関東

【その他】県境リレー登山

雲取山県境リレー登山 

=新緑の雲取山から仙元峠までの県境を歩く=

日の出の時間に雲取山に着く

山域山名等:雲取山、酉谷山、長沢山等長沢背稜(都県境尾根)

期日:2022年5月28日、29日 

参加者:橋本 木村 雲取山-仙元峠グループ( L橋本 SL上野  鹿喰 真 木村)

雲取山-鴨沢グループ(SL岩岡 瀬下)

行動記録

5月28日 県境尾根コースと鴨沢コース共通

西部秩父駅集合8:15/三峰神社行バス発8:30=三峰神社着9:50/10:05-霧藻ケ峰休憩所11:55/12:20-白岩山14:40-雲取山荘16:10-雲取山荘泊

5月29日

雲取山-仙元峠コース

雲取山荘4:00-雲取山4:30/40-雲取山荘5:00/5:30-芋ノ木ドッケ1946m6:25-長沢山7:50-水松山8:30-酉谷山・酉谷峠10:00/10:15-七跳山分岐11:10-大栗山・三ツドッケ経由一杯水避難小屋12:45-仙元峠13:45-仙元尾根を通り、浦山大日堂15:40

鴨沢コース

雲取山荘4:00-雲取山4:30/5:00-奥多摩小屋5:40-堂所7:00-鴨沢9:00

<天気晴れ>8時過ぎに、参加者7名が西武秩父駅に集合し、急行三峰神社行バスに乗り移動する。登山者や観光客が多く50名ほどになり、バス2台が運行された。前日の雨があがり、晴天、2日間の晴れ予報に気分が高まる。バスの車窓から、秩父の谷、山が新緑で輝いている様子が見える。大滝の谷に入りと尾根・谷が険しくなる。二瀬ダム堰堤上を過ぎ、三峰神社へバスは高度を上げる。西側の和名倉山が大きな姿を現す。標高1060mのバス停に到着、身支度、顔合わせをして出発する。今回の山行は埼玉労山理事会の担当で理事6名、元理事1名計7名のグループである。バスから降りた登山者も雲取山を目指し歩き始める。歩き始めは杉・檜の人口林の中で傾斜は緩い。人工林を抜け落葉樹林に入ると新緑が眩しい。1時間ほどで炭焼平に着き一休みする。案内板があり、近くに石積みの炭焼き窯がある。30分ほどで霧藻ケ峰の地蔵峠に着く。ここからは南側の太陽寺に下りる道が分岐する。少し進むと岩に秩父宮のレリーフが設置されている。その先に霧藻ケ峰の休憩所があり、長めの休憩をとる。休憩所では飲み物等を販売している。幾分岩場も出てきて紫のミツバツツジが咲いている。また、姿は見えないが、大きな声で「テッペンカケタカ・・」とホトトギスが鳴き、「ジュリジュリ」と小鳥がさえずり、「ポポーポポー」とツツドリが鳴く。

エネルギーを補給し歩き出す。植生は原生林となり、太いアセビ、ミズナラなどが増える。倒木、落ち葉も増えてくる。平坦なお清平を過ぎ、白岩山の急登にかかる。標高は1500mを越え、常緑針葉樹となり、登山道は岩が多くなる。岩の上には苔が生え、ヒノキの幼木が生えていて盆栽のようだ。その辺りで鹿に会う。尾根なので明るく、ツガの幼木の新芽が本当に鮮やかだ。また、黒い大岩があり、高山の雰囲気になってきた。秩父の山々は標高2500m以下であり、森林限界以下なので、ほとんどの山頂も木々に被われている。そのため、南北アルプスのようなお花畑はなく地味な山々だ。標高を上げ、木々の間から和名倉山が見える。奥秩父らしい、常緑針葉樹の森を歩き、14:40白岩山標高1921mに着く。やや下って芋ノ木ドッケを通過する。案内板があり「芋ノ木」とはコシアブラを指しドッケとは突起がなまったものとある。急傾斜を横切る登山道となり、西向きで、下草の生えている場所に、スミレ、黄色のスミレ、ミヤマカタバミなどが生えて地味ながらも色を添えている。空を見上げると青空にやっと萌芽したシラカバが光る。地面にはオオスギゴケやマンネングサの仲間の苔類が生える。大ダワから男坂を登る。テントが幾つも張られている尾根になり、少し歩いて、雲取山荘に到着した。7人全員へたばることもなく歩ききれた。天気がよく、登山シーズンに入り、テントの登山者、小屋泊りの登山者とかなりな人数が入っていた。

