東北

【ハイキング】みちのく潮風トレイル(県連主催)

みちのく潮風トレイルを歩く  

 

         ネダリ浜に続くトレイルは岩壁の道

山域場所:岩手県階上岳、ネダリ浜、北山崎、鵜の巣断崖等

期日:2024年6月29日(土)-7月1日(月) 

参加者:橋本 大嶋 他の会8名 合計10名

行動記録

6月29日(土) 

八戸駅9:45=車=大開平10:40-階上岳(はしかみだけ)11:10/11:40-大開平12:05=車=普代駅13:30/13:45-みちのく潮風トレイル・ネダリ浜-国民宿舎くろさき荘16:20 同所泊

6月30日(日) 

くろさき荘8:30-みちのく潮風トレイル-北山崎12:20/13:00(昼食)=車=机漁港13:40/14:40北山崎サッパ船乗船=車=駐車場15:00/16:00手堀りトンネル(隧道)歩き=車=鵜ノ巣断崖見学16:30/17:00=車=ひらいが海荘17:30 同所泊

7月1日(月) 

ひらいが海荘8:30=車=番屋の塩づくり体験ショートコース9:00/9:30=車=道の駅いわて北三陸10:45/11:15=八食センター12:30/14:00=車=JR八戸駅、解散14:30

6月29日(土)<天気晴れ>

JRの大人の休日倶楽部パスを利用して、当日の朝、埼玉を出て八戸駅に集合する。大宮駅から新幹線利用、1時間半程で、八戸駅に着いた。道中、左の窓からは那須、安達太良、蔵王などが見える。盛岡駅を過ぎるとトンネルが増えるが、直ぐに八戸駅に着いた。八戸は夏の眩しい陽射しで明るかった。西口のレンタカー店に10人が集合し、打合せ、レンタカー2台で出発した。参加者は、埼玉労山加盟の会所属の60~70歳代の方々。八戸は片田舎と思いきや、結構大きな都市で、市街地を南の登山口に抜けるのに時間がかかった。大開平の駐車場に着き、ここで身支度して登山を開始。青森県八戸労山の中野勝朗さんにも同行していただいた。晴れて陽射し強く暑い。階上岳は北上山系の北端の山と解説板に記されており、「やまつつじ」が多いという。緩い登りの道で、周囲は、赤松などの常緑樹と、落葉広葉樹の混交林で下草も多い。30分ほどで頂上の赤い鳥居をくぐり山頂に至る。みちのく潮風トレイルは環境省が管理しており、立派な表示板が要所に設置されている。頂上には黒御影石の立派な「三陸復興国立公園、階上岳」の石碑が建つ。北を望めば、八戸の市街地が広がる。低山で暑い中、日陰を見つけ、ここでしばし休憩。中野さんからいただいたサクランボが大きく甘かった。標高740mの展望台脇の草原には、クガイソウが紫の花を揺らしている。階上岳は火山の山で、ツツジも多いという。5月頃には咲いて綺麗だろうと想像する。秋の紅葉や雪の山も良さそうだ。頂上付近には、モミジイチゴも実っていた。

