甲信越

【縦走】毛木平から十文字山、三国山

毛木平から十文字山・三国山へ 武信国境を歩く
山域山名:十文字山・三国山
期日:2021年 5月 29日(土)
参加者:CL高橋 SL須藤 橋本 斎藤 花森

十文字峠のシャクナゲ
行動記録:川本5:00=(関越道・上信道)=毛木平駐車場8:15 8:30-十文字小屋10:35 12:00(昼)-弁慶岩13:30-三国峠15:20-三国山15:40-三国峠16:00-毛木平駐車場16:40-川本19:30
<天気晴れ>当初8人でしたが5人で2台の車で時間通りに川本を出発。三国峠で1台デポして毛木平駐車場着きました。駐車場はすでに満杯ですシャクナゲシーズンで混雑しているのだろとぼやきながら道端に車を止め支度を始め出発します。毛木平から十文字峠までの登山道は樹林帯の中なので日差しや強風の心配はなく比較的登りやすい。その為か十文字小屋には計画時間より1時間早く到着、6人ぐらいの先行者が休憩しており混雑はありません。

賑わいの十文字小屋の前で

十文字小屋で迎えてくれたのは満開シャクナゲです。穏やかや天候とシャクナゲを見ながら須藤さんからもらったトマトを食べながらの休憩です。展望台からは遠くに八ヶ岳、近くでは金峰・瑞牆が見えます。

カモシカ展望台から山座同定

満開のシャクナゲ群生を見て回り十分な休憩を得て出発します。

十文字山では仁さんが埼玉100名山99座目です。

十文字山は静かでした十文字山から三国方面は登山道の踏み跡が急に細くなりますが踏み跡はあり迷うことはありません。時折シャクナゲの群生地がいくつも現れます。シャクナゲ街道と言っても良いのではと思います。しかし急なアップダウンが多く疲労度も増しますがシャクナゲのアーチとミツバツツジが疲労忘れさせてくれます。

巨大な弁慶岩は左から巻きます

武信国境の稜線はシャクナゲロード

ミツバツツジも負けじと花盛りです

埼玉百名山最後の三国山に到着しました

三国山では仁さんの埼玉100名山100座達成です。「おめでとうございます」
天候に恵まれ満開のシャクナゲをいくつも見られ、参加者全員満足の行く山行でした。最後に毛木平駐車場へ向かう途中約1㎞手前(舗装から未舗装になってすぐの道端にあります)にイチヤクソウ群生地があります。         (記:花森)

 

 

【縦走】蓮華温泉・白馬岳・小蓮華・乗鞍岳

山  域:北アルプス北部 白馬岳2932m 小蓮華山2766m 乗鞍岳2436.5m 蓮華温泉1470m

目  的:温泉山行

期  日:2021年7月24(土)25(日)26(月) 

参加者  :谷口

行動記録: 

7月24日〈晴れ〉

深谷18:00→24:00

自宅を18:00に出発し白馬村に向かう国道19号が21:00に全面通行止めということで急ぐが間に合わず国道394号を使いかなりの遠まわりをし24:00に栂池駐車場に到着し食事を済ませ就寝。

7月25日〈晴れ・ガス〉

栂池高原スキー場ロープウエイ(6:30-7:15)→栂池山荘(7:20)→天狗原(8:15)→風吹大池(9:35)→風吹山荘(10:00/10:30)→風吹岳(10:45)→血ノ池・神ノ田圃(11:10/11:45)→風吹大池入口(13:25)→白馬岳蓮華温泉ロッジ(14:15/16:00)→蓮華の森(16:20)泊

