九州沖縄

【ハイキング】九州山旅_2023初夏 2023/5/26-6/9

山  域:くじゅう連山、祖母山、阿蘇山、霧島山、開聞岳他

ミヤマキリシマとくじゅう連山

山行形態:無雪期ハイキング
目  的:九州の初夏の山を楽しむ

日  程:2023年5月26日(金)~6月9日(金)
参 加 者:新井浩、駒崎 
行動記録:
5/26(金) 羽田空港⇒鹿児島空港 桜島観光、指宿砂風呂
5/27(土) 開聞岳
5/28(日) 霧島山(韓国岳)
5/29(月) 高千穂峰
5/30(火) 高千穂峡観光
5/31(水) 雨で停滞日
6/1(木) 阿蘇山
6/2(金) 別府観光
6/3(土) 由布岳
6/4(日) 祖母山
6/5(月) 涌蓋山(わいたさん)
6/6(火) 坊がつる
6/7(水) 立中山、久住山、中岳
6/8(木) 坊がつる、指山
6/9(金) 熊本空港⇒羽田空港

5/26(金)移動日
羽田空港8:00集合/9:20 ANA621=鹿児島空港11:10=桜島観光=指宿温泉17:00
<天候:晴れ>
 ほぼ予定通りに羽田を飛び立ち、鹿児島空港に到着。レンタカーを借りて、いざ出発。まずは桜島へ向かう。九州道に乗るとすぐに前方に桜島が見えてきた。錦江湾を時計回りに走って桜島に渡り、湯ノ平展望所で桜島をじっくり観察。近くで見ると迫力がある。桜島フェリーで鹿児島市へ渡る。手際のよい誘導であっという間に乗船、船上から桜島を見ると噴煙が上がっていた。さっきまでは煙出ていなかったのに。指宿に移動して、念願の砂蒸し風呂に入る。思ったよりも熱く、砂は重かった。

 

 

5/27(土)
指宿温泉6:00=かいもん山麓ふれあい公園登山口駐車場116m 6:30/6:55→7合目9:30→開聞岳924m10:55/11:40→駐車場14:40/15:15=霧島温泉18:00
<天候:晴れ>
 移動中の車中から見た開聞岳はすごく大きく感じる。残念ながら上半分は雲の中だ。駐車場には車はまばらだが、登山者がちらほら見える。公園の中を標識に従い進む。アジサイがとてもきれいだ。

 

2合目の標識から登山道になった。ざくざくと火山礫を踏みしめながら上り始める。樹林の中で視界はなく時折深く掘れたところや、シダ類や常緑樹が多く感じた。合目ごとの標識があり、目安になる。5合目は展望が効き錦江湾の入口であろうか、海が光っていた。6合目を過ぎたあたりから登山道の様相はガラッと変わり、火山岩の大きな岩の中を進む。相変わらず展望はないが、7合目あたりは何か所か展望が効くところがあるが、ガスで真っ白で何も見えない。晴れれば種子島や屋久島が見えるとあった。

 

7合目~山頂までは登ったり下りたりの岩場を通過する。基本岩は溶岩なので滑らないが、ツルツルに削られた溶岩は滑るので要注意だ。ロープやはしごなどが何か所かあった。山頂は大きな火山岩が積みあがったところで、大勢の人が休んでいる。景色が見えないのが残念だ。昼休憩後に下山開始する。登って来る人が多く、これから山頂は大変な混みようだろう。下りは慎重に降りる。7合目あたりの展望が効く場所は下界のガスが晴れて海岸線などがよく見えるが、遠くはかすんでいる。

 

駐車場のある公園の事務所に寄ると、開聞サツキが咲いているとあった。下山途中に見たものだろう。山中に目についた花は、タツナミソウと白いアジサイっぽいゴガクウツギが咲いていた。この後、霧島温泉へ移動して硫黄の温泉に浸った。

 

5/28(日)
霧島温泉郷8:20=えびの高原駐車場1192m 8:45/9:10→5合目11:00→韓国岳(霧島山)1700.1m 12:00/12:30→韓国岳避難小屋13:20→大浪池(時計廻)→えびの高原駐車場17:30/17:45→霧島温泉18:10
<天候:曇り>
 駐車場代500円を払い、登山者用の駐車場へ車を停める。駐車場の植え込みにはミヤマキリシマが満開だ。ここの標高が1,200m付近。

