甲信越

【ピークハント】北アルプス 鷲羽岳 水晶岳 三俣蓮華岳(個人山行)

鷲羽岳・水晶岳 

=北アルプス最奥の名峰に登る=(個人山行)

山域山名:北アルプス 鷲羽岳、水晶岳、三俣蓮華岳

期日:2021年9月27日から29日 前夜泊

参加者:橋本義彦

行動記録:26日 熊谷=関越道上信越道長野道=松本IC=新穂高P 前夜泊

27日 新穂高P6:10-鏡平10:10-双六小屋13:00-三俣山荘15:30-同所テント泊 

28日 三俣山荘5:45-鷲羽岳6:45-水晶小屋8:00-水晶岳8:35/9:00-水晶小屋9:25-鷲羽岳10:30-三俣山荘11:30/12:20-三俣蓮華岳13:30-双六小屋15:15 同所テント泊

29日 双六小屋6:20-樅沢岳6:50-双六小屋7:25/8:00-鏡平9:20-新穂高P12:50=松本IC=長野道上信越道関越道­=熊谷

  

          鏡平からの槍ヶ岳                           鷲羽岳                      

夜、新穂高登山者駐車場に着くと、ほとんど満杯であった。隅に空きを見つけて停め、そこで車中泊をする。27日、起きると快晴だ。朝食、身支度をして、出発する。登山指導センターに登山計画書を出してワサビ平小屋方面左俣谷の林道を歩き始める。谷の西側に笠ヶ岳が高く聳え、朝日を浴びる。小池新道入口までは、なだらかな林道歩きで周囲はブナ林だ。途中、笠ヶ岳登山口やワサビ平小屋があり、登山者が準備をしている。キオンの仲間やシロヨメナなど秋の花が咲いている。橋の手前を小池新道に入り本格的な登りとなる。沢は水量があり、朝日に照らされている。深い森でなく、数mの高さの広葉樹は紅葉が始まっている。ナナカマドは実をたくさんつけている。赤い色が鮮やかだ。小池新道は、斜度もきつくなく、道も整備されていて歩きやすいが、距離は長い。抜戸岳の麓の道で秩父沢などの沢を横切る。途中には数か所休憩場所がある。息を切らして鏡平に着き池の手前のベンチで休む。ここは名「槍ヶ岳展望地」で、ガス、風も無く、池に槍ヶ岳が写る景色は本当に美しい。紅葉が味わいを深くしている。

 ここを過ぎると、小尾根をたどり、弓折岳鞍部まで登る。標高は2000mを超え木々は低くなり、道からも眺望が効く。ミネカエデ、ナナカマドが紅葉している。小尾根を抜けると道は険しくなり、梯子もでてくる。弓折岳鞍部に着くと何人もの登山者が休んでいる。予定どおりなので弓折岳まで登ることにする。登山道を3人の方が整備している。石をバールで動かしたり、栗石を敷いたり、草や灌木を刈ったりと大変な仕事だ。感謝のあいさつをすると「弓折岳まで登ってもらいたいからね」と言っていた。頂上は平坦で平凡だが、紅葉のチングルマ、ガンコウランも見られた。笠ヶ岳に続く稜線もすっきりとしている。再び双六小屋に向かう。ほとんどアップダウンは無く、歩きやすい。ナナカマドの紅葉、赤い実が鮮やかで目を引く。ハイマツなどが目立つ左の谷に双六小屋が現れ、下ると直ぐに小屋に着いた。小屋の南の平坦な場所に茶色の植物が群生しているが、コバイケイソウの残骸だ。ハイマツと紅葉、それにゴツゴツ岩が混在している山が左右に広がる。双六小屋は水が自由に使え有難い。鞍部で平坦、広々して、景色も良い。北に鷲羽岳、水晶岳を望むことができた。一休みして双六岳巻道分岐まで登り、巻道コースで三俣山荘に向かう。数年前、野口五郎岳から鷲羽岳を抜け、この分岐に来たことを思い出した。巻道は程々に下ったり、登ったりして三俣山荘に続く。前に見える鷲羽岳、水晶岳は森林限界を超した2900m峰であり、ハイマツの生えない斜面は白い。三俣蓮華岳分岐を過ぎ、下って行き三俣山荘に着いた。

 