上:急な尾根を登る 下:西には両神山などの山々

5月29日

<天気晴れ>天気の変化が多い5月で2日間とも晴天に恵まれた。昨夜は山小屋の窓から東に夜景が見えた。日原の谷の向こうなので青梅市街であろう。3時半位から明るみ、その中で出発の準備をして、ザックは外に置き、ヘッドランプを付け出発する。針葉樹林の道を登る。他の登山者も山頂に向かう。20分歩いて、ヘッドランプを取り登る。頂上手前で東に赤い太陽が昇った。山頂に着き日の出、周囲の景色を眺める。西に稜線が伸び、その北に和名倉山がどっしりとしている。南西に残雪を抱く富士山が見える。立派な山頂石碑の前で県境リレー登山の旗を掲げ記念撮影する。

一旦、雲取山荘に戻り、弁当の朝食を食べる。

 いよいよ出発だ。約11時間の長丁場の稜線歩きとなる。男坂を下り、大ダワを通り、芋の木ドッケへの分岐の道標を確認し右の道を登る。急登であるが左右が切れ落ちていないので安心して登る。息が荒くなり、汗もでる。出発して1時間ほどで針葉樹林の中の標高1946mの芋の木ドッケに着き休む。直ぐの分岐で東方向の長沢山・酉谷山方面に進む。以前このルートを登ったKさんが「今回の一番の急登はここだった」と言い、少しほっとする。緩い下り道で、ダケカンバや小さい落葉松の明るい森になり、コバイケイソウが群生している。ダケカンバは若芽がやっと少しでたくらいで空が明るい。少し登りがあり、長沢山に着く。ここにも雲取山と同じ山頂の石碑が設置されている。この都県境の稜線は長沢背稜というがこの山に因んでいるのだろう。長沢山の付近にはシャクナゲが群生して、蕾、開花と色鮮やかだ。水松山(あららぎ)の南側を東に進む。ちょっとした鞍部になり、北側が望める。下は大血川の谷だ。ここは整地され臨時のヘリポートHのマークがある。道は、稜線の南斜面を等高線に沿うようについており、歩くのには楽で、ずんずんと進める。そして、酉谷山(とりだにやま)の登りとなる。この付近も明るい広葉樹林で落葉が積もっているが、歩きやすい。酉谷山は秩父盆地の南なので平野部が近づき、盆地の東側や宝登山を望むこともできる。稜線の道には珍しくやや北斜面の道の付近には、びっしりとシダが群生しており、落ち着いた様子だ。また、西方に望む両神山は、稜線が目立たない岩ごつごつの山という感じで、当然だが、見る場所で山の形も随分違う。少し下り、酉谷避難小屋の後ろに出る。3人が見に行く。都県境尾根をさらに南東に進む。植生は同じようだ。坊主山、七跳山、大栗山を左に稜線南斜面を進む。今回の稜線の最後の大きいピークとなる三ツドッケに登る。それまでもちらほら登山者とすれ違っていたが、三ツドッケでは大きなグループに出会う。景色を見る暇もなく、南の尾根を下る。直ぐに一杯水避難小屋に着く。白っぽいこじんまりした平屋の建物で、詰めれば30人位は泊まれそうだ。この小屋の水場は東5分位の谷にあるので、そこで美味しい水をいただく。ここから1時間ほど仙元峠までまた稜線を進む。風も無く、広葉樹林の広い尾根は新緑に満たされている。植生や地形も同じようだ。

 この長沢背稜は埼玉県と東京都の都県境であるが、道標の設置者名は東京都となっている。道標は分岐、また途中に「長沢背稜」と行先が表示されており、踏み跡もあり、安心して歩くことができる。岩場には、しっかりした階段、橋が設置されており、登山道としてはよく整備がされている。太い倒木もチェーンソーで切り、片付けられている。歩いてくるだけでも距離があるのに、整備の道具を持参するとなると大変なのではないかと感じる。

上:ミツバツツジが鮮やか 下:秩父盆地平野部を望む

 午後2時前に石の祠のある仙元峠着。最後の休みを入れる。付近にシロヤシオが咲いている。道標に沿い仙元尾根を下る。標高1000m位から下は杉、檜の人工林で暗い。でもその下部では雑木林があり、また高圧電線の鉄塔が4か所あり、明るい。ぐんぐん標高を下げ、最後の急斜面の杉林を下ると下に浦山の大日堂の建物の屋根が見え、着いたことが分かった。階段を下り、5人全員が、長い稜線を歩き切った達成感・充実感をグータッチで分かちあった。午後4時の駅行のバスに間にあい、これに乗り西武秩父駅まで戻り、各自帰路についた。 (橋本記)