5:00に起床する、ロープウェイは朝6:30まで時間は、まだあるのでスキー場を散歩しながら朝食をとる、天気は晴れだが山の上はガスがかかっている、ガスが抜ける事を祈りながら登山の準備をする。ゆっくりしすぎて、前に30人ほど並ばれてしまった。6:00から並びゴンドラリフトと春からしか使用できないロープウェイを使用し栂池スキー場の上の栂池山荘を目指す。ゴンドラは珍しいゴンドラで途中下車できるようになっているので注意が必要。ゴンドラを降り出口を出て東に200mぐらい進むとロープウェイ乗り場がある。ロープウェイを降り北を目指し進むと栂池山荘・栂池ヒュッテに到着し登山道に入る。登山道は、ガレ場でかなりきつい、水場はあるが、水飲水の補給は勧めない。水は冷たいので顔や手を洗うくらいにした方が良いであろう。木道に出ると緩斜で急に楽になる。天狗原の分岐で風吹大地へ進む、しばらく木道で湿原の中を散歩し、千国揚尾根(せんくにあげ)の降りに入る。尾根は所々踏み跡が消えたがしっかりした登山道でした。風吹大池に時間より早く到着したので風吹大池を一周することにする。木道を進む、ワタスゲがむかえてくれる。道を少し外れるが風吹山荘があり写真を撮っていると、ご主人(30歳半ば?)が出てきてくれ個人山行の自分をかわいそうに思ったか一緒にコーヒーを飲みながら「人より、熊によく会える」「熊とマガリダケと黒豆の木を取り合っている」「熊に会ったら目を離さず、通りたいな~」と言えばどっか行ってくれる。今日、歩いた、歩く登山道は、主人が登山道整備をしてくれていたのでありがとうございますなどと雑談。風吹岳に登る。頂上はアズマ屋があり椅子と机もあるので休憩するには良いかもしれないがガスで展望は解らなかったがあまり良くないらしい。北には、血ノ池がありその先に神ノ田圃があるワタスゲ・コバイケイソウが咲き乱れるとても癒される。ここで昼食休憩。池の周りを一周し、笹目尾根を進む登山道は、踏み跡もしっかりしており問題は無いが、ゲイタ―スパッツはあった方が良い、尾根だが樹林帯で緩やかに下っていく。風吹大池入り口から出て車道に出て川沿いを西に進む曲がりくねった道を進み蓮華温泉に到着。

  

温泉は、外湯が¥500(内湯・外湯両方¥800)でテント場¥1000あわせ¥1500を払い、疲れを落としに温泉に進む、温泉は蓮華温泉の裏山にあり温泉口を左進むと三国一の湯(さんごくいちのゆ)が最初にある1m四方の四角い温泉道より0m浸かってみるとぬるく少し冷たいぐらい、夏の今には、丁度良い?先に進むと、薬師の湯薬師の湯は、4m四方くらいの少し大きいお風呂だ。ここもそこまで熱くない。仙気の湯は、2m四方、女性優先、女性が入っているときは、看板がかかっているがかかっていないので、その間に浸かる。ここが一番温かいか?でも少しぬるめだ。硫黄で黄色や白くなった山肌を見ながら硫黄の香りも楽しむ。でも、秋や冬は寒そうだ。来た道を逆に下ると黄金の湯がある。黄金の湯は、3m程の四方の少し大き目ここで誰もいないので30分ほどお酒を飲みながら休憩する。20分ほど進むと蓮華の森へテント場、蓮華の森は、アズマ屋があり、下に水道・調理場があり、テント場には、木で作った机と長椅子がありトイレもある。テントを張り、夜食を済ませ、その日は宿泊者は自分しかおらず、少し怖かった。ザックにシュラフを忘れるという大失敗。夏だからと大丈夫と思いながら就寝、しかし、寒さで起きてしまった。10℃以下に下がっていた?。雨具とダウンを着て何とか就寝。と温泉周りは、アブがいるので虫よけは、必須となる。

7月26日〈晴れ・ガス〉

蓮華の森(4:00)→鉱山道入り口(4:40)→鉱山道鉄パイプの橋(5:00)→鉱山道神ノ田圃(6:30/6:50)→三国境(9:25)→白馬岳山頂(9:55)→三国境(10:20)→小蓮華山山頂(10:55)→白馬大池山荘(12:00/13:00)→乗鞍岳2436.5m(13:25)→天狗原(14:00)→栂池山荘(14:30)→栂池高原スキー場ロープウエイ(15:00-15:20)