 

標識に従って歩き始めると、登山道沿いにミヤマキリシマが一杯咲いている。見慣れたツツジよりも一回り花が小振りで、色はピンク、ムラサキ、オレンジと色々だ。

 

登っていくにつれつぼみが多くなってくる。山頂付近はつぼみが大半で、これからだ。山頂はガスで真っ白で展望ないので、昼休憩は早めに切り上げて、大浪池に向かう。木道が整備されているが、かなり傷んだところ多く、足を置くのに注意しながら下る。

 

やがて、韓国岳避難小屋1336mに着く。避難小屋周辺は休む人でにぎわっている。ここから大浪池一周ルートを進む。この周回ルートは標高1300m前後でミヤマキリシマが途切れずにずっと咲いていた。大浪池はガスで時折見える程度であったが、ミヤマキリシマを堪能出来たコースであった。

 

 

5/29(月)
霧島温泉8:00=高千穂河原駐車場983m 8:50/9:05→お鉢(御鉢火山)11:00→高千穂峰1573.6m12:10/13:00→お鉢13:45→高千穂河原駐車場14:45/15:40=霧島温泉16:15
<天候:曇り>
 高千穂河原ビジターセンターのすぐ近くに車を停めて歩き始める。霧島神宮の参道を進み、登山道に入る。しばらくはゴガクウツギとミヤマキリシマの花を両側に見ながら進み、だんだん火山らしくなる登山道。

 

火山礫をざくざくと踏みしめ登っていく。灌木帯から火山そのものに登るようになる。あちこちの火山岩の間にミヤマキリシマが咲いていていいアクセントになっている。登る先は残念ながらガスの中で真っ白だが、ぼんやりと斜面に咲くミヤマキリシマが見える。

 

ガスが晴れると斜面一杯にミヤマキリシマが咲いている。これはすごい。こんな風にミヤマキリシマは咲くのかと感激。スッキリ晴れてくれればいいが、そうはなかなか行かないものだ。やがてお鉢(御鉢火山)の縁に立つ。なんと火口の中までミヤマキリシマが咲き誇っている。ピンク色の小さな浮島が一杯並んだようで素晴らしい眺めで、いつまでも眺めていたい風景だ。一旦お鉢の縁から下って高千穂峰に取り付く。この斜面にもミヤマキリシマが点在する。

 

一息で高千穂峰に到着し、眺めのいいところで昼休憩とする。ここもミヤマキリシマに囲まれた場所で、とっても幸せな気分だ。相変わらずガスで真っ白だが、時たま下界が垣間見れた。下山は後ろ髪を引かれる思いで登って来た道を引き返した。下山後ビジターセンターに寄ったが、本日休館であった、残念。

 

 

5/30(火)
霧島温泉8:25=高千穂峡観光11:50/13:55=南阿蘇15:25
<天候:曇り/雨>
今日は移動と観光を兼ねた日で、高千穂峡へと向かう。昨日登った高千穂峰と高千穂峡は全く別のところにあった。高千穂峰は、霧島に有り、鹿児島県と宮崎県の境にある火山。高千穂峡は、宮崎県北部にある高千穂町の名勝である。移動に約200km3時間を要した。高千穂峡観光の前に、せっかく宮崎に来たのだからと、宮崎牛の焼肉とマンゴージュースで腹を満たした。高千穂峡を歩いてみたが、なかなかの名勝だ、自然の芸術作品はすごい!と思った。ボートに乗りたかったが、雨がひどくなったので諦めた。

 

 

5/31(水)
<天候:雨>
南阿蘇に停滞。当初の計画は祖母山に登る予定であった。

 