 大開平に下山後、三陸沿岸道路(高速道路、無料区間)を使い、久慈市を抜け譜代ICを下り、近くの譜代駅に行く。ここに車を停め、海岸沿いのみちのく潮風トレイルを歩き、くろさき荘を目指す。譜代駅は海岸より少し入った場所にあり、川沿いの車道を東の海岸に向かって歩く。左右は、木々と下草が茂る。フキも生えており、関東の里山と同じだと親しみを覚える。10分ほどで、コンクリートでできた譜代水門に着く。言うまでもなく、津波防止の施設である。堤体の上に登ると三階建てビル屋上位の高度感がある。下りて歩いてすぐに、譜代浜だ。白い砂浜が広がる。その向こう青緑の海が穏やかな波を立てている。ここからは進路を南に変え、車道脇を歩く。砂浜が切れると、磯浜となり、大岩に松などが茂り、埼玉では岩山の景色だ。海岸沿いの道を進むが行き止まりで引き返し、トンネルを通り、歩道の広い場所で一時休憩。歩道の舗装の僅かな切れ目にスカシユリが咲く。漁船の停泊する漁港脇を通り過ぎ、トンネル、橋を通り、海岸に下る。小さな漁港の脇を通り、本格的な「みちのく潮風トレイル」(歩道)に入った。車無く、右は大岩の崖、左も大岩でその下に海の波が打ち寄せる。トレイルは舗装され、柵も設置されており、安全な道だ。埼玉には無い景色で、潮風の吹くみちのくの絶景を味わう。黄色、白の花(キクの仲間か)や桃色のナデシコが崖に咲いている。チャート質地層の露頭も荒々しい。「ネダリ浜」の表示板のわきに「高潮高波注意」の看板もあるが今日の波は穏やかだ。小さな歩道用トンネルを抜け隣の浜に行き、そこからは宿のある丘の上に車道を登る。ここも樹木が繁り、日陰は幾分涼しいが日向は暑い。ケヤキなど関東にある樹種も多く、落葉樹の里山を歩いているような感じだ。やや息を切らし、宿舎への道の最高点から下る。この周辺も樹木が多く、下草のホタルブクロやヤブレカサ、オカトラノオなども咲いている。林越しに、海を見ながら歩き、宿泊の国民宿舎くろさき荘についた。

上:オカトラノオが群生する 下:北山崎の断崖絶壁

6月30日(日)<天気曇、後雨>

 くろさき荘は海岸から上がった大地の端に建っていて東側の海の眺望がよい。出発は早くないので、朝食前に散策する。トラノオが群生している。海岸を望む展望台からは海岸から100mも立ち上がる垂直に近い岩壁が見える。また北緯40度シンボル塔が近くにある。コロナの影響もあり、北東北の海岸の観光は、経営的には中々苦しいのではと推測する。朝食後、くろさき荘の横から、北山崎までのみちのく潮風トレイルを歩き始める。歩道入口には北山崎展望所9.2kmとある。地図には北山崎自然歩道と記されている。ある程度のアップダウンはあるだろうが、それほどではないのではと思っていた。晴れていて、、雑木林の樹陰で暑さそれほどではない。左は林越しの太平洋、右は丘状の林や草地が広がる。確かに道は割合平坦であるが、出入りの多い海岸線で、道は、上り下りを避けるよう、切れ込んだ谷は山側に進み、出っ張った丘はそこを回り込むように作られている。丘の先端には樹木を切った展望台などがあり、変化に富んでいる。人家、農家、畑、牧草地もなく、落葉広葉樹を中心とした森と、木を伐採し草地になった場所をひたすら歩く。丘の上なので断崖絶壁は間近に見えないが遠くを見ると、歩いている場所が崖の上の丘の先端付近を歩いているのが分かる。それほど風がなく、潮風は吹かず、むしむしした林の中、アップダウンを繰り返し進む。

樹種はコナラやクヌギ、クリ、モミ、杉、松、モミジの類などで、関東の里山のような樹木だ。園芸種だと思っていたハクウンボクも白い花を付けている。ツチアケビ(葉をもたない腐生植物)の花を初めて見た。イチヤクソウ、ウツボクサ、白い花のセンジュガンピもあった。高山植物のような色鮮やかさはないが、地味ながらも種類は多く楽しめた。

 右、左、登り、下りと何回も繰り返し、最後の部分では、沢に下り沢筋を歩く。水量は多くなく、水も濁っている。沢筋から離れてからも、登り、下りとあり、小さな丘を登ると、北山崎展望所の駐車場、関連の建物が建っており、やっと着き、9.2kmの道が、かなり長く、着いたので安堵した。北山崎展望台からは、太平洋が望める。また、北山崎の断崖絶壁が望める。