朝、3時に鈴の音で目が覚める。テントをしまい4時に出発。木道を進み分岐にでる。蓮華鉱山道方面を進む。斜めの崩れそうな斜面をトラーバースしながら進む川が下を流れていて空気は、気持ちが良いが危険が伴う。単管パイプで作った橋が現れる。橋を渡り登山道に進む、シナノキンバイ・キヌガサソウがこれでもかと咲き咲き乱れる。蓮華菱を左手見ながら、先に進んで行く雪渓を4か所ほど進むがその間も山道はシナノキンバイ・シロウマタンポポと黄色い花が黄色い道となりとても美しい、山道を登るときは、やはり、ゲイタ―スパッツは必須である。自分は、しないでいたら気づいたら朝梅雨で靴の中まで洪水状態。

 

分岐手前で雷鳥の親子と出会い一緒に登る。右手には、雪倉岳を目指す人達が雪渓を一人ずつ安全確認しながら渡っている。三国境手前より白馬岳山頂を目指す道がありそこを進み白馬岳を目指す。頂上はガスで真っ白だが山道脇は、ホソギツメクサ・ダイコンソウ・ウルップソウ・コマクサが咲いている。頂上はガスで展望がなく残念だったが美しい花々がみれた。次、目指す小蓮華までも花の道が続いて行く。ガスで見えなかった山頂がいつか切れないかと後方を何度も見ながら小蓮華山を目指したが見えずに終わってしまったが美しい稜線が見える。小蓮華山頂は、鉄剣と祠がある。白馬大池までの道は、また、花の道が続く、ここでもまた、雷鳥に会う、ガスが出ていると上からの敵に見えずらいから雷鳥と良く会えると聞いた。

 

白馬大池はコバイケイソウがたくさん咲いている。携帯の充電が切れてしまったので、¥100で充電してもらう。長い休憩にし1時間ほど昼食をとりながらゆっくりと休憩する。携帯を受け取り、乗鞍岳を目指す。乗鞍までの登山道は、白馬大池展望が美しいが急にガレ場の山道に代わる。乗鞍岳山頂は、大きなケルンがあり安全を願い、次の天狗原を目指す。天狗原までは今回の山行で一番大きな雪渓がある為注意必要200m程を降る。天狗原に到着し木道を進む木道が終わるとまたガレ場が続く。水場が過ぎ、栂池山荘に到着する。ここでは、食事やデザートやお土産が買える。少し降り、ロープウェイに乗り、ゴンドラで下山する。ガスで山頂からの展望は無く残念だったが、風吹大地散策・蓮華の温泉・鉱山道の花の道・雷鳥との出会い・白馬岳登頂・高山植物・大池の景色とシュラフを忘れるなど、色々な事がありましたが忘れられない楽しい山行となりました。

(谷口記)

【縦走】平ヶ岳

山  域:三国山脈 平ヶ岳2141m

期  日:2021年7月30、31(土) 

参加者 :谷口・非会員1名

行動記録:行動時間(10:00)実行動時間(8:15)休憩(1:45)

7/30(金)

深谷(20:00)→鷹ノ巣駐車場(0:30)

 20:00鷹ノ巣駐車場に向けて出発、高速道路を使い小出ICを降り、奥只見を目指す。奥只見シルバーラインに入ると店も販売機も見当たらない、何か購入するのであれば、小出JC近くで済ませたい。駐車場は、20台ほど止められる。トイレは、バイオトイレがあり問題はないが前泊した方が駐車はしやすいだろう。0:30に到着食事をし睡眠をとる。

7/31(土)〈晴れ〉

鷹ノ巣駐車場(4:30)→下台倉山(6:10)→台倉山(7:00/7:15)→白沢清水(7:45)→池ノ岳(8:45/9:15)→玉子石(9:30)→水場→(9:45/10:00)→平ヶ岳(10:15/10:45)→池ノ岳(11:10)→白沢清水(11:40)→台倉山(12:10/15)→下台倉山(12:40) →鷹ノ巣駐車場(14:30) 

3:30に起床し、準備をしながら周りを見ると、車で駐車場は、あと4台しか止められない。まだ暗い中AM4:30に出発、少し進むと急登が続く、前坂を抜けると稜線に出る。ヤセ尾根だ、そこを通過中に日の出が見れる。ご来光とモルゲンロートを見ながら稜線を登っていく。雲一つ無い青空が広がる。左に燧ヶ岳が美しく見える。