 6/1(木)
南阿蘇7:30=阿蘓山上駐車場1143m 8:15/8:30→砂千里ヶ浜9:45→南岳1496m 11:00→中岳1506m 11:40→阿蘇山(高岳)1592.3m2:30/13:40→中岳14:15→阿蘓山上駐車場16:30/45=南阿蘇17:20
<天候:曇り/時々晴れ>
阿蘇山上駐車場はガスで真っ白で全貌がわからないが、昔はロープウエイがあったところらしくお土産屋が並ぶが無人の廃墟だ。ほかに人は見えずその感じを増幅させる。新しい看板で、ここは古坊中登山口で、砂千里を通って中岳、高岳に至るルートを確認する。火山ガス事故を防ぐためにとの看板を読んでから出発。有料道路沿いに歩き、そこから脇に入る。

 

ミヤマキリシマの群落の中を歩くが、ピークはすでに過ぎており咲き終わりのものが多いが、まだ満開の株も数多い。砂千里ヶ浜に出ると、そこは火山の蒸気や火山ガスにさらされている火山灰だけの火口原。火口も近く立入禁止になっている。植物はほとんど見られない。南岳に谷形状の火山岩帯をジグザグに登る。

 

尾根に出ると噴火口の幾層にも見える赤茶色の絶壁と噴煙(蒸気)が見え、今も生きている活火山だと気づく。中岳山頂からは第1~第4噴火口が見え迫力がある。阿蘇山の最高峰の高岳に移動し昼休憩。

 

ガスで視界が効かないがのんびりする。高岳の東峰のミヤマキリシマがぼんやり見える。行ってみると見事な群落でした。下りはずるっと滑らないように気をつけながら駐車場に無事到着した。

 

 

6/2(金)
南阿蘇9:40=別府温泉観光14:00
<天候:雨/曇り>
 予報通りの雨なので停滞日とし、別府に移動を兼ねて観光をした。当初の計画は鶴見岳に登る予定であった。別府の街の浜辺を散歩し、近くにあった別府タワーに登ったり、温泉に入った。

 

どこに行ってもくまモン強し!

 

 別府タワーと別府の街並み

 

 6/3(土)
別府温泉6:00=由布岳正面登山口777m 6:35/6:50→合野越1027m7:50→マタエ1440m10:00→由布岳西峰1583.3m10:40/11:20→お鉢廻り→東峰12:55→マタエ13:25→由布岳正面登山口15:30=別府温泉16:30
<天候:晴れ>
 スッキリ晴れ渡った青空に双耳峰の由布岳がそびえる。手前の牧場のような草地と手前のいもりヶ城1060mが印象的だ。

 

草地に延びる登山道を進み、自然休養林の看板のところから森の中に入る。すぐに地面に白いものがいっぱい落ちている。ウツギの白い花だ。上を見たがどこで咲いているのかわからなかったが、しばらく同じ光景が続いた。登山道はゆるい傾斜で登りやすく、明るい森が続く。

 

合野越で一息入れる。このあたりも鹿の食害があるらしく、ネットが張られていた。しばらく登ると灌木帯になり視界が効くようになる。眼下には湯布院の街並みが手に取るようだ。遠くにはくじゅう連山が見える。お待ちかねのミヤマキリシマもぽつぽつ出てきた。そのミヤマキリシマ、虫の食害がひどいらしく、葉がほとんどないものが登山道沿いにかなり見られた。葉のあるものは元気に咲いているが、食害にあったものはまばらな咲き方だ。マタエと呼ばれる西峰と東峰のコルに到着。

 

迷わず西峰に向かう。ちょっとした岩場がスリリングだ。尾根上はミヤマキリシマがきれいに咲いている。西峰山頂で昼休憩。隣の東峰、鶴見岳、別府湾などが見渡せる。

 

 

時計回りにお鉢廻りをすることにして、西峰を下り始めると、ミヤマキリシマ群生地に突入。どこを見てもミヤマキリシマが咲いている。幸せな気分だ。細い尾根のアップダウンを繰り返し東峰に到着する。鶴見岳、別府湾などが手に取るようだ。

 

マタエに降りて、登ってきた登山道を戻る。登山口付近の牧歌的な風景に観光バスも停まって、観光客は写真を撮っていた。

 

