに分岐を見つけた。ロス時間約20分。山頂から一本道でそのまま進むものだと思ったのが間違いで、踏み跡もしっかりしていたので、皆さん間違えるようだ。気を取り直して先に進む。エゾノハクサンイチゲとチングルマのお花畑が途中何か所も綺麗なところあり。コルの幕営地に着く。出発から3時間経っている。昨夜の幕営予定地だったが、ここまで来られたろうか。この後は細い稜線の岩場が多くなる。当然ハイマツの激藪があり、ミヤマシオガマ、チングルマ、エゾノツガザクラの花を見ながら進む。途中幕営できそうなところが数か所あり。オヤマノエンドウのような花が出て来た。ヒダカオヤマノエンドウだ。ミヤマシオガマ、チシマキンレイカなどと草原を埋めている。だんだん岩場が多くなり、イワベンケイ、ミヤマダイコンソウなども交じってきて綺麗なお花畑が続く。やがて、ピパイロ岳に到着。夢にまで見たピパイロ岳だ。半年前から計画を練り始めてやっと実現。ガスで視界はないが感無量だ。
まだ先が長いので小休止後出発。相変わらずハイマツの海は続くが、コルにはシラネアオイが咲いていたり、低く雲は垂れこめているが展望を楽しんだりして黙々と歩く。コースタイムをかなりオーバーする今回の山行だが、下り基調のところでも同じ。ピパイロ岳から伏美岳のコースタイムは3:20だが、実績は4:10掛かった。途中熊フンを何回か見た。伏美岳でも展望は有られず、小休止で出発。黙々と伏美岳避難小屋を目指し歩く。ここもコースタイム2:00であるが、実績は3:10掛かってしまった。最後になって小雨がパラついてきた。やっとのことで赤い屋根が見えて来た。
かなり大きな避難小屋でもちろん誰もいない。濡れた装備をつるして、ストーブがあったので、火を付けて乾かす。水場は目の前に引いてあり、トイレは携帯用を使用すようになっていた。部屋の中を目いっぱい使って快適~。
7/8(水)伏美岳避難小屋7:35→トムラウシ林道ゲート9:50(タクシ-)=帯広駅10:40/13:30(レンタカー)=アポイ山麓自然公園テント泊15:55 移動距離134km
<天候:小雨/曇り>
6時起床。今日はゆっくりだ。朝食を食べて荷物を整理し出発。小屋の前から林道歩きだ。小雨が降っているので傘を差して歩く。林道歩きは快適だが、直ぐに去年の台風で大水が出たらしく、林道が崩壊している。歩く分には問題はない。林道の崩壊箇所はかなりあり、復旧できるのだろうかと思う感じ。ところに寄っていは大きなふきが生い茂り、これが林道かともうところが数か所。小雨は降ったりやんだりで、2時間ちょっと歩くとゲートが見えて来た。ちょうど頼んであったタクシーが到着。
タクシーに乗り込み、運転手さんと楽しく会話しながら進む。帯広の街中にキタキツネが出るらしい。1時間弱で帯広駅に到着。駅の中のレンタカー屋に行き、荷物を預かってもらい、教えてもらった帯広の名物豚丼の発祥の店に食べに行く。久しぶりの豪華な食事に満足して、駅の中を散策し、レンタカーを借りて、一路アポイ岳の山麓の町、様似にへ向かう。広大なジャガイモ畑、サラブレッドの馬の牧場を通り、様似の海岸に出た。平日なので観光客はおらず、海岸を少し散歩。ここからは直ぐアポイ山麓自然公園だ。テントを張りのんびりとする。
7/9(木)アポイ山麓自然公園6:00=ピンネシリ登山口470m6:40/6:55→ピンネシリ958.2m9:50/10:05→吉田岳825.1m12:20/12:55→アポイ岳810.2m14:00/14:15→アポイ山麓自然公園テント泊17:00
<天候:晴れ>
頼んであったタクシーに乗り、ピンネシリ登山口まで移動。細い林道を約40分で到着。これからアポイ岳まで縦走だ。気持ちのいいよく整備されている登山道だ。少し登るとハクサンシャクナゲがちらほら出てくる。黄色い花のキンロバイもたくさん出て来た。タンポポに似ているエゾコウゾリナもポツポツ咲いている。チシマフウロ、アポイアズマギク、エゾレイジンソウ、アポイシモツケ(マルバシモツケ)なども見られた。標高が500mくらいからハイマツ帯が見られた。特殊な土壌条件や気象条件からこうなっているらしい。
やがてピンネシリの山頂。青空が出ていたのにいつの間にかガスの中に入ってしまった。キンロバイとハクサンシャクナゲとハイマツの中を南下すると、ダケカンバと笹の林になる。ところどころ、鹿の寝床であろうか、笹がへこんでいるところがある。少し標高が上がるとハイマツの中にハクサンシャクナゲの咲く稜線となる。やがて風衝地となり、岩肌が出て来た。エゾルリムラサキがいっぱい咲いている。サマニユキワリは残念ながら花を落としていたが、株はたくさんあるので、咲いていたら見事であろう。