 

下台倉を過ぎて台倉山で休憩、ここでもう汗が出過ぎてTシャツを絞る。台倉清水は、かなり下がらないと水は取れない。水は、4L持ってきたので補給はしない。先の白沢清水に関しては、沸騰させても飲めるか不安な水だ、下の水場に関しては、期待は、しない方が良い。台倉清水以降は、木道があるが湿っているとかなり滑るので注意しながら進む。そして、ここからまた、急登となる。気温も上がりかなり体力を奪われる。池ノ岳に着き姫ノ池があり湿原が広がる。ここでもTシャツの汗を絞る。かなりの疲労が溜まっている。しかし、ここまでくれば気温も下がり気持ちよく歩ける。ここでも休憩をし、玉子石を目指す。木道が続き、雪渓を抜け、また、木道を進むお宮ルートの分岐を過ぎ玉子石に到着する。

 

なぜこの形になったのかは、不明、写真を撮り、来た道を戻る、雪渓過ぎ、木道を下っていく少し降ると水場となる。ここですべての水容器に水を補給する。(家での焼酎用)周辺はコバイケイソウが咲き美しい。さらに木道を進むとすぐに山頂の周りの湿原に出る。下ではコバイケイソウだったが山頂周辺は、ワタスゲが咲き乱れ風に揺れて楽しそうにしている。山頂の最高点は登山道より、少し中にあり、三角点と標識を写真撮る。

 

登山道は、さらに登山道が続いて奥があるので進む、しかし、特に何もなく湿原が続いていて通行止めとなっていた。頂上の周辺は板張りのバルコニーのようになっているので美しい湿原見ながら昼食にする。しかし、周りは、残念ながらガスで展望がない、他の高い山々も山頂だけガスに隠れてしまっている。昼食も休憩も終わり、気合を入れて下山を開始する。池ノ岳まで木道が続く、それ以降は、急登だったので気をつけながら降る。コメツガが生えそろっている場所が続く、そこから、アブに悩まされる。結局、下山までアブに付き纏わりつかれた。下山もピストンで来た所を戻るが、気温が上がったせいかアブの発生が凄かった。この時期に行くのであれば、アブの対策は必須である。そして、長丁場となるので水の確保も確実にしなければならない。アブ対策が弱く、かなりの体力消耗をしてしまった。もっと、現状の確認が必要だった。また、平ヶ岳山頂からは素晴らしい展望が望めるはずだったが、他の山の展望は、望めなかった。また、次回計画を立てて山行したい。

帰りの道は、国道352よりシルバーライン側は、通らず、国352を通る。銀山平、枝折峠を通りこちらは、温泉・自販機がありました。

 

                                                                              谷口記

 

 

【沢登り】ナメラ沢

山  域  奥秩父・笛吹川水系久渡沢・ナメラ沢
日  程   2021年7月25日(日)
        川本5:00=雁坂トンネル料金所駐車場7:00~沓切橋入渓7:40/8:00~沓切沢下降
       ~沓切沢出合8:10~久渡沢遡行~峠沢出合8:15~中ノ沢出合8:40~ナメラ沢遡行
       ~奥の二俣10:00~左俣遡行~破風山稜線12:00~西破風山12:05/12:40~青笹尾根                   下山~沓切沢出合15:25~沓切橋15:40/16:00~雁坂トンネル料金所P16:30=18:30川本
参 加 者  浅見 橋本(計 2 名)
 国道140号の雁坂トンネルは秩父側の豆焼沢付近から始まり山梨側は笛吹川水系の久渡沢付近に出る。ナメラ沢は久渡沢の支流で奥秩父主脈の破風山に突き上げる。雁坂トンネルを抜けると料金所があり740円を払って通過するとすぐ左側に駐車場がある。駐車場の奥から雁坂峠への登山道が始まる。沓切橋で沢装備をつけ支流を下降して久渡沢本流にでる。深い谷の中はまだ日差しが届かない。小滝の連続を登って行くとほどなく峠沢の出合である。中ノ沢を左側に分けるといよいよナメラ沢の始まりである。中流部は名前の通りナメが多く傾斜もゆるい。北西の方向につづく沢を登っていくと背中から日差しがあたる。広葉樹の木漏れ日がナメを奔る水流をキラキラと輝かせて美しい。