6/4(日)
別府温泉6:00=祖母山北谷登山口林道通行止め地点8:30/8:45→北谷登山口9:45/9:55→三角点展望台11:20→3県境11:55→国観峠12:20→祖母山1756.4m13:25/14:05→風穴15:20→北谷登山口16:20→林道通行止め地点17:20/17:35=筋湯温泉19:15
<天候:晴れ>
 天気が悪くあきらめていた祖母山に登ることにして、別府温泉の朝の国道を走る。猿の山で有名な高崎山の前を通り過ぎる。登山口まで100㎞ほどあり少しあるが、コースタイムが5Hなので、大丈夫だろう。登山口までほど近い細い林道を走っていると、通行止めのバリケードがあるではないか。横に設けられた駐車場に車をとりあえず駐車する。登山口までの距離を調べると約4km、歩いて1時間位か。ちょっと考え、下山時刻を計算、何とかなりそうだ。すぐに出発する。歩き始めて直ぐのところで、法面をきれいにしていた。

 

速足でちょうど1時間で北谷登山口に着き、登山届を出して登り始める。傾斜の緩い千間平コースを登りに取る。歩きやすい登山道が続き、合目毎に標識があるのがいい。山頂までの距離を10等分してあるようだ。4合目の手前で尾根に乗り、5合目手前で展望台があった。樹間から見えるのはくじゅう連山だ。その先は千間平と呼ばれる平坦な尾根が続き、3県境なる標識あり。宮崎県と熊本県と大分県の3県の境ということであった。

 

この先も緩やかな登りで、7合目の先に国観峠、平らな芝生の広場のようなところがあり、大勢の人が休んでいた。この先は急な登りが山頂まで続く。にぎやかな声とともに若い集団が降りてきた。聞くところによると、高校の県体とのこと。参加校は全部で3校、4チーム。竹田高校、大分工業頑張れ!審査は昨日で大変だったとのことでした。若い人が山に見られるのはいいですね。

 

サラサドウダンツツジとミヤマキリシマに迎えられて山頂到着。360度の展望で、阿蘇、くじゅう連山、傾山などが全方位見える。山頂に群生するミヤマキリシマは今が満開だ。昼休憩後、風穴(直登)コースを降りる。かなり道が荒れており、予想以上に時間が掛かる。最後の長い林道歩き後に車に着いたのが17時を回っていた。

 

 

 6/5(月)
筋湯温泉972m 6:30→一目山1287.4m7:45→みそこぶし山1299.6m9:40→涌蓋山(わいたさん)1499.6m11:50/13:00→ひぜん湯分岐14:10→筋湯温泉15:15
<天候:曇り>
筋湯(すじゆ)温泉に車を置いて一目山(ひとめやま)に向かい歩き始める。しばらくは車道歩きだ。しかも登りで、地味にきつい。45分歩いてやっと一目山に取り付く。牧草地のようなところを上り始め、30分弱で山頂だ。

 

何の遮るものの無い360度の展望だ。阿蘇山、くじゅう連山、由布岳も見える。風力発電の大きなプロペラや地熱発電所の蒸気も見える。そしてなだらかな山容の涌蓋山。これからあそこまで行くのかと、かなり遠そうな感じだ。牧場のような感じの中を進むとミヤマキリシマがところどころに咲いている。

 

徐々に高度を上げ、行く手に涌蓋山を見ながらミヤマキリシマの咲く高原を気持ちよく登ると、みそこぶし山に到着した。ここも展望が抜群だ。涌蓋山はかなり近くなった。涌蓋越を通過し草原状の快適な尾根を登っていく。点々と咲くミヤマキリシマがいいアクセントになっていていい励みになる。途中に女岳を通過し平坦な涌蓋山に着いた。

 

何組もの人が休んでいる。くじゅう連山を目の前に草地に腰を下ろす。のんびり昼休憩をして、下山に向かう。あっという間に筋湯温泉に到着した。その後、筋湯温泉の名物の「うたせ湯」を堪能した。

 

6/6(火)
筋湯温泉4:30=長者原1035m4:50/8:10→雨ヶ池1320m10:20→坊がツル1225m11:30→法華院温泉山荘1270m12:00
<天候:雨>
 これから天気がすぐれない予報だ。昨日のうちに、くじゅう連山の日程変更を決めた。6/6は雨の為、入山口を長者原に変更して、法華院温泉山荘に入るのみ。6/7は天気良さそうなので中岳、久住山を狙う。6/8は雨模様で、天気次第で平治岳、大船山を狙う。