三俣山荘から槍ヶ岳を望む     鷲羽岳から三俣蓮華岳双六岳

 テント泊の手続きを山荘で行う。テント1泊1張1000円、一人1000円。直ぐにテントを張った。テント場は山荘の近くにあり、10張以上張られていた。テント場の中に湧き水が流れており、ここでは水が十分使えた。ゆっくりして、夕食後シュラフに入った。気温は10度以下になり、ダウンのシュラフであったがマットを忘れたため、背中が冷えやや寒かった。

 28日 テントに荷物を置き、鷲羽岳、水晶岳を往復し、早ければ双六小屋まで戻ることにする。天気は曇りだが、鷲羽岳の南の雲が朝日に染められ赤い。槍ヶ岳が南に黒い。周囲の山々はよく見える。日の出の後、すぐに出発する。鷲羽岳まで標高差400mをまず登る。軽いデイパックなので、ぐいぐい登れる。道の辺りの石は白い。石英閃緑岩(火成岩)だという。登るにつれ、黒部五郎岳や三俣蓮華岳を朝日が染める。黒部源流が深い谷を刻んでいる。氷河の跡のカールらしき地形はそこかしこにある。

そして鷲羽岳頂上に至ると南側に鷲羽池が光る。火口湖のように見える。二度目の登頂で周囲の眺望を楽しむことができた。ここから稜線を北に進む。森林限界を超え、白っぽい尾根が見え、ハイマツが生えている。ワリモ岳は西側を巻く。そこを少し下り、「水晶小屋15分」の標識を見て進み小山を越すとこじんまりした水晶小屋に着いた。小屋の付近には、水晶岳に登る人、そこから下ってくる人、休んでいる人など10名ほどいる。なだらかな道を進むと真っ赤な紅葉(シラタマノキ)が目につく。梯子や大岩を進むと岩ごつごつの水晶岳山頂に着いた。北アルプスの南部最奥にあり、周囲に名だたる山がずらりと並んでいる。壮観だ。北に赤牛岳と黒部湖も見える。西に薬師岳から黒部五郎岳の稜線と手前の雲ノ平、南には槍ヶ岳、笠ヶ岳、その向こうに御嶽山が水蒸気を立ち上げている。景色を十分楽しみながら一休みして山を下る。途中の稜線からは30cmほどの岩の斜面が広がる。高い木は無く、黄色、茶色の草と緑のハイマツ、白い斜面で山が被われている。鷲羽岳の下りでは、三俣蓮華岳・双六岳とその東のややなだらかな地形が見える。

  

                   水晶岳                                                    赤牛岳稜線

昼には三俣山荘に戻れたので昼食、テント片付けをして双六小屋に向かう。三俣蓮華岳分岐まで登り返し、分岐から標高差約100mを登り頂上に着く。3回目の登頂になるが秋は初めてで、景色も一番良い。なだらかな稜線を南に向かう。標高2800m森林限界の上であるが、ハイマツが道の左右に生えている。歩いているうちにガスが双六岳の辺りに出てきたので、分岐で中道を選んで進むことにした。緩い下り斜面はもう、薄茶の草原になっている。晩秋といった雰囲気だ。西側は崖で大岩が崩れてきて斜面をつくり荒々しい。道端にライチョウを見つけた。逃げないので写真を撮る。薄茶で白い部分が少しあり、冬に向け換羽途中らしい。足の下まで羽毛が生え、厳寒の山で生き抜く鳥だと分かる。中道の景色を楽しみながら中道分岐、巻道分岐を通り、無事に双六小屋に到着した。

  

                 三俣蓮華岳再訪                                    樅沢岳から西鎌尾根ー槍ヶ岳

水を汲み、手続きして小屋南にテントを張る。南に双六池のある広いテント場だ。30張ほど張られていた。前日寒かったので下に衣類を敷き、ジャケットを着こむと温かく朝まで安眠できた。

29日 時間的には余裕があるので樅沢岳に登ることにした。往復1時間ほどなので、空身で登る。頂上からは周囲の山々がすっきり見える。東には、西鎌尾根が続き、槍ヶ岳が天をついている。北には鷲羽岳が白い。登山者もグループで登ってきており、槍ヶ岳を目指すという。

 下山後、テントを片付けて下山する。鏡平までは東に槍ヶ岳、南に笠ヶ岳稜線を見ながら進む。ナナカマドの向こうに槍ヶ岳が見える。次第に雲が下りてきて稜線を隠す。鏡平で一休みして、小池新道をひたすら下る。さらに、林道を歩き、新穂高の駐車場に無事に到着し、2泊3日の充実した山行を終えた。秋の北アルプスは空気が澄んでおり、秋景色を十分楽しむことができた。