 ここで店に寄り昼食を摂る。天気予報では翌日の天気がよくないので予定を入れ替えて、船に乗ることにした。車で小さな机漁港に移動しサッパ船(小型の動力の磯船)に乗り海からの北山崎の景色を楽しむ。10人乗り位の小さな動力船で、船長が海中の暗岩、露岩を巧みな操縦で避けながら案内してくれる。草木も生えない100mから300mほどの垂直に近い絶壁が立ち上がり、その上に松などが生えている。隆起と海の侵食でこの景観はできたのか。地質的には、岩に地層が見えることから堆積岩であることは分かる。硬い岩石のためか、洞窟、メガネ状の岩などがある。船は洞窟の一つに入る。明るい陽射しが海水を通して反射し、浮き上がるような雰囲気になる。狭いメガネ状の部分を通り抜けたりもする。ぶつからないと心配するも上手に通り抜ける。上を見れば大岩が横たわり、その重さを想像すれば落ちない岩の固さもすごいと感じる。

 港に戻りながら、東日本大震災の津波の話を聞く。津波は大きく、机番屋の建物はすべて流され、今ある建物はその後再建されたとという。

 車で少し移動して、手堀りトンネルを2つ歩く。高さ2.5m位、幅2m位、長さ数百㍍の手堀のトンネルで、掘ったままだ。照明はなく、地下水がしみ出ている場所もある。蝙蝠も住んでいる。ヘッドランプで足元を照らしながら進み、でると隣の湾の砂浜に出て、更にもう一つ歩いた。山側を見上げれば、オレンジ色のスカシユリが岩壁に咲いている。2つ目のトンネルを歩ききり、戻りました。

 車で鵜の巣断崖駐車場に移動する。途中から雨模様になる。駐車場からは、緩い下りの道をたどる。展望台は断崖の上にあり、ややもやがかかっているが、北に断崖と海を見ることができた。このような地形ができた歴史を知るとさらに面白いと思うが、自身の不勉強、準備不足を感じつつここを去る。

 雨の強くなった中、この日に泊まる民宿に移動する。明戸の海を望める高台の景色のよい場所に位置している。こじんまりした綺麗な民宿で、夕食にはたくさんの海の幸(ウニ、タコ、魚、海草等)が出され大満足でした。

上1:落葉広葉樹林の中のトレイルを進む 上2:沢筋を下る 上3:センジュガンピ 上4:穴があいた大岩の独特な景色

7月1日(月)<天気曇>

 朝、時間に余裕があり、浜にある震災遺構、明戸海岸防潮堤を見学する。震災遺構の掲示板には、昭和44年に建設された高さ9mの防潮堤は、「繰り返し押し寄せた津波に防潮堤は決壊し」とある。付近には決壊した防潮堤のコンクリート片が散乱していた。

 午前の予定である机浜番屋での塩作り体験をする。担当者が、塩づくりの方法、歴史、内陸部との交易等について丁寧に説明する。牛に積んで内陸部の盛岡まで運び、塩1升と米1升と交換したという。塩は、生活の必需品で、保存ができる。海水もあり、これを煮詰める薪も近くにある、等の条件があり、作られてきた。ただし海水を煮詰める金属製の釜や薪の採れる山のある財力のある者のみが、塩作りができたという。

 塩づくりだが、金属製の大きな容器で海水を煮詰めると、塩の結晶がその底にできる。それを網ですくい、カセットコンロにかけたフライパンで、混ぜながら水分を飛ばす。さらさらさらになったらガスを止め、冷やし、袋に入れる。白く結晶の大きい塩ができた。口に入れると塩の味だが味わいが違う気がした。

 この後、三陸沿岸道路を北上し、道の駅いわて北三陸に立ち寄り、八食センターに行く。八食センターは、海産物、農産物、菓子、食品の店が50店以上も入った総合食品センターだ。ここで打ち上げのBBQをして、八戸駅に移動し、今回のみちのく潮風トレイルの旅は終わった。活動内容が多く、様々な体験ができ、参加者同士の交流も図れ、充実したみちのく潮風トレイルの旅でした。青森県、岩手県の太平洋側は、交通が内陸部と較べると不便だがハイキングするには魅力のある場所だ。みちのく潮風トレイルを歩き、旅することにより、豊かな体験ができる。また、それが地域の活性化にもなると感じました。

(橋本記)

上:鵜の巣断崖 下:東日本大震災遺構-堤防の残骸