 
 朝、雨音で起きる。天気予報通り雨だ。変更した予定通りに長者原に向かう。到着した長者原の駐車場は思いの外ガラガラだ。駐車場に苦労するかなと時間を早めて来たが、取り越し苦労であった。雨具を着て出発。坊がつる讃歌の碑と筑後川源流の碑があった。タデ原湿原がスタートとなっており、木道を歩く。やがて森に入るが、その入り口に、くじゅう連山のただ今の噴火警戒レベルは「レベル1です 山頂まで登山が出来ます」の表示看板があった。しっとりと濡れた森の中を進む。2時間ほど歩くと、明るい場所に出た。

 

雨ヶ池だ。木道が敷かれ、両側にミヤマキリシマが咲いている。この辺りは最盛期のようである。下りになり、樹間から眼下に坊がツルが見え、雨で霞んでいるが平治岳、大船山が目の前にあった。ぬかるんだ山道を下っていくと、広い湿原があり、坊がツルに着いた。

 

残念なのは、なんと車道が通っていてがっかりであった。しばらく歩き、法華院温泉山荘に着いた。乾燥室へ濡れたものを干し、昼飯を頼んで食べ、受付をして大部屋に入った。待望の温泉に浸り満足である。宿は満員御礼で、夕食時は混雑していた。

 

 

6/7(水)
法華院温泉1270m5:00→鉾立峠1368m5:40→立中山1464.5m6:15→鉾立峠6:45→白口岳1720m8:50→中岳1791m10:30→久住山1786.5m12:20→久住分れ13:00→諏蛾守越14:00→法華院温泉山荘15:15
<天候:晴れ>
まだ寝静まった2階の大部屋から1階の食堂に降りて、昨夜のうちに受け取った弁当を食べる。宿を5時に出発し、昨日聞いた立中山のミヤマキリシマがきれいだ。との情報により、立ち寄ることにする。

 

鉾立峠から直ぐだ。登る途中にはポツポツとミヤマキリシマはあったが、山頂付近は群落地となっており、満開でミヤマキリシマの海の中にいるようであった。ちょうど大船山からの日の出が重なりいい感じだ。誰も居ないのが不思議なくらいきれいである。しばらく写真を撮って鉾立峠へ戻る。

 

これから白口山への登りである。ゆっくり歩を進めながら周りの景色を楽しむ。登るにつれて展望が広がっていく。坊がツルの右に平治岳、大船山。その手前には先ほどまで居た立中山。山頂付近がピンク色に見える。同じく平治岳、大船山もピンク色だ。左には大きな三俣山。平治岳の後ろには由布岳も見えてきた。山頂からの坊がツルの全景を楽しみ、先に進む。

 

稲星越を通り、くじゅう連山の最高峰の中岳に向う。これからの山域はほとんど低木ばかりですこぶる眺めは良い。ミヤマキリシマもポツポツあるが、虫の食害で花付は悪い。眺めを楽しんでいるうちに中岳に到着する。くじゅう連山の中心部にあるので、ぐるっと一周の展望はなかなかだ。眼下に見えた御池に向かって降りて、神明水分岐から久住山に登る。途中南面にミヤマキリシマの群生が有り見事に咲いていた。いよいよ、念願の久住山の山頂だ。

 

岩がゴツゴツの何の変哲もない山頂だが、これでくじゅう連山を制覇したって感じだ。三俣山の山頂付近もピンク色に見える。明日の天気次第だが、平治岳、大船山のピンク色のところを歩いてみたいものだ。久住分れからいかにも火山ですと言わんばかりの硫黄岳の横を通り、諏蛾守越を経由して法華院温泉山荘に戻った。

 

6/8(木)
法華院温泉1270m8:00→坊がツル→雨ヶ池9:25→指山分岐9:55→指山1449m12:10→長者原P13:50/14:15=阿蘓内牧温泉15:20
<天候:雨>
雨音で起きる。残念ながら平治岳、大船山のミヤマキリシマはお預けだ。咲いているという指山に帰りに寄ることにして、宿の朝食を食べた後に出発する。

 