 奥の二俣を左に入るとやがて水は涸れて奥秩父らしいシラビソの森の中の急登となる。きつい登りではあるが藪漕ぎはなく破風山稜線の登山道に飛び出す。西に約5分で西破風山山頂である。山頂の表示とベンチがあるが展望はない。ここで昼食、橋本さんは軽登山靴に履き替える。私は渓流靴のまま下山したが下りの尾根道は滑りやすく苦労した。青笹尾根は一般登山道ではないが下山用に使われることもあるようなので今回の下山路とした。

山頂から200mほどは踏み跡も少なくシャクナゲの藪をこいで道を探す。やがて木の幹に赤いラインが入っていたり、枝にピンクテープがついていたりしてそれらを探しながら降りると踏み跡が明瞭になってくる。GPSで現在地と進行方向を確認しながら進み入渓点に降りることができた。(浅見記)

【ピークハント】光岳(てかりだけ)

南アルプス 光岳  (個人山行)

-南アルプス最南端2500m峰に登る-

山域山名:南アルプス 光岳

期日:2021年9月14日から15日

参加者:橋本義彦

行動記録

13日 熊谷17:30=関越道・上信越道・中央道=飯田IC=芝沢ゲートP23:00 前夜泊

14日 芝沢ゲートP5:30-易老渡6:30-易老岳11:00-光岳小屋14:00 光岳小屋泊

15日 光岳小屋6:45-光岳往復-光岳小屋7:30-イザルヶ岳往復-易老岳9:25-易老渡12:10/50-芝沢ゲートP13:50=中央道・園央道・関越道=熊谷22:00

 13日は松川ICから下りて、中央構造線がある東側の谷に入ってしばらく走り、遠山川沿いの林道を遡り、やっと芝沢ゲート手前の駐車場に着く。車は10台ほど止まっている。すぐに車中で休む。

 

 

 

 

上:ギンリョウソウが白くて目立つ 下:倒木が多いが登山道の倒木は片付けられている

 

14日<天気曇り>天気予報では晴れだが、明るんだ空は曇っている。朝食後すぐに出発する。易老渡までは、崖崩れのためゲートが閉められ歩くことになっている。遠山川の清流が大岩を越え、瀬音を立てている。左右の山は切り立ち、深い谷で、山は鬱蒼とした樹林に被われている。マタタビ、サルナシも生えている。1時間で易老渡に着く。施設らしき建物はない。鉄製の狭い橋を渡り、急傾斜の尾根に取り付く。易老岳まで1474mの登りだ。急登で道は右左に曲がる。登山口からはヒノキの植林で手入れされている。さらに高度を上げると広葉樹林となる。幾分明るい。落葉の中に白いギンリョウソウが生えている。形はシュンランの花にも似ている。丸い尾根筋で大岩もなく斜度はきついが登り易い。1460mの面平まで登ると、やや平坦になり、広葉樹林はサワラの大木の森となる。直径1m高さ30mほどの大木が真っすぐに立ち並ぶ。立派な森だ。ここからは、針葉樹林帯となる。汗をひどくかく。登山者はいない。ひたすら登る。ツガやシラビソの森、そこかしこの太い倒木、そしてその上の苔、それらが合わさった森の香りを吸いながら登る。木々は倒れまいと地面に根を周りじゅうに張っている。エゾシオガマの白い花が咲いている。イワカガミは葉っぱのみ。シダもたくさん生えている。易老岳まで260分のコースタイムを疑ったが、結局それだけの時間がかかり、易老岳に着く。森林限界近い標高だが、常緑針葉樹に被われた山頂だ。一休みして方向を南西に変え稜線を光岳に向かう。

 

 