登山道脇には保護のために両側にロープが張られている。ダケカンバと笹の林となり、高度を上げるとキンロバイとハイマツの岩稜地帯となり吉田岳に着く。足元には、小さな花が集まったエゾノカワラマツバがいっぱい咲いている。ガスが流れて様似の海岸線が見える。アポイ岳に向かう稜線は岩稜地帯が続き、お花畑が続く。エゾコウゾリナ、エゾルリムラサキ、ヒメエゾネギ(シロウマアサツキ)、アポイツメクサ(カトウハコベ)、イブキジャコウソウなど百花繚乱。やがてダケカンバ林となり、ハクサンシャクナゲが林床を色どり、アポイ岳に到着。
この辺にある岩石はカンラン岩(マントルの岩)のはずだが、見ても分からない。また、ここアポイ岳山頂付近は、ダケカンバ林が上にあり、その下にハイマツ帯の植生になっており、通常とは逆転している珍しい垂直分布になっている。ここから海に向かい、ヒダカソウの咲くところへ向かう。時期的にはもう咲いていないが、盗掘や自然減で今は見られないとのこと。ガスも晴れて太平洋の海を見ながら下山をする。途中アポイハハコ、サマニオトギリを愛でながらアポイ山麓自然公園へ戻り、閉館時間ぎりぎりにアポイ岳ジオパークビジターセンターに寄り、花の写真などを見学しました。
7/10(金)アポイ山麓自然公園8:15=羊蹄山真狩登山口テント泊16:50 移動距離287km
今日はここ様似から羊蹄山の登山口真狩までの移動だけなので、朝はゆっくりのつもりだったが、いい天気なので、海岸まで散歩のつもりで車で出かける。朝5時、海岸線を走っていると、小さな船で何やら採っている様子。車を停めて見ていると、昆布を手かき棒のようなもので引き上げている。近くにいた漁師風な人に聞くと、今日が初日で、日高昆布を採っているとのこと。近くの港で陸揚げしているとのことなので、港に向かう。軽トラックの荷台にアームが付いており、小舟からウインチで昆布を吊るし上げている。小さな港に小舟と軽トラックが頻繁に出入りしていて活気がある。昆布を満載した軽トラックが何台も出て行く。軽トラックの行き先は、海岸沿いの砂利の敷いてある所で、そこで何人もの人が昆布を砂利の上に並べていた。天日干しだろう。こうやって日高昆布が出来るんだと感心。帰り道沿いのあちこちで昆布の天日干しの光景が見られた。いいものが見られ、早起きは三文の徳だと思いました。
朝食後、真狩に向かって出発。途中日高昆布を買い、名産のトマトをかじり、ピーマンソフトクリームを食べ地元に貢献。洞爺湖観光をして、温泉に入る。なんとここで、マダニに食いつかれているのを発見。おおっ!あわてず対処したが、胴体だけ採れて、口先は残ってしまったようだ。後日病院に行き、処置と薬を処方してもらいました。なんとも気色悪いが仕方ない。気分を切り替えて出発。途中花が咲いているじゃがいも畑越しに羊蹄山が大きく見え、北海道にいるのだと再確認。一日ドライブでしたが、北海道を満喫。真狩キャンプ場は、羊蹄山の登山口になっており多くのキャンパーに賑わっていました。
7/11(土)羊蹄山真狩登山口4:40→山頂10:05/10:30→火口周回→登山口14:00/14:50=小樽へ移動85km道の駅あかいがわテント泊17:00
朝3時起床、テントを撤収して、4時半出発。直ぐに真狩コースの羊蹄山登山口。最初はシラビソ林。直ぐダケカンバ林となり、眼下には真狩村の街並みが見える。2合目、3合目と登る目安になる看板がある。7合目過ぎからは火山礫の登山道になり、8合目あたりから森林限界となり、眼下には、洞爺湖が見えるようになる。
足元にはイワブクロの花がたくさん満開で咲いている。ウコンウツギとイワブクロは山頂までずっと足元に咲いていました。山頂手前はお花畑になっており、モミジカラマツ、ハクサンチドリ、エゾフウロ、メアカンキンバイなどが咲き乱れています。キバナシャクナゲ、エゾノツガザクラも群生している。
やがて火口稜線に到着。大きな火口の中に残雪も見える。ここから反時計回りで一周する。イワブクロとメアカンキンバイがたくさん咲いている。洞爺湖もよく見え、たくさんの登山客でにぎわっている。
山頂標識で写真をとり、昼休憩。ぐるっと一周終わるころに、キクバクワガタが群生していた。登って来たルートで下山し、小樽へ向かい出発。途中倶知安でサクランボを買いつまむ。17時に今宵の宿道の駅あかいがわに着く。夜になり、小樽の観光に出かけて、ライトアップされた小樽運河を楽しんだ。
7/12(日)小樽観光→千歳へ移動112km 新千歳空港16:15→羽田17:50
もう今日は北海道最後の日、小樽の先にある祝津に行き、鰊御殿を外から見る。小樽市街に車を置き、お土産屋などを見て回る。硝子やオルゴールなど。コロナの影響か、街中も観光客は少なく感じる。
小樽駅前の三角市場の中で、海鮮丼を食べてから、千歳までひと走り。新千歳空港内でお土産を買い、定刻通りに飛び立ち、まだ明るい羽田空港に降り立ちました。
(新井浩 記)