坊がツルの見納めだ。今度来るときはすっきり晴れることを望むところだ。帰路の途中の指山の差す標識の方向に進み、登り始めるが、雨が激しくなって来た。登山道が川になり滑る。慎重に歩を進め山頂に着くが、ミヤマキリシマははとんど咲き終わりとなっていた。

 

残念だが、そういう時もあるさと下山し、長者原の車に戻り、濡れた雨具を脱いでほっと一息ついた。

 

6/9(金)移動日
阿蘓内牧温泉10:00=熊本空港11:05/13:40 SNA016=羽田15:15
<天候:晴れ>
レンタカーを返却し意外と大きな熊本空港に入る。目につくお土産にくまモングッズの多いこと。かわいいから許せるが。つられてくまモンが描かれているものを買ってしまう。まんまと引っ掛かってしまった。30分遅れで離陸、阿蘇山を見ながら九州を離れ、富士山と江の島を見ながら羽田に到着した。レンタカーに積んであったものが両肩にずっしりとのしかかってくる。品川駅から座って帰ってこられたのがラッキーであった。

  

 

あとがき
 今回も15日間の長期山行となったわけだが、一番の目的は、ミヤマキリシマである。中心となるのが、くじゅう連山の縦走であり、この時期しか咲かないので、ただ一つの宿泊施設の坊がツルの法華院温泉山荘の予約が集中してなかなか取れない。今回は運よく、6/6-7と連泊で予約が取れた。この日程を中心に計画を立てたが、3日間のうち中日だけが晴れで前後が雨。今回登高を逃した平治岳と大船山に登るべく、機会があれば再計画をしてみたい。意外にミヤマキリシマが良かったのが、高千穂峰である。お鉢(御鉢火山)の火口の中にまでミヤマキリシマが咲いており、ピンク色の小さな浮島が一杯並んだような眺めは忘れられない風景である。

 
 2番目の目的は百名山であるが、これは達成できた。開聞岳、韓国岳、阿蘇山、祖母山、くじゅう連山と一回のチャレンジでクリヤー。北海道、四国、九州の百名山はクリヤーで来たので、残りは体力とお金と暇と相談しながらとなる。やはり、百名山は良い山が選定されていると感じる。
 無事に事故もなく今回の山行を終えられたことが一番ではないかと思う。同行をしてくださったKさんには感謝のひとことである。

(新井浩 記)

 

 

【ピークハント】九州3山 阿蘇山 九重山 由布岳

 

九州 阿蘇山 九重山 由布岳 山行 (個人山行)

九州中央部 火山の山に登る

山域山名:九州 阿蘇山 九重山 由布岳

期日:2022年11月7日、8日、9日 

参加者:橋本義彦

 

          噴煙をあげる中岳火口

行動記録:11月7日 羽田空港8:15=熊本空港10:10=阿蘇山古坊中P12:10—中岳13:55-高岳14:20—中岳15:00—阿蘇山古坊中P16:30=九重山付近泊

<天気晴れ>九州の登山は屋久島を含めて4回目になる。九州本島の山行は2月、5月に行い、その2回は悪天候や、通行止めで登れない山があった。今回、天候の安定する11月に計画した。