上:花は少ないがトリカブトは目立つ 下:センジュ原ー光岳小屋が近い

 さすがに主稜線で、明るくなり、所々眺望も効く。草原があったり、枯れ木があったり、樹木も変化に富む。進むと西側に三吉ガレがあり、数百m崖崩れになっている。岩は奥秩父と同じ堆積岩だ。高い樹木が無く、苔が増え、イネ科の草と一緒に林床をびっしりと覆い、しっとりした高山の雰囲気だ。すでに初秋の雰囲気で気の早いナナカマドが色づき始めている。ゴゼンタチバナの赤い実がかわいい。易老岳から標高差100mほどを下り今度は登りだ。ザックが重く、脚への負担も大きかったのかその付近で脚がつった。薬を飲むとすぐに治る。登りの道は沢状の場所になり、そこには水は無く数十㎝の大岩で埋められている。途中トリカブトの鮮やかな紫の花が咲いている。曇りだが、霧雨が漂うようになってきた。GPSで光岳に近づいたことを確認する。沢状の道を登り詰めた源頭部が静高平で、清水が豊かに流れている。ここで水をパックと胃袋に補給する。ほぼ予定どおりに小屋に着ける。灌木になった湿原をゆったり歩き、光岳小屋を見つけ安心する。湿原の周りはハイマツが生えている。日本最南端のハイマツ自生地という。小屋は開放されており、小屋泊りできることになった。とても立派な小屋でコロナの影響で営業はしていないが、無料で開放しているのでありがたい。テントを張る手間も省け助かった。先客は1人のみ。少し会話する。甲斐駒ケ岳から稜線を1週間かけて歩いてきたという。少し休んで早めの夕食とし、休む。雨音がするほど強い雨が降ってきた。天気予報では、明日は晴れるという。それに期待してシュラフに入る。

 

 

 

上1枚目:富士山が姿を現す 上2枚目:南アルプス南部の聖岳などの稜線 上3枚目:光岳山頂 下:樹木が多く、木の根も芸術的だ

15日<天気晴れ時々曇り>太陽の強い光で目を覚ます。予報どおりだ。朝食後、パッキングしてから、小屋の南にある、光岳を往復する。東側の見晴らしのよい場所から、雲海のある山脈を楽しむ。光岳山頂は、余り高くない常緑樹林に囲まれ眺望はないが、落ち着いた山頂だ。小屋に戻り、湿原の横からイザルヶ岳に登ると直ぐに山頂に着く。山頂付近はハイマツ他植物が無く裸地で砂利地だ。そのため、景色は抜群、雲海があるが、四方の山々が見える。富士山、南アルプスの稜線、北アルプス、中央アルプス、白山、御嶽山・・・。

山の自然学を提唱する小泉武栄氏は「山の自然を知るには疑問を持つこと」と著書で記している。この山頂に木々や草が生えないのはなぜか。ほぼ同じ高さの光岳には樹木が茂っているのはなぜか。イザルヶ岳に植物が生えないのは砂礫の平らな稜線で雪は強風で飛ばされ種子が発芽しても成長できないのではないかと考えた。

景色を独り占めして楽しんだ後、下る。付近の丈の低いダケカンバの盆栽のような枝ぶりはすごい。湿原はどうしてできたのか。平坦なのに、ガンコウランや地衣類が優勢なのはなぜか。疑問は尽きない。

 帰り路は、登りの時とは、見える景色も異なり、こんな場所を通ったかと思う時もある。地図など見ながら方向確認をしながら下る。易老岳からは、今度は、一気に易老渡まで、ひたすら下る。樹木を見ながら、森林浴をしながら下るのもよいものだ。ただ、一人であり、登山者が少ないので、もし、滑落したら、助けを求めることはできない。滑落、転倒、怪我をしないこと、するくらいないゆっくり着実に歩くこと、そのことを思いつつ下る。面平の大木サワラの森にはやはり木の精のようなものを感じる。地形が平坦で土壌も深く、雨も多く、成長しやすい場所なのだと思う。休む気もせず、ひたすら下る。易老渡に近づいた最後の30分位は膝が鈍くなり、石に足を引っかけたり、木の根で滑ったりしながらやっと易老渡の橋を渡ることができた。ここで昼食にする。道路脇の日陰に枯れ枝があり、なんと椎茸が1個生えていた。椎茸を裂いてカップ麺に入れ椎茸入りシーフードカップ麺にして食べた。駐車場までゆっくり歩き、光岳山行を終えた。