 熊本空港からレンタカーを使い、阿蘇山に向かう。九州もすっかり秋景色になっている。阿蘇市に向かう道路はよく整備され交通量も多いが走りやすい。熊本地震で壊れた橋も修復されている。ナビで阿蘇山登山口と入れたルートで走るが、阿蘇市に入ってから、草千里に向かうルートでないことに気付く。ナビは仙酔峡の登山口に案内していた。草千里に向かう交差点で右に曲がり、すすきの穂が出た草原の道を登る。草千里を抜け、登山口の古坊中駐車場に入る。駐在所で駐車のことなど尋ねると「あちらに駐車をして」と言われたのでそちらに車をまわすと登山者用駐車場で料金500円を徴収された。準備して、出発した。午前の便できたので、昼からの登山となった。火口までの車道もあるが、現在、中岳火口周辺1kmは立入規制があり、観光客も入れない。レストハウスも廃業の様子だ。登山道は車道を少し進んで、右に迂回して中岳に登る。案内板にしたがって灌木のある、緩斜面を進む。標高1000mほどだが、火山のため森林限界が低い。天気よく東の中岳が聳える。一旦尾根に出て、それから下ると、元々の砂千里ヶ浜ルートの分岐に出るがそこは通行禁止になっている。植物の乏しい平坦な場所を東の山に向かって進む。中岳火口からは大きな白い噴煙が立ち上り、中々の迫力だ。「噴火」は・・と心配もあるが、観測しているので大丈夫だろう。噴煙の手前は、砂千里ヶ浜だが、植物は無く、浅間山の山頂付近と同様に小沢が均等に山を削っている。その端の場所からは谷を登る。大きな噴石があり急登だが登りにくいということはない。汗をかきかき、尾根に出ると南阿蘇方面が望める。ここで一休み。登山者はちらほらという程度。さらに高度を上げていく。中岳への尾根の西に崖があり、きれいな地層がある。グランドキャニオンみたいだ。噴火して陥没したためか。尾根に出ると、そこからはなだらかな広い砂礫の尾根でゆったりした気分で歩く。中岳に着く。噴火口に近く白い噴煙が立ち上り、東北方向になびいている。向きを変え、高岳に向かう。斜度も緩く、大岩を抜けて高岳山頂1592mに着く。周囲の景色がよく見える。仙酔峡の谷も見え、ロープウェイは撤去され、山頂駅の付近も工事をしている。

 登山者2人ほどに会う。仙酔峡から登って来たと言う。「大変な急登の尾根でした。」と話す。ここから尾根を進む。高岳東峰からはその東の根子岳がよく見え、鋭い岩峰である。ここから月見小屋を目指し下る。岩の間にはツツジがたくさん生えている。季節にはミヤマキリシマが綺麗だと想像する。リンドウが茶色の草原で咲いている。月見小屋の周辺は砂礫の平原で、案内板によると高岳火口原だという。少し登り、高岳への分岐に至る。そこからは、往路をひたすら歩く。日が傾き、西の烏帽子岳が黒い。地図には阿蘇山上駐車場とあるが、現地の案内板では「古坊中」となっている。予定よりもやや遅く駐車場に戻った。

 素晴らしい火山地形であり、地球の火山活動を見て、嗅いで、体で感じることのできる山行だった。植物の成長している季節なら、さらに色鮮やかであろうと想像した。時間が少し遅くなり、予定していた杵島岳には登らず次の目的地に向かった。

 

上:リンドウがたたずむ 下:中岳西斜面

11月8日 宿泊地=牧ノ戸峠6:30-扇ケ鼻分岐7:30-星生山8:00-中岳9:10-稲星山9:40-久住山10:30-久住山避難小屋10:50-扇ケ鼻分岐11:10-牧ノ戸峠12:10=由布岳周辺泊

<天気晴れ>牧ノ戸峠駐車場には20台ほどの車が停まっている。身支度をし、登山届を出して舗装の斜面を登り始める。紅葉が終わり、落葉している。数㍍の木々が茂っている。アセビ、シャラなどだ。第一展望所からは長者原方面が望め、温泉の湯気が立ち昇る。沓掛山の尾根まで登ると今日登る久住山などの山々が見える。尾根は大岩でその間を進む。尾根だが木々が茂っている。そこを抜けると平坦な道になり、アセビが来春の赤い蕾をつけている。また、あまり高くない落葉松林があり、黄葉している。扇ケ鼻分岐まではやや登りになり、登山道の泥が流され、石ごろごろの沢状の道になっている。分岐からは星生山への道を行く。手前に岩山があるが、そこは低木の林の中を抜けて尾根に登った。尾根にはハイマツに似た柏槙が生えていた。また、ツツジも刈りこまれたように形がよく、枝先には小さいが膨らんだ花芽を付けている。砂礫の尾根を登り、大岩の山頂に到着。風もなく穏やかで、今日登る他の山々もよく見える。登山者は尾根、山頂にぽつぽつと見える。

尾根を東に進む。左下に白茶の硫黄山の尾根、それに白い噴煙が目立つ。一旦、鞍部に下りて、中岳に登る。この鞍部に古い石の案内柱がある。旧字で「豊後中村驛」とあるので戦前にも登山されていたことが分かる。中岳に登っていくと、数㎝の霜柱が白く目立つ。枯れたススキの付近を抜けて登るにつれ、背の低い草、灌木の斜面になる。右に御池が青く見える。大岩を登り九重山・九州本土最高峰の中岳1791mに到着した。快晴で九重山の山々、遠くに双耳峰の由布岳も見える。素晴らしい景色だ。大船山、平治岳、三俣山とその間の坊ガツルもはっきり見える。また、一旦鞍部に下り、稲星山に登る。すぐに山頂に着く。山頂は火山噴出物がそのまま固まったような場所だ。南側を望むと牧草地などが広がる。西の久住山に向かい、10分ほど下る。地図では神明水の水場あるが、水は枯れてなかった。火山の山は、一般的には、降水は地中に染みこみ、沢に水が流れることは少ない。

久住山頂目指し、最後の斜面を登る。斜面にはツツジ、イワカガミ、苔などが密に繁っている。斜度が緩くなり、尾根を西に進んで山頂に到着した。ここは訓練で登ってきたという自衛隊員や登山者で込み合っていた。天気は快晴、景色は良く見え、最高だ。花の季節ならさらに綺麗だろう。しばらく休んで、山を下った。太陽は上に昇り、明るい草原となった。朝方の暗い時とは異なり、マユミの赤い実がたくさんついており、青空の中で輝いていた。

  

 

上:九重山中岳登頂 右:坊ガツル方面

11月9日 宿泊地=由布岳正面登山口6:50-合野越7:30-西峰9:20/20-東峰9:50-日向岳分岐経由・登山口11:50=熊本空港=羽田空港

<天気晴れ>由布市の東にある由布岳は、鋭く立ち上がる火山の山で、端正な姿をしている。百名山ではないが、それだけの姿をしているのではと思った。南側の登山口からは木々がぽつぽつ生える草原の向こうに高く聳えている。朝日で赤い山目指して登り始める。かなり寒く、手袋、上着を着て登り始める。人の手で管理されているのだろうが、西側に草原、笹原の山が広がる。日向岳への分岐からは沢沿いに登る。沢には水がなく、登山道は雑木林の中である。柏の木が紅葉している。落葉も積もっている。合野越で由布院からの道と合流し、山頂を目指す。木々が低くなり、草原になるがすでに枯れている。西に由布院の市街地が見える。街の上に霧がかかる。その向こうには昨日登った九重連山の影が黒い。急傾斜で由布岳に続くが、道は何度も右左に曲がりながら高度を上げるので、さほどきつくない。少し息を荒げ、高度を上げると由布院の街が箱庭のように見える。手前に白い煙が上がっているが、温泉の水蒸気のようだ。先ほど登ってきた沢に水が流れていなかったが、地下水となって温泉で湧きだしているようだ。間もなく東峰、西峰の股に着いた。まずは西峰に登る。岩登り初級程度の岩場が4か所ほどある。慎重に登る。鎖、ロープもあり、心配するほどではない。丈の低い草木の緩斜面を進み、山頂に到着。周囲に遮る物が無く遥か彼方まで見える。九重山は青みがかっている。一人登山者が登って来た。言葉を交わすと阿蘇山、九重山と登って来たという。同じような人がいるものだ。下る途中のツツジが桃色の花を付けている。この山も、ツツジが咲くころは見事だろうと思う。標高1500mほどで灌木なのだから、やはり火山の山だ。鞍部を経て、東峰に着く。景色は最高だ。東の鶴見岳も見え、その向こうの瀬戸内海、その先の四国の山脈も見える。ここから日向岳分岐を目指し下る。岩場が何か所もあり、慎重に下る。そこを過ぎると雑木林になる。落葉している。日向岳には登らないで下りることにし、山麓のトラバース道にかかる辺りはモミジの紅葉が美しい。樹木に看板がかかっている。バイカウツキ、フウ、クマシデ、タンナ、リョウブ、コカクウツギ、ウラジロノキなどの名前がある。この付近で何人かの登山者と会う。分岐からは草原でリンドウが静かに咲いている。振り返ると由布岳が青空を背景に堂々と佇んでいた。本州の山々とは違う魅力ある山を楽しむことができた。

 

 

上:由布岳は端正な山だ 右:九重